「何が楽しくて・・・」となるかねえ
投資カピバラ @米国株相場実況Youtube さんという方が、「何が楽しくてハワイのホテルで自炊せにゃならんのだ...」と tweet しておいでだ(参照)。
これ、ANN の「超円安で ”節約” ハワイ旅行の現実」というニュースをもとにしたものらしい。ハワイ旅行をする人たちが節約のため、コンドミニアムに宿泊して自炊しているという話だ。
ニュース動画では円安のために海外旅行がにかかる費用がやたら高額になっていることがこれでもかと繰り返され、円高で浮かれていた 2011年頃の「爆買いツァー」との対比も浮き彫りにして伝えられている。いやはや、時代は変わるものだ。
ただ、ここで問題にしたいのはそうした経済問題ではない。私のことだから、例によって「言葉」に関する話である。そもそも私に経済なんか語らせてもしょうがないからね。
私が何に引っかかってしまったのかというと、記事タイトルにもしたように、冒頭の tweet の「何が楽しくて・・・」という言い方についてである。こうした場合、いわゆる「こなれた日本語」としては「何が悲しくて・・・」という常套句があるのだがね。
Wiktionary では「話し手から見て意欲が湧かず憤りすら覚える行為をする必要に自分自身あるいは第三者が迫られた場合にその行為を修飾する表現として用いられる」とある(参照)。ずいぶん持って回った説明でわかりにくいが、要するに揶揄するというか、今どきの言葉ではディする場合の決まり文句である。
ちなみにこの項目の「関連語」として「何が楽しくて」というのが挙げられているので、「何、最近はそんな言い方が一般的になってるのか?」と驚いてクリックしてみたところ、"「何が楽しくて」を作成中 ウィクショナリーには現在この名前の項目はありません" と表示された。やっぱりね。
「何が楽しくて・・・」と言ってしまっても、もちろん「単純意味」的には通じないわけではないが、「ちょっと乱暴な言い方の疑問文」になってしまい、ディスり感覚はすっかり薄れる。「お答えします。これこれこういうことが楽しいんですよ」と言われたら、「ハア、そうでしたか」と矛を収めておしまいだ。
ちなみにこの tweet をされた当人の意図としては、やっぱりディスりたかったようなのである。「こんな海外旅行は嫌だ...」と自分でコメントしている(参照)ことからも、それは明白だ。
であるならばこう言っちゃナンだが、「何が楽しくて・・・」では、やはり日本語としての「稚拙感」は否めない。この方、経済問題には強くても言葉にはそれほどでもないみたいなのだね。私とは真逆である。
まあ、世の中いろいろな人がいて、それだからこそ面白いということにしておこう。で、いろいろな人がいるからこそ、「ハワイで自炊」を楽しむ人だっていていいわけだ。
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