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2023年11月26日

日本人の英語力低下は、英語の歌をやらないからさ

1週間以上前のニュースで恐縮だが、日本経済新聞の「英語力、日本は過去最低の87位 若い世代で低下目立つ」という記事が気にかかってしまった。

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ところがアクセスしてみるとどうでもいいほど素っ気なくて、要するにこんな話だ。

世界的な語学学校運営企業の EF エデュケーション・ファースト(スイス)はこのほど、英語を母国語としない国・地域について 2023年の「英語能力指数」ランキングを発表した。日本は過去最低の 87位。若い世代の英語力低下が目立った。

「これって結構ヤバいじゃん!」と詳細なレポートを探してみたところ、この調査の実施団体である EF EPI(EF English Proficiency Index)の「第2023版 世界最大の英語能力指数 ランキング」というページが見つかった。ここから、全体的なレポート日本の結果のファクトシートなどにアクセスできる。

全体的なレポートでは、サマリーとしていくつかの項目が挙げられているが、今回気になるのは次の 2点だ。

  • 複数の地域で若年層の英語能力の低下
  • 東アジアの英語離れが継続か

「若年層の英語能力低下」という問題は、多くの地域でコロナ禍による一時的な現象とみられているが、日本の場合はそんな生やさしいものじゃない。下の画像のように 18-20歳、21-25歳 の年齢層で 10年以上にわたり低下傾向が顕著で、とくに大学受験生が含まれる 20歳以下が悲惨だ。

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(クリックで拡大表示される)

日本の英語力は順位面で落っこち続けているだけではなく、得点面でも低下しているようなのである。

また「東アジアの英語離れ」に関しては、「より広範な政治的および人口統計学的変化による影響や、教育における西洋文化の覇権を疑問視する人々が増えていることも一因」とされている。何に気兼ねしてかずいぶん奥歯に物の挟まった言い方だが、中国での低下ぶりはどうやら日本ほどじゃない(参照)。

さらに香港は、私の出張体験からしても英語がよく通じる地域との印象があり、ここ 10年ほどの傾向としてもさらに英語力がアップしている(参照)。近い将来の「香港脱出」を覚悟して、語学能力を鍛えている層が多いんじゃなかろうか。

とにかく日本の英語力低下は断トツ気味に目立っており、マスコミの言う「日本の国際化」なんて幻想で、実際は思いっきり「ガラパゴス化」しているとわかる。身近なことで言えばハリウッド映画でさえ、BS で日本語吹き替え版を観る連中が多いらしい。これって、私には信じられないことだ。

さらに最近の若い連中はいわゆる「洋楽」にあまり親しんでいないようだし、ましてや Bob Dylan をそらで歌えるとか、聞いて意味を解するやつなんて見たことがない。

例えばこれとか

これとかね。

本日の記事のタイトルは「日本人の英語力低下は、英語の歌をやらないからさ」と、その気になればツッコミどころたっぷりのタイトルにさせてもらったが、個人的には実感たっぷりなのである。本当に最近の若い子たちって、本場米国のロックや R&B を知らない。

私の若い頃は「まともな音楽」をやろうとしたら アメリカン・ミュージックをコピーするのが近道だったから、バンドをやるにしても、まずは「英語の歌」から入ったものだ。しかし最近の連中は「アヤシげなカタカナ言葉」満載の ”J-Pop" とやらしかやらないみたいなのだね。

これじゃあ、英語の必要性も薄くなるというものだ。ただ実際のところは「英語力」に限らず、「言語力の低下」が問題にされなければならないレベルなのかも知れないね。

 

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言葉」カテゴリの記事

コメント

巷では、妙に横文字を使いたがる文化が横行してると思い込んでいましたが、それとは逆の現象が起こってるんですね。
ボブ・ディランなんかは、歌詞(言葉数が多い)が複雑で、歌い回しも独特なものがあるので、難しいですね。
私は、ティーンエイジの頃、兄の部屋から、絶えずビートルズやカーペンターズの曲が流れてきてたので、意味もわからず、
発音そのままを耳で覚えたりしていたので、後年、外大付属の高校に入った時、英語の発音だけには、ちょっぴり自信があったりしたのを思い出します(←慢心)。

