マクドナルドの CM に見る日米の大きな違い
KAIKORE に "日本マクドナルドの CM がなぜか米国でバズる、「ポリコレ要素がない」ことに驚くアメリカ人続出(海外の反応)" という記事がある。(下の画像クリックで、日米の Mac の CM 動画にリンクする)
上の左側は、記事で紹介されている米国版 Mac の CM。2020年のものだが、黒人のトランスジェンダー女性がシンプルながら強烈なメッセージとして、”Stop killing us.” (私たちを殺すのを止めて)と呼びかけている。そして右側は日本の「特別じゃない、しあわせな時間」という CM だ。
一見するだけでまったく別世界という印象である。米国版は切実な「ポリコレ」(political correctness)そのものだし、日本版は絵に描いたような(まさに絵に描いてあるわけだが)平凡な幸せだ。マクドナルドに付随するイメージって、日米でこんなにも違うということなのだろう。
2つの CM から読み取れることは、米国では「正しさ」が追求されるが、日本では「フツーで充分」ということだ。ただ私個人としてはこの日本版 CM には日本人ながらちょっとした「気持ち悪さ」を感じてしまうのだが、おかしいかなあ。
日本人は「フツー」でないことからは敢えて目を逸らす。「ジャニーズ問題」などはその典型で、多くの人に薄々、あるいはかなりはっきりと知られていたことなのに、これまで誰も問題にしようとしなかった。
今頃になってジャニーズ事務所所属のタレントを CM に起用しないという動きが広まっているが、それでも昨日時点では、帝国データバンクの調査に「起用しない」と回答しているのは 49% に過ぎない(参照)。米国だったら、そんな事務所のタレントの CM 起用は不買運動を引き起こすだろう。
というわけで、日本という国はいつの場合も「穏やかに、穏やかに」ということのようなのだね。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 高校野球のサイレンと「警蹕」(けいひつ)というもの(2024.11.10)
- 区域と時間帯限定での「路上飲み禁止」は生ぬるい(2024.10.03)
- 米国の「日本ブーム」を音楽視点から見ると(2024.09.15)
- 「縄文人度合」という概念があるんだそうだ(2024.09.09)
- 北朝鮮の「汚物風船」と「エンガチョ」のまじない(2024.05.31)
コメント
ジャニーズ問題の特殊性は、同性愛が犯罪として罰せられていた欧米と、少年性愛を高尚な趣味と考えていた日本の国柄があるのではないかと考えます。日本でもこれが少女相手だったらもっと早く大きな問題になっていたでしょう。すでに犯罪者が死亡していることもあります。今、神父の少年相手の性愛が問題になっているカソリックですが、日本では、明治に妻帯が公式に認められるまでは、僧侶のそういう行為は、皆んな知っていることでした。そして、誰もそれを問題だと考えていませんでした。そういう国柄が残り香として今でもあったということなのでしょう。なにせ、ボーイズラブの漫画が大人気の国ですから、ジャニーズファンはたいした問題だと思っていないでしょう。
投稿: basara10 | 2023年9月24日 06:16
basara10 さん:
>少年性愛を高尚な趣味と考えていた日本の国柄があるのではないかと考えます
まあ、それはあるでしょうけど、「ユー、泊まっていきなよ」のアメリカかぶれのオッサンとのイメージの乖離がスゴいなという気はします (^o^)
投稿: tak | 2023年9月24日 09:04