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2023年10月25日

「クマとの共存」と言っても、なかなか難しいよね

今年は人間の生活圏へのクマの出没がやたら多く、人が襲われて怪我をしたというニュースも目立つ。何しろ私の生まれた山形県酒田市の市街地でもクマがうろついたほどだし(参照)、東京都内でも目撃情報が 111件(10月 20日現在)にのぼる(参照)というのだから、ハンパな話じゃない。

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関東でもクマは結構生息していて、東京都には 100頭前後のツキノワグマがいるという。さらに私の暮らす茨城県はこれまでクマはいないとされていたのだが、最近になって福島県の山塊から茨城県北部に移動してきたのがいるようで、それは茨城県警も認知してる(参照)。

私は若い頃、奥秩父と南アルプス、そして東北のあまり人のいない山々を中心にちょくちょく単独登山していたのだが、ありがたいことにクマを目撃したことは一度もない。その当時と比べると、クマが人間の生活圏にまで降りて来たというのは驚きでしかない。

3年前の 2020年もブナの実の大凶作でクマが食べ物を求めて人里に降りてくるケースが多く、私も 9月 30日付で「クマの人里出没が増加している」という記事を書いているが、それでもこの年の人的被害は 9月末時点で 86人だった。ところが今年は 109人に増えている。

クマ出没の対策で難しいのは、自然保護の観点からすればやたらと駆除しまくるわけにいかないということだろう。それでなくても今月 7日の記事でも書いたように、クマを駆除したというニュースが流れる度に、当事者の市町村にはあちこちから抗議電話が殺到する。

そりゃ、相手も生き物だから殺さずに済めばそれに越したことはない。しかし現場の観点からは、人間の生活圏近くに棲んでヒトをあまり怖れなくなった「アーバンベア」はかなりの脅威である。秋田県では今年、既に過去最高の 53人がクマに襲われたというし。

冒頭で紹介したニュースでも、登場する酪農学園大学の佐藤喜和教授が「クマとの共存に向けた新たな対策が必要」としているが、具体的なことは何も語られていない。それほど難しい問題ということだ。

日本は狭い国土に 1億人も住んでいるので、クマの住処と人間の住処の間の緩衝地帯が思いのほか狭い。とりあえずは、人間の側でできる限りクマの習性を知った上で注意して暮らさなければならないのだろう。

【11月 2日 追記】

この関連で「実際にクマが頻繁に出没する現場からのナマ情報」という記事を書いたので、是非併せてご一読いただきたい。

 

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自然・環境」カテゴリの記事

コメント

>自然保護の観点からすればやたらと駆除しまくるわけにいかない
こんなことを言う人達がダニアースやゴキブリホイホイを使っていたり、庭の草むしりをしていたとしたらそれこそお笑い種だと思うのですけどね。人を喰い殺さないハエやゴキブリやネズミは殺して平気なのに、人間を噛み殺した犬の処分に同じだけ大騒ぎしたとも聞かないのに、何で人喰いクマだけ保護対象なんでしょうか。

最近、自宅の庭で熊に襲われる事例が多発してますが、これと同じことが首都圏の高級住宅街で起こったとしたら、あの手の人達はたった一件でも大騒ぎして今と逆のことを言うんじゃなかろうかと疑っています。もしもと言わずさっさと東京の人が数人食われてくれれば話は早いのに、とさえ思ってしまう(わざわざ「道府県」と書いてる以上、都には死傷者がいないのでしょう。忌々しい)。

投稿: 柘榴 | 2023年10月26日 06:05

柘榴 さん:

クマって案外臆病な動物らしくて、本来なら向こうの方で人間を避けてくれるもののようです。出会い頭でよほど間近に行き会ったりするのでなければ、大丈夫なものというのが常識です。

ですから私が若い頃は、いくら「秘境」といわれるような山奥に入ってもクマに襲われるなんて心配はほとんどしていませんでした。

ところが最近はクマの方から人里に降りてくるため、「出会い頭」というケースが増えているのだと思います。

本文の文末で「人間の側でできる限りクマの習性を知った上で注意して暮らさなければならないのだろう」と書いたのはそうしたことを考えての上です。

山登りをする時に鈴などをぶら下げて歩くみたいに、クマの出そうな人里でも有線放送などでクマの驚くような音を流すとか、山林で突然案山子がが跳ね起きて怒鳴るなどの仕掛けをしなければならないかもしれませんね。
(人間の方が腰を抜かしてしまう危険性があるので、なかなか難しいですが)

ちなみに東京都内でクマによる人的被害が出るとしたら、奥多摩の方で、都心の市街地にまでクマが進出することはあり得ないでしょう。

投稿: tak | 2023年10月26日 12:46

takさん、今回のはちょっといただけませんね。
クマが臆病な動物かどうか、それは分かりませんよ。
私の理解では、臆病と言うよりは慎重かつ神経質な一面を持つ性格です。
また人を襲うきっかけも、出合い頭のパニックとは限りません。
確信的に人を襲う目的で近づいて来るクマが幾例も見られています。
クマ鈴が逆効果になってしまった例がありますから。
仰るように「人間の側でできる限りクマの習性を知った上で注意して暮らさなければならないのだろう」と言うのであれば、もっと理解が及んだ上でのことと言わせていただきます。
最後の数行、熊対策について触れておられますが、はっきり申し上げて子どもだましです。
これでは、クマに対して誤解が深まるだけと思い、重い筆を執らせていただきました。

投稿: MIKIO AOKI | 2023年10月26日 21:35

MIKIO AOKI さん:

日頃からクマ対策に苦労しておられる現場からの貴重なコメント、ありがとうございます。

クマ対策については、本文でも触れた専門家の佐藤喜和教授にしてからが、具体的なことは何も言及できていないという事実からして、本当に難しいことと思います。

素人として、何もわかっていないことが明らかになってしまう記事になってしまいました。

今後注意深く理解を深めていきたいと思っていますので、有用な情報がありましたら、よろしくお願いいたします。

最期に、クマが冬眠に入る前の時期でもありますので、気を付けて過ごして下さい。

投稿: tak | 2023年10月27日 07:35

クマさんが出てこないだろう地域在住者として…。

安全地帯からテケトーなこと言うな。

「雑草も刈るし蚊も叩く民」からすれば、ジビエ料理に舌鼓を打つことに、罪悪感を抱くのかいな?

命に関わる話ぞ。

投稿: 乙痴庵 | 2023年10月28日 02:45

乙痴庵 さん:

>「雑草も刈るし蚊も叩く民」

クマだけは殺すなというわけにはいきませんね。

投稿: tak | 2023年10月29日 11:26

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