香港から脱出するためには、公務員ではいられない
NEWS ポストセブンが「香港で公務員が 1年間に 1万人以上も辞職 民主化運動弾圧や中国政府への忠誠を求めらることに嫌気、若手職員不足が深刻化」というニュースを伝えている。ほとんど中国政府直轄になってしまった香港で公務員なんかしたくない気持ちはよくわかる。
それにしても 1年で 1万人も辞職するというのはスゴい。本文には次のようにある。
香港ではここ数年の民主化運動の取り締まり強化などに抗議して、辞職する政府職員が増加。2022会計年度(2022年4月~2023年3月)の1年間では、1万人以上の公務員が辞職していたことが明らかになった。これは 2018年度の辞職者数 8500人を上回り、歴代1位の記録となった。香港各紙が伝えた。
この記事では辞職の理由を、「ここ数年の民主化運動の取り締まり強化などに抗議して」としか伝えていないが、実際にはもっと切実な理由がある。それは DIAMOND online がほぼ 1年前に伝えた「中国化が止まらない香港で、移民ブームと公務員の大量辞職が起きる理由」という記事に詳しい。
英国は香港の返還に際して「歴史上の道義的責任」として、1997年 6月まで香港生まれの市民に「英国海外国民(British Nationals Overseas)パスポート」(以下 "BNO")というものを発行していた。これさえあれば、香港を脱出して英国などへの移住が容易になるのである。
しかし香港政府は昨年以来、公務員の BNO 返上を命じていた。つまり「公務員は英国籍を捨てて、100% 中国人になれ」と強制しているわけで、要するに公務員を続ける限り移住が困難になるということにほかならない。
それならば結論を出すのは難しいことではない。公務員を続けて自由を失うより、辞めて移住への道を確保することの方がずっと重要だ。不自由な見せかけだけの地位よりも、自由を求める公務員が続出するのは当然の話である。
香港の問題について私は過去に何度か書いたが、2021年以後は残って自由を確保することの困難さが明らかになったので、とにかく脱出する方がいいというと思うようになった。以下の 2つの記事に詳しい。
香港人、逃げろ! (2021年 8月 15日)
再び、「香港人、逃げろ!」 (2023年 12月 8日)
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- インドで「独裁」なんて、成立するわけないじゃん(2024.09.17)
- 米国大統領選のテレビ討論は、ハリスの戦略勝ち(2024.09.12)
- イーロン・マスクの Twitter なんて、潰れていいよ(2024.09.04)
- 焼肉店の倒産が増加しているんだそうで・・・(2024.08.20)
- 「成長」より「成熟」を求めるしかない日本だが(2024.08.16)
コメント