ジイさんはガラケーだが、バアさんは LINE ユーザー
ちょっと前までは、世の中の年配女性は IT 音痴の代表格と思われていたのだが、最近はかなり様変わりしている。バアさん同士のお楽しみ会やら何やらの連絡を、盛んに LINE で取り合っているようなのだ。
一方、ジイさんには今でもガラケー・ユーザーが多く、インターネットの世の中ですっかり取り残されている。どうやら新聞とガラケーさえあれば十分と思っているようで、ショート・メッセージ(SMS)の扱いさえ覚束ない。
ちなみに最近はどこのオフィスを訪問してもすべてのデスクに PC が設置され、ほぼ完全に「1人 1台体制」となっている。つまり、デスクワークは PC でインターネットにつながりながらするものというのが常識になっているのだ。
日本の産業界がこうした状況になったのは、西暦 2000年前後からだと記憶している。それ以前、とくに ”Windows 95” が普及し始める 1995年までは、今となっては信じられないほどだが、紙に鉛筆で書いたものをコピーすればオフィシャル文書作成完了という時代だったのである。
そして現在 78〜80歳ぐらいとなっているジイさんたちの多くは、手書き文字を FAX でやり取りしていた段階で「世の中、便利になったものだ」と十分に満足し、PC なんかには指を触れたこともない人たちなのである。彼らは「パソコンなんか押しつけられる前に停年になって助かった」なんて思っている。
さらに下手に管理職なんかにまで出世したジイさんたちの多くは、現在 74〜75歳ぐらい(てことは「団塊の世代」)でも PC に触ったことがない。そうした仕事は部下に任せっぱなしだったのだ。霞ヶ関の官公庁なんかでエラソーな顔してたジイさんにしても、決して例外じゃない。
彼らは退職してからも IT 関連はできるだけ避けて通ろうとする傾向がある。現役時代に触らずに済んだのだから、退職してから触れるなんてとんでもないことと思っているので、当然「スマホ」なんてのも遠ざけておきたいわけだ。
だから彼らがサークルなどの役員になると、連絡を取り合うだけでも結構な「お荷物」になってしまう。私も 4月から居住地の自治会関連役員を 1年間勤めることになっているのだが、10人の役員のうち 75歳以上のジイさん 3〜4人はガラケー・ユーザーで、SMS も思うにまかせない。
そのため連絡はまるで大昔のように「紙の回覧板」を回すことになり、スマホを使うのが当然の若手(と言ってもほとんど 60歳以上なのだが)は、まるでタイムマシンで昔に戻ったような気がしている。
一方でバアさん連中は、ガラケーで音声通話しかできない夫を尻目にお茶やお花のサークルに所属し、LINE で話に花を咲かせている。サークルに入っていなくても、可愛い孫とのコミュニケーションに LINE は必須だから、ジイさんはここでも蚊帳の外だ。
彼女たちはスマホの初期設定みたいな面倒な作業は息子や娘にやってもらい、あとはルンルンでコミュニケーションを楽しんでいる。妙に小難しく考えて手を触れようとさえしないジイさんたちとはエラい違いだ。
というわけで今の世の中の最も決定的なデジタル・デバイドは、75歳以上のジイさんたちとそれ以外の層との間にあるとみてほぼ間違いない。
【4月 15日 追記】
4月 15日付で「バアさんがルンルンで LINE を楽しむ舞台裏」という記事をアップしたので、合わせてどうぞ。
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