指を使った数え方、日本式が便利でスムーズなんだが・・・
パンドラの憂鬱というサイトに ”海外「なんで日本だけ違うんだ?」指を使った数の数え方が日本人だけ世界的に特殊だと話題に” という記事がある。なるほど、日本以外は折った指を立てていくという「外向的」な数え方だが、日本は立てた指を折っていくという「内向的」なアクションだ。
上の画像では、一番上が米国・中国式、2番目がドイツ、イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパ式、そして一番下が日本式である。
日本では昔から「指折り数える」なんて言うが、日本式以外だと「指立て数える」と言わなければならないだろう。そして日本式は常に掌を自分の方向に向けるのが特徴だ。向こう側に向けて数えるなんてことは、ほとんどない。
ということは、日本式は自分の目で確認しながら数えていくためのメソッドで、いわば「内向的」かつ「連続進行的」である。そして日本式以外は「数える」という連続性よりも、外に向かって「数を示す」という「外向的」かつ「固定的」な機能の方がやや大きいだろう。
「残りは 3つしかないよ!」と言う時には、指を 3本立てて他に示す方が圧倒的にわかりやすい。そして注目すべきことに、日本人だってそんな場合は米国・中国式に指を立てる。指を 3本折った状態で他に示すことなんてないのだから、意識的、無意識に関わらず使い分けているのだ。
それだけに「数を連続的に数えていく」という機能に限定すれば、日本式の「指折り数える」やり方にメリットがある。それは 5 まで達したら、あとは逆戻りして指を開きつつ「6,7,8・・・」と、10 まで数えられるということだ。他の方式だと 10まで数えるには両手を使わなければならない。
さらに余計なお世話かもしれないが、米国・中国式だと 3 を示すのに小指を折って親指で押さえるというのが結構難しいし、ヨーロッパ式だと 3 から 4 に移る時に一度開いた親指をたたんで小指を開くという、ちょっと変則的な動きになってしまう。その点でも日本式は圧倒的にスムーズだ。
元記事へのコメントを見ると、外国でも日本式の数え方をしているという人は少なくない。それだけ、慣れてみれば日本式が便利と言うことだろう。そしてパンドラの憂鬱の記事は、最後で筆者が次のようにまとめている。
基本的には人によるでしょうかね。
自分も最後から2番目の方と同じで、
自分のために数える時は「日本式」で、
相手に伝える時は「米国式」ですね。
穿った見方をすれば、「内向き/外向き」で表現がガラリと変わるメソッドというのは、そもそもの日本的メンタリティを象徴しているとも言えそうである。
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コメント
高校時代野球部のキャッチャーの人差し指と小指を立てる「2」のサインが印象的でした。 野球界隈で一般的なのか気になったので今更ながら調べてみました。 なかなか検索が難しかったですが「野球 ハンドサイン」で調べてみるといくつか出てきました。 どうやら野球界では一般的なようですね。
投稿: Sam.Y | 2024年2月19日 17:35
Sam.Y さん:
へえ、野球では「ツーアウト」を示すのにキツネみたいな形にするんですね。この年になるまで全然気付いてませんでした。
遠くから見ても 「1」と間違えないように、離れた指を使うわけですね。
投稿: tak | 2024年2月19日 17:50