「ホルモン」と「放るもん」を巡る冒険
火星うなぎくらげ さんという方が「ホルモン買ったらまさかの人間まで入ってた」という tweet をしておいでだ。「人間まで」というのは、「佐藤」(多分「砂糖」の誤変換)のことだろう。
ただ私としては、添えられた写真の方に大きなインパクトを感じてしまった。これまで「ホルモン」というものに関する明確なイメージをもっていなかったので、「ホルモンって、こういうものだったのか!」と初めて納得したのである。
「じゃりン子チエ」というマンガがあって、このチエちゃんちの家業が「ホルモン焼き屋」なのだが、私はこのマンガのファンのくせにずっと「ホルモン」というのがどんなものなのか、きちんとわかっていなかった。まさか内分泌系の「副腎皮質ホルモン」とかを抽出して焼いたってわけじゃないだろうし。
その昔、雑誌か何かに「牛や豚の内臓のこと」と書いてあったのだが、それだけではぼんやりとしかわからない。「ホルモン焼き」という名称は関西でよく見聞きするが、関東や東北ではあまり馴染みがないし、私はいつの頃からか肉を食わなくなったので、ますますわからないままできたのである。
ところが今回、火星うなぎくらげ さんの tweet と、添えられた自己レスの写真を見て「へえ、こういうものだったのか!」と初めて「ホルモン」というものの正体を見たような気になってしまった。なにしろ「原材料名」として「牛小腸・大腸」と明記してあるのだから、間違いない。
さらに「ホルモン焼き」でググっても、最近はいろいろな画像が豊富に検索されるようになっていることに驚いた。こんな感じである。大阪の道頓堀辺りを歩けば「ホルモン」という看板だらけなのだから、こんなに豊富なこなし方があるのも不思議ではない。
ちなみに何でまた牛や豚の内臓を「ホルモン」と言うようになったのかは、だいぶ前に関西弁の「放るもん(捨てるもの)」から来たというのを聞いたことがある。ただ私の直感としては、この説はできすぎで、ちょっと眉に唾付けて聞いとく方がいいという気がしていた。
改めて調べ直してみると、「語源由来辞典」というサイトに次のようにある(参照)。
牛豚の内臓の「ホルモン」の語源には、関西弁で「捨てる物」を意味する「ほおるもん(放る物)」に由来する説。
生理的物質の「ホルモン(Hormon)」にあやかり、栄養豊富な内臓を食べ、活力を与えるイメージで名づけられたとする説がある。
かつては、関西弁の「ほおるもん」の説が有力とされていた。
しかし、戦前には、牛や豚の内臓以外に、スッポンなどのスタミナ料理も「ホルモン料理」と呼ばれていたことが分かってきた。
そのため、現代では生理的物質の「ホルモン」に由来する説が有力と考えられている。
これに関しては Wikipedia の「ホルモン焼き」の項にも同様の説明があるので、納得しておこう。やっぱり「放るもん」は後付けの洒落だよね。
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コメント
富岡市には「ホルモン揚げ」なるものがあります。
昔は夜店で一本5円で売られてました。
https://we-love.gunma.jp/gourmet/horumonage
ちくわを縦に切り棒にさしてパン粉を付けて揚げ、ウスターソースを付けて食べます。
多分富岡だけの超ローカルな食べ物です。
投稿: ハマッコー | 2024年1月23日 19:50
ハマッコー さん:
へえ! 「ホルモン揚げ」とは初めて知りました。世の中、本当にいろいろあるものですね。
しかも竹輪を縦に切った形が腸のようだからというのが、しっかりと関西系の発想を受け継いでいるという点に驚きました。
投稿: tak | 2024年1月23日 20:18