投稿: 琥珀波 | 2023年11月26日 17:13

>しかし最近の連中は「アヤシげなカタカナ言葉」満載の ”J-Pop" とやらしかやらないみたいなのだね。

まあそう十把一絡げにしてしまうのもどうかと思いますが(笑)
それだけ日本の音楽界も、若者がすんなりと聴けるように充実してきたといえるかもしれません。

これで思い出したことが有って、takさんは「トレーディングカードゲーム」というのをご存じでしょうか。1対1で対戦するのですが、数千数万種類のカードから自分好みの数十枚を集め、そのカードを交互に出すことによって一定のルール下で相手と勝負するものです。
最近では日本発の「ポケモンカード」などが主流ですが、30年前アメリカから入ってきた「Magic The Gathering」が私の周囲でも流行りかなり遊びました。各カードには詳細な説明が書いてあるのですが、当時は並行輸入の英語版のほうが圧倒的に数が多く、友人たちと辞書首っ引きでゲームを楽しんだものです。

で、これがtakさんにとっての洋楽と似ているのかなあと。思い返せば子供に対して「先生の若いころはそれが英語だったから本当に大変で・・・」みたいに愚痴をこぼした気がします(笑)。

投稿: らむね | 2023年11月26日 18:42

琥珀波 さん:

>ボブ・ディランなんかは、歌詞(言葉数が多い)が複雑で、歌い回しも独特なものがあるので、難しいですね。

難易度はちょっと高めですね。でも、英語の勉強にはかなりなりますよ (^o^)

>発音そのままを耳で覚えたりしていたので、後年、外大付属の高校に入った時、英語の発音だけには、ちょっぴり自信があったりしたのを思い出します

カタカナで振り仮名付けて覚えるんじゃなく、「耳からそのまま」というのが一番ですね。

いい覚え方をされて、何よりです。

投稿: tak | 2023年11月26日 20:17

らむね さん:

「トレーディングカードゲーム」というのは、ちっとも知りません。もしかしたら、俗に言う「トレカ」とかの部類ですか?
(それでも知らないことには変わりないんですが)

>当時は並行輸入の英語版のほうが圧倒的に数が多く、友人たちと辞書首っ引きでゲームを楽しんだものです。

なるほど、これが洋楽に代わって機能したわけですね。世の中、いろいろあるものですね (^o^)

いずれにしても、ゲームの世界もドメスティックになっちゃってるわけなんですね。いやはや ^^;)

投稿: tak | 2023年11月26日 20:22

戦争中に女学生だった母は、女学校2年生のときから英語の授業がなくなったそうです。
そのせいで今でも英語はまったくわからないとぼやいています。
私も自慢じゃありませんが、英語は全く自信がありません。
考えてみると学校英語と受験英語にしか接していなかったためでしょうね。

学校の英語の授業内容も私たちのころ(およそ半世紀も前のことですが…)とは随分違うものになってきているようなので、今の若い人たちは我々世代よりずっと英語ができるようになってきているのかと思っていたのですが、そうでもないのですね。
どうやら学校できちんと英語を勉強したかどうかはあまり関係がないようで、今は学校の外で経験するカルチャーが見た目とは違って瘦せ細っているのでしょうか。

投稿: nomibito-shirazu | 2023年11月27日 11:22

そういえば、学生時代独語の授業で「99 Luftballons」というPOPSをやったことを思い出しました。

投稿: automo | 2023年11月27日 13:52

日本人の英語力低下は、「英語なんてできなくても大して困ることはないと気付いたからさ」というのが私の結論。
実際日常生活で困ることはほぼない。
仕事でもほぼ日本語だけで事足りる。仕事上どうしても必要な人は英語が使えてます。

外国人観光客相手に英語が使えなくても困るのは相手です。
英語力ランキングで何位だろうが大したことではありません。いざとなったら翻訳アプリを使えばいいです。アプリもあと十年もしたらほぼ出来上がってるでしょう。
実際、こんなものも登場してることだし。
https://www.youtube.com/watch?v=C--Jhh3I7wE

投稿: ハマッコー | 2023年11月27日 14:16

nomibito-shirazu さん:

>戦争中に女学生だった母は、女学校2年生のときから英語の授業がなくなったそうです。

私の母もそのようなことを言ってました。どうやら同世代のようですね。

>今の若い人たちは我々世代よりずっと英語ができるようになってきているのかと思っていたのですが、そうでもないのですね。

できる子はかなりできても、平均的にはちっとも底上げされてないって感じですね。教える教師の問題もあるでしょうが。

投稿: tak | 2023年11月27日 15:20

automo さん:

