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2024年2月15日

「50歳からの」という通俗マーケティングの怪現象

読売新聞オンラインに ”出版界の怪現象「50歳からの」と題名をうたった本が続々……読書案内や精神論、旅案内も” という記事がある。このタイトル、「〜と題名をうたった本」という言い回しにもちょっと「怪現象」っぽさを感じるよね。

240215

ただこれ、見出しを付けた編集者の方の言葉センスの問題のようで、本文はオーソドックスにこんな書き出しなので安心した。

題名に「50歳からの」とうたった本を最近、書店でよく見かけるようになった。

「50歳からの〜」というタイトルの本が増えたことの理由はまったく単純な話で、日本の年齢別人口を見ると 50歳前後が最も多いということのようだ。人口が多いなら少しは売れるだろうという、単純マーケティング視点である。

記事に添えられた統計グラフによれば、50〜54歳の人口が 970万人、45〜49歳の人口が 903万人と、明らかに多い。いわゆる「団塊ジュニア」世代だ。

ただ驚いたことに、見たところ私(現在 71歳)の属する 70〜74歳 という年齢層が 45〜49歳に続いて 3番目になっている。詳しい資料(総務省統計局人口推計)を参照してみると 2024年 1月現在、70〜74歳は 867万人で、団塊の世代より多いじゃないか。

いわゆる「団塊の世代」は「第一次ベビーブーム期(1947~49)の生まれだから、昨年 1月時点の資料では 75〜79歳の層なのだが、人口は 755万人となっている。「数の力」を武器としてきた彼らもそろそろあの世に召される時期に差しかかり、減少し始めているようなのだ。

世の通俗マーケッターたちとしては、これまで金科玉条としてきた「団塊の世代」の威力が失われてしまったので、それならばと「団塊ジュニア」に軸足を移したということなのだろう。

ちょっと蛇足だが、こうした企画の一つ、中央公論新社編『50歳からの読書案内』という本の紹介文に "50歳は「人生100年時代」の折り返し地点 " とある(参照)のに驚いてしまった。いつの間にか、人はフツーに 100歳まで生きるってことにされてしまったようなのだね。

しかし 80歳に近付いた「段階の世代」向けに『残された 20年以上の読書案内』なんて本を出しても売れるはずがないから、これもまたお馴染みの「雰囲気のもの」なのだろう。

 

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