同性婚を巡る「スティグマ」というもの
HUFFPOT に ”国が「スティグマ」を社会に根付かせている。結婚の平等裁判で原告が訴え「景色を変えたい」” という記事がある。結婚の平等、つまり同性婚の法制化を求めて国を訴えている裁判と連動して、同性カップルとその支持者たちが社会にアピールする活動を続けているというものだ。
この記事で私が注目したのは、見出しにもなっている「スティグマ」という言葉だ。一般的な辞書では「恥辱。汚名。負の印。名折れ。烙印 (らくいん) 」などと説明されているが「非営利用語辞典」というネット上の辞書には、次のように解説されており、言葉そのものの背景やイメージが伝わってくる(参照)。
本来の語義は、ギリシャ語で、奴隷や犯罪者の身体に刻印された「しるし」を意味し、恥辱、汚名、烙印を意味する。身体上の障害や人種・民族・宗教などの集団的特性など、ほかと異なっているがために望ましくないとみなされることを意味して使われている。Goffman, E.(ゴッフマン)は、個人が社会の一員として受けるべき尊敬が否定され、その社会から受け入れ(られ)ない状態のこととしている。
私が若かった 1970年代頃には結婚や婚姻制度に関して、「社会的因習」とする風潮もあったものだ。しかしその「因習」からさえ受け入れを拒否されるほどの「より根深い因習的イメージ」というのが、LGBT には付きまとっている。
こうしてみると、この問題においては「スティグマ」という言葉を使うのがふさわしいとわかってくる。つまり「奴隷や犯罪者」を見るのと同じような視線を同性愛者に送る人が、今でも存在するということだ。
下手すると、同性愛者ってジャニー喜多川みたいな人ばっかりなんて思ってる人もいる。その意味でもあの人のやったことというのは社会に悪影響を与えていて本当に困ったものだが、我々は困った人なら異性愛者にだっていくらでもいるということを思い出さなければならない。
というわけで、今日の記事は要するに、LGBT 関連のスティグマから解放されなければならないということだ。既に解放されている人はほとんど問題ないのだが、根深いスティグマでしかものを見られない人の場合は、なかなか簡単にはいかない。
「個人的に、そういうの嫌い」というなら、それはもう仕方がない。「好きになれ」とまでは強制できないからだ。ただ少なくともそうした否定的言辞をことさらに撒き散らすべきではない。
荒井勝喜という男が総理大臣秘書官をしていた時の「(LGBTは)見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」という発言(参照)や、「同性婚が気持ち悪いと言って何が悪い」という渡辺昇という愛知県会議員 の発言(参照)などは、とんでもないということである。人間の尊厳を否定したものだ。
とはいえ今年 2月 6日の記事で触れたように、同性婚に強硬に反対していたニュージーランドの国会議員が、自身の息子にゲイであることを告白されたのをきっかけに、それまでの過ちを認めて謝罪したというケースもある。
人間というもの、どんなに強い思い込みをもっていても、きっかけ次第でそこから解放されることがある。日本でも同性婚法制化をあきらめてはいけない。
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コメント
巻き込まないでいてくだされば、「へぇ、そうなんですね。」です。
タイガーマスク(初代)に憧れるのとは違うと認識しておりますが、同性が同性を云々な間柄になること自体はお好きにどうぞ❤️です。
ヒトとしての尊厳は、すべての人にあります。
ただ…、過去育児の過程で「アタシャ母乳出ない」って性差には、抗えないさみしさを感じておりました。
投稿: 乙痴庵 | 2023年10月 4日 19:02
乙痴庵 さん:
>ただ…、過去育児の過程で「アタシャ母乳出ない」って性差には、抗えないさみしさを感じておりました。
むむむ、こればかりはどうしようもないですなぁ ^^;)
投稿: tak | 2023年10月 4日 22:27