"99 Luftballons" という曲は知らなかったので、YouTube で聞いてみました。1983年の曲なんですね。

いずれにしても、歌というのは語学学習にかなり役立つという印象を持ってます。

投稿: tak | 2023年11月27日 15:24

ハマッコー さん:

>日本人の英語力低下は、「英語なんてできなくても大して困ることはないと気付いたからさ」というのが私の結論。

それは言えてますね。確かに困ることなんてありませんから。

ただ、外国に行ったり、外国人の相手をする時には便利ですね。翻訳でコミュニケーションを取るより、直接の方が世界が広がります。

投稿: tak | 2023年11月27日 15:28

でも例えば、SFなどで見る「完璧翻訳システム」ができたら、英語教育ってどうなるんでしょうねえ。
すでに新聞のような文章なら、ほぼ100%の翻訳ができます。あと10年か20年か、文字だけでなくお互いの会話も、イヤホンとマイクを通してスラングやニュアンスまで通じ合える時代が来るかもしれません。そうなったら英語を勉強する意味って、古文や漢文なみに重要度が低くなるかもしれません。

京都人「ぶぶ漬けでもいかがどす?」
アメリカ人の耳「Get out.」
なんてww

投稿: らむね | 2023年11月27日 18:26

らむね さん:

>そうなったら英語を勉強する意味って、古文や漢文なみに重要度が低くなるかもしれません。

それでいいんじゃないかと思いますよ。

妙な譬えですが、歌舞伎のセリフがイヤフォンを通じて現代語で流れてきたら興醒めですから、昔の言葉のままで観賞したいですよね。

同様に、The Beatles の曲も、英語のままで聞きたいと思います。

そんな感じで、英語は英語のままで理解する方がいいと思ったり、どうしても翻訳しきれないニュアンスみたいなものを重視したいというような「物好き」な人は、英語を勉強すると思います。

投稿: tak | 2023年11月27日 19:38

実用的な意味もさることながら、語学だけでなく音楽や美術のようなアート系にしても、また歴史や地理・文学などの人文系の知識にしても、その背景にあるカルチャーへの興味・関心がないと身につかないということでしょうね。
学校でもそうした方向に誘導できるような授業が理想的なのでしょうが、そんな教師がどれだけいるのか…、多分限界があるのだと思います。

いずれにしても学校の中だろうと外だろうと、そうしたカルチャーに接する機会や体験があるとないのとではかなり違ってくるのではないかと思いますが。

投稿: nomibito-shirazu | 2023年11月27日 19:56

nomibito-shirazu さん:

>語学だけでなく音楽や美術のようなアート系にしても、また歴史や地理・文学などの人文系の知識にしても、その背景にあるカルチャーへの興味・関心がないと身につかないということでしょうね。

よくぞ言って下さった! その通りだと思います。カルチャーの領域まで導く教育が求められますね。

「そこまでできる力があったら、学校の教師になるより、アーティストになる!」なんて言われそうですが ^^;)

投稿: tak | 2023年11月27日 20:22

ポートフォリオも、定着しているのでしょうか。
アサインしました。キュレーターの動向は?先方とコミット。スキームがタイトでバッファが持てない。ファクト確定したらフィックス。

田舎の零細オッサンには、別次元の話になってます。
ただ!訳あって「サスティナブル」および、「持続可能な」って言葉は大っ嫌いです。

投稿: 乙痴庵 | 2023年11月29日 00:37

私は英語はからっきしなんですが、我が亡き親父殿は 進駐軍の通訳で糊口をしのいでいたらしいです。(伝聞)
なので 必要が英語力の源ってのには賛成。
但、私が中学生だったころ それこそ「雰囲気」で聞いている英語のレコード(ロック系)の歌詞に「当為(what should be done)がわからないから なんて甘えたことをヌカすんじゃネェ!」などと 突っ込むちょっと煙たい人でもありました。(おかげで 日本語と英語の両方辞書を引く羽目に。)

投稿: Sam.Y | 2023年12月 6日 18:14

Sam.Y さん:

>おかげで 日本語と英語の両方辞書を引く羽目に。

中学生でこの言葉を知っておいてよかったですね (^o^)

投稿: tak | 2023年12月 6日 19:16

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