地獄の沙汰で 煩う前に 戒名さえも 金次第
ぼるしち さんという方が、「人が亡くなったーとかの知らせを聞くと、いつも思い出すのが自分の父親が死んだ時」という tweet をしておられる(参照)。
坊さんが(明記されていないが、話の流れからして多分坊さんだろう)「いくら払えばいいか」を教えてくれないから、面倒臭くなって 5万円しか包まなかったところ、戒名が 1文字だったというのだ。それで坊さんを出入り禁止にしたらしい。
坊さんに「いくら払えばいいんですか?」なんて聞いても「お気持ちで」ぐらいの返事しか返ってこない。そういうものである。だったら、その「気持ち」をありがたく受け取ればよさそうなものだが、実際には金額によって以後の展開が違ってくる。これもまた、そういうものである。
こうした相場というのは坊さんに聞いてもしょうがないから、親戚か知り合いの訳知りに聞くのがいい。身近に訳知りがいなかったら、今どきはインターネットがあるので試しにちょっと検索してみた。
グリーン司法書士 OnLine というサイトに「葬式でお坊さんに支払う費用は平均 47万円!お布施に関するマナーとは」というページがある。ただ「平均 47万円」とはいえ、そこはやはりランクがあるようで、下のような表が示されている。(地域差もあるようなので、注意)
こうしてみると、ずいぶん高額なものなのだね。金額の区切りがかなり大雑把だが、こういう場合はアタマに 1、3、5 のつく数字というのがお約束らしいので、いくら平均でも 47万円なんて包むのはヤバそうだ。ちなみに日蓮宗の場合は、50万円包んでも 15万円分の気持ちは伝わらないんだろうか。
ちなみに私の父が死んだのは東日本大震災のあった 2011年の 10月のことだったが、通夜の日のブログ記事に遡ってみても、当然ながらお布施の金額なんて書いてない。そして今となっては、いくら包んだんだかさえさっぱり覚えていない。
我が家の宗旨は浄土真宗だから、上に紹介した宗派の中では最も「リーズナブル」で、「居士」だの「院居士」だのというランクの法名(浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」という)はない。さすが「庶民の宗派」で、いっそいさぎよい。
ただお坊さんは父をリスペクトしてくれていたから、頼みもしてないのに「院号」まで付けて、生前の人柄を偲ばせる素晴らしい法名にしてくれた。お布施をむやみやたらにはずんだような覚えはないから、これは「金の力」ではなく「故人の遺徳」というものだろう。
一方で世の中には、生きている間は強欲非道なことをしながら、死んでしまうと「はぁ?」と言いたくなるほど立派な戒名(「〇〇院殿△△大居士」とか)がついちゃってるケースもある。遺族が金の力で買ってるんだろうね。いくら見栄を張っても、今どきは他人の戒名を気にする人なんていなんだが。
「地獄の沙汰も金次第」と言うが、地獄に行く前段階として、戒名はもっと現実的に金次第のようなのである。というわけで、せめて記事のタイトルだけはちょっとだけ洒落て都々逸風(🎵 ツントシャン 🎵)にしてみたのでよろしく。
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