青森から新潟まで行くのに、大宮経由の方が早いとは
資正さんという方が、「正直これは交通政策の失敗と言わずして何を失敗というのやら…」と tweet しておられる。青森から新潟までの鉄道路線を検索すると、新青森で東京新幹線に乗り換えて埼玉県の大宮まで南下し、そこから上越新幹線で新潟に北上するルート(下図の赤い線)が示されるというのだ。
青森から新潟までと言ったら誰もが日本海に沿ったルート(緑の線)をフツーに思い浮かべるだろうが、検索アプリで優先的に示されるのはとんでもない遠回りルート。この方が「最短ルート」よりずっと速く着ける「最速ルート」ということのようなのである。
どれどれと、試しに青森駅を午前 7時過ぎに出発するという設定で調べてみると、下のように秋田経由だと、青森発が 7時 4分発で、新潟着が 14時 19分着となってしまうが、大宮経由だと 7時 24分発で 12時 32分着と、2時間以上短縮される。20分遅く出て 1時間 47分早く着くというのはすごい。
ただ、距離にすると直線に近い秋田経由ルートは 458.8kmだが、大宮経由の新幹線ルートは倍以上の 990.9km になる。一見すれば馬鹿馬鹿しいほどの遠回りなのだ。
それでも日本海ルートの方が時間がかかるのは、青森から秋田までの区間を延々と各駅停車で南下するほかないからである。東北日本海側というのは、本当に交通が不便なのだ。まったくもう、どんだけ僻地扱いされてるんだ。
ただ、運賃はさすがに秋田経由の方が安く、特急料金を入れても 9,790円で済む。距離が倍以上長い上に新幹線を 2本乗り継ぐ大宮経由ルートの 23,230円と比べれば半額以下だ。ちなみに東海道山陽新幹線だと、23,610円で博多まで行けてしまう。
こんなことだったら、私は断然秋田経由の方を選ぶなあ。2時間ちょっと余計にかければ 13,440円浮くんだから、1時間あたり約 6,700円である。こんな時給の高いバイトはそうそうない。
私は秋田と新潟のほぼ中間地点となる山形県庄内の出身だから、東北日本海側の交通の不便さは身を以て知っている。その不便な中で、東京から秋田と新潟までは新幹線が通されたが、庄内の酒田までは来ていない。
東京までの往復は在来線特急の「いなほ」で新潟まで行き、そこで上越新幹線の「とき」に乗り換えることになる。不便の中のさらなる不便だ。
上越新幹線は新潟止まりだが、そこから先の秋田、青森まで延長し、上越・羽越新幹線としてしまえば、東北新幹線の盛岡から分かれて、秋田まで山の中をエッチラオッチラ行く秋田新幹線なんて、作る必要がなかったのになあと思う。どうしてその発想がなかったんだろう。
こうなったら我が地元、庄内としてはこの不便さを逆手にとって、東北日本海側独自の文化を熟成していくほかない。その意味でも、阿部彩人さん、頑張れ!
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