再び、日本の人口減少についてあれこれ
今月 14日に「人口減少の日本、もう「消滅した星」だそうな」という記事を書いてから 10日目の昨日、民間の有識者グループ「人口戦略会議」が、全国の 744自治体に「消滅可能性」があると発表し、いきなり具体的な話になってしまった(参照)。
この 744自治体というのは、2050年までに 20代から 30代の女性が半減し、「最終的には消滅する可能性がある」とみられる市町村で、全自治体の約 4割というのだから、結構な比率である。
私は日本全国のあちこちに行っていろいろ取材する仕事をしてきたので、前にも書いたように日本の全都道府県で一泊以上したという経験をもつ。行った先には山の中の小さな集落もあり、バス停で降りると周囲の家の表札がほとんど同じ名字なんていうところもあった。
そうした集落は老人夫婦だけの世帯がやたら多く、若い層がいたとしても日中は仕事に出ているので、日が暮れるまでは本当にジイさんバアさんばかりの世界である。そしてこの老年世代が死んでしまったら、空き家だらけになってしまう。
総人口が数千人なんていう村は本当に人影まばらで、「よくまあ、村役場が維持できるものだなあ!」とさえ思ってしまう。現実としては維持できなくなる前に近隣と合併するしかなく、最近の市町村合併はそうした緊急の必要性に迫られてのケースも多いはずだ。
下のグラフは総務省の「我が国における総人口の長期的推移」というページの冒頭にあるものだが、日本の総人口は 1868年の明治維新から 2004年までの 136年間で、約 3.8倍に増えていることがわかる。これは江戸時代前期(江戸幕府成立〜享保改革)の約 130年で 2.5倍という記録をはるかに凌ぐ。
2004年以後の日本の総人口は減少基調に転じており、14日の記事で述べたように 2011年からは 13年連続の減少となっている。今後は 2050年までに 人口が 1億人を切り、2100年には 4,771万人(高位推計では 6,407万人、低位推計では3,770万人の幅がある)まで減少するとみられる。
この数字は明治維新時の 3,300万人よりは多いものの、当時は年齢別人口構成がきれいな「ピラミッド型」だった。昨今は「逆ピラミッド型」なのだから、状況がまったく異なる。日本中が田舎の村のように年寄りばかりの世界になるということだ。
今年 1月に発表された人口戦略会議の、2100年までに人口 8,000万人を目指すという方針にしても、この時点ではベースとなる 2100年の人口予測を 6,278万人と、このほど示された数と比べると 1,500万人も楽観的に見ており、ノー天気にさえ思えてしまう。
ちなみに私の故郷、山形県の庄内地域にある 4つの自治体(酒田市、鶴岡市、遊佐町、庄内町)も、当然の如くすべて消滅可能性リストに含まれてしまっている(参照)。こうなったら 4つが合併するほか存続の道はないだろう。
その曉には新市名はおそらく「庄内市」となるだろうが、この表記のまま「しょうがないし」と読まれかねない。そうなったら私の名前も "tak-shoganai"とマイナーチェンジしなければならないね。
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 妖怪の多い鳥取と、神様の多い島根についての感慨(2024.10.29)
- なるほど、京都は休日に行くところじゃなくなってた(2024.10.19)
- パリの人たちって、ウンコ強いよね(2024.08.05)
- 「がっこ」が美味しそうでたまらない(2024.07.23)
- 京都の「オーバーツーリズム問題」を考えてみる(2024.06.09)
コメント