過度の飲酒習慣は「幻想」によってもたらされる
昨日は「酒って、カラダとアタマの両方を変えてしまうのだね」なんて思わせぶりなタイトルの記事を書いたが、それは本日付と合わせて 1セットにしようと考えていたからである。参照したのは昨日同様 Gigazine の、「なぜアルコールのない人生はつまらないと感じるのか?」という記事だ。
この記事は冒頭からして飲酒にかなり批判的だ。こんな感じである。
以前は「適度な飲酒は健康にいい」といわれることがありましたが、その後の研究により飲酒は適量であっても脳を萎縮させ、心臓の健康を害することなどが明らかになっており、アルコール製品にがんに関する警告表示を義務づけるべきとの声も上がっています。
Gigazine ではこの他にも、飲酒に批判的な記事が目立つ。これは Gigazine の方針が「反アルコール」だからというわけじゃなく、このサイトのほとんどが欧米のニュースを翻訳紹介したものだからだろう。要するに昨今の欧米のトレンド自体が「反アルコール」なのだ。
今回の記事の元記事は Psychology Today の "Why Life Can Seem Joyless Without Alcohol" で、サンフランシスコのセラピスト、ジャネット・フー(Jeanette Hu AMFT)氏の寄稿によるものだ。彼女自身も以前はアルコールが手放せない生活を送っていたというだけに説得力がある。
日本語版のタイトルはまんま翻訳だが、元記事には”An illusion created by habit, desire, and narrowed attention.”(習慣、欲望、狭められた関心によって形成される幻想)というサブタイトルが付いていて、これが全てを物語っていると言っていいだろう。
彼女によれば、飲酒は習慣化しやすく、それは「きっかけ」から入って「ルーチン」(決まり切った日課)となり、そして「報酬」という道筋を辿る。飲酒の場合の「報酬」とは、酔った時の「陶酔感」だろう。
この道筋によるループを繰り返すうちに「習慣」がもっと酒を飲みたいという「欲望」に繋がり、さらには「狭められた関心」に至る。それは飲酒のほかに喜びが見いだせないという状態だ。
フー氏は、こうしたことは「脳によって作られた幻想」に過ぎないとし、次のように語る。
喜びのある人生には、お酒に酔って騒ぐことよりもはるかに多くの価値があります。アルコールだけが価値あるものだという脳の主張にだまされてはいけません。強烈な欲求があったとしても、時間がたつにつれて渇望は弱まり、最終的に収まります。
これって過度の飲酒習慣の克服に限らず、人生のいろいろな問題においてもかなり示唆的な話だろうね。
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