「大富豪と CO2 増加」そして「資本主義と人口減少」
HUFFPOST に ”大富豪は CO2 を出しまくる「汚染エリート」。世界の上位 1%の金持ちが下位 66%よりも排出” という記事がある。私なんか金はないし、さらに最近は頭の中がシンプルになってしまってるので、これを読んで「おいおい、金持ちってヒドいなあ!」と憤慨してしまったよ。
これで思い出してしまったのは、3日前の 10月 20日に聴いたばかりの NHK ラジオ「マイあさ!」の中の「著者からの手紙」というコーナーである。この日はベストセラー『「人口ゼロ」の資本論』の著者である大西広さんが登場し、マルクス経済学の視点から日本の人口減に警鐘を鳴らしていた。
マルクスなんてすっかり過去の人のような気がしていたのだが、この番組を聴いて「マルクスが 1周遅れで生き返りつつあるのかも知れん」なんて思ってしまったよ。というのは、大西氏の「昨今の日本の『人口減』の要因は資本主義のもたらした『貧困、格差』だ」という主張に頷いてしまったからだ。
とくに「今までなんだかんだいっても、人口なんていうものはどこかから湧いて出るものだという考えがあった」「はっきり言って資本主義は人口の再生産の問題に関心がなかったんです 」「(ヒトが)搾取の対象としてしか見なされなくなって、人口減を加速させている 」との指摘に共感した。
私としては、ここで大西氏が言う「人口」と「ヒト」を、「自然」という言葉に置き換えてみても全く違和感なく通じてしまうことに気付き、驚いてしまった。念のため、下に置き換え表示しておく。
- 自然なんていうものはどこかから湧いて出るものだという考えがあった
- 資本主義は自然の再生産の問題に関心がなかった
- (自然が)搾取の対象としてしか見なされなくなって、自然破壊を加速させている
大西氏の放送が 20日の月曜日で、今回冒頭で紹介した HUFFPOST の記事が翌 21日付というのも、何かの因縁のような気さえしてしまうほどだが、その HUFFPOST の記事は次のような言葉で結ばれている。
Oxfamの気候正義政策シニアアドバイザー、Chiara Liguori氏はこう述べる。
「超富裕層は、地球が破壊する程にまで略奪し汚染しています。そして、その最も高い代償を払うのは余裕がない人々なのです」
これまで人口が増加すると自然が破壊されると単純に考えていたが、どうやらそんな単純な理窟ではなさそうだ。現代社会では「経済」という要素が絡むと、「人口減」と「自然破壊」が表裏一体のようなのである。資本主義は既に煮詰まってしまっているのかもしれない。
そういえば、大きな失政があったわけでもないのに岸田内閣支持率が低下する一方(参照)というのも、あるいは時代の底流を現していると言えないこともない。こうなると、21世紀に通じる「新マルクス主義」みたいな考え方が台頭する可能性もあるよね(参照)。
【付記】
ちなみに「著者からの手紙」で放送された文字データは「NHK 読むらじる」の こちら で読むことができ、音声データも 12月 4日午後 0:00 までなら こちら で聴くことができるので、興味のある方はどうぞ。
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コメント
配分の問題もありますが 上位1%の人がそれだけのCO2を排出できるのは残りの人口のおかげということですよね。
このHUFFPOSTの記事では 1%が7700万人としていますから世界人口を 77億程度とみているようですが、2023年半ばの推計で80億4500万人らしいです。
1974年の世界人口は40億、59年が30億ですからとんでもない勢いで増えています。
2064年にピークとなった後減少に転じるとの説もあるようですが(wikipedia/世界人口)本当に100億近い人口を支える底力が地球にあるのかとても心配です。
そんな時代に一国のエゴで「少子化対策」なんて言っていて良いのかなぁなんて思っています。
「経済」にしろ「人口」にしろ とにかく拡大を続けていないと こけてしまうなんていう状況はそろそろ変えないといけないんじゃないでしょうかねぇ。(ま それじゃぁどうすりゃいいのよって考えは 全然ありませんが、、)
投稿: Sam.Y | 2023年11月23日 18:20
Sam.Y さん:
>そんな時代に一国のエゴで「少子化対策」なんて言っていて良いのかなぁなんて思っています。
>「経済」にしろ「人口」にしろ とにかく拡大を続けていないと こけてしまうなんていう状況はそろそろ変えないといけないんじゃないでしょうかねぇ。
人口問題、自然破壊問題というのは、経済問題なのですね。マルクスの再登場というのもわかる気がします。
投稿: tak | 2023年11月23日 21:29