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2024年4月29日

「中国での日本語」と「日本での英語」は似たようなもの

砂浜さんという方が、「初めて旅先で発熱したのだけど、ホテルが優しくて冷えピタ買ってきてくれた…」と tweet しておいでだ(参照)。旅先というのは中国のようなのだが、どうやらこれ、小林製薬の「熱さまシート」の中国版パチモンらしい。

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パッケージ・デザインまでパチモンの王道を行っていて、カラリングはオリジナルの赤ちゃん用を踏襲したようだ。まあ、効果がありさえすればいいんだけどね。

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それにしても「斎藤は熱を抜く」というのは意表を突いた商品名である。パッケージの左上には「斎藤薬品」というおそらく架空のメーカー名が記されており、もしかしたら「熱さまシート」の「シート」が「斎藤」の中国語発音と似ているのかとも思ったが、どうもビミョーだ(下の【備考 1】参照)。

これへのコメントとして nori さんという方が、”中国では意味不明な日本語でも「日本=高品質」みたいな感じで売れるそうです” として、「アンメルツ」の正規の中国版とパチモンの並べられた店頭写真を紹介してくれている(参照)。

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ちなみに「アンメルツ」(これも小林製薬)は中国では「安美露」という表記なのだね(右端)。「アンミールゥ」みたいに発音するのかなあ。対してパチモンの方のネーミングは「なきゐ/づづきき」だの「なまう/つぢつぢ」だの、摩訶不思議な呪文じみている(参照)。

なまじ中国語に迎合して「安美露」なんて漢字にするより、意味はどうでもいいからモロに平仮名を前面に出す方が「日本」を感じさせられるのだろう。なるほど、確かにインパクトが違う。

日本人はこれで笑ってしまうが、実はそう安易に笑ってもいられない。例えば初めて来日した米国人が日本人に「マクドナルド好き?」なんて聞かれても、それがハンバーガーの " McDonald's" のこととは理解できない(【備考 2】 参照)から、「なまうつぢつぢ」とそれほど変わらないと言っていい。

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さらに日本における英語(らしきもの?)表現というのもかなりなもので、下は今年 3月 20日の記事で紹介した「変な英語」入りの看板である。

これらの看板の英語を見た英米人は、中国の薬局でアンメルツのパチモンを見た日本人と同様に「はぁ?」となってしまい、次の瞬間「しょうがねえなあ」と苦笑いするのだろう。

つまり「中国での日本語」は「日本での英語」と同様、「一見もっともらしく見えさえすればいい」という点で、似たようなものなのだ。言葉として「まともに通じるように」なんてことは、思いもしてないからね。

【備考 1】

シートは中国語で「床単」(Chuángdān)だそうで(参照)、「斎藤」は ”Zhāi téng”(ジャイトン)だそうだ(参照)。似ているようで、そうでもないようで、まさにビミョーだね。

【備考 2】

このことについては、2021年 7月 13日付の「 日本語の固有名詞をローマ字表記する場合のむず痒さ」という記事で、次のように触れている。

その昔、一緒に合気道を習っていた生まれも育ちもニューヨークのユダヤ人、ピーターは、「日本に住んで何年経っても、日本人が『マクドナルド』と言うのを聞くとムズムズ(itchy)する」と言っていた。

 

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コメント

日本マクドナルドの商品には米国の McDonald's にはない商品が沢山あります。だから日本ではマクドナルドでいいのです。ピーターさん、そこのところをご理解ください。

‟上を向いて歩こう”が米国では ‟SUKIYAKI”になってしまいましたが日本人は誰一人としてムズムズなんかしなかったと思います。ピーターさん、どうか寛容に。

投稿: ハマッコー | 2024年5月 1日 23:20

ハマッコー さん:

なるほど (^o^)

投稿: tak | 2024年5月 2日 08:27

これで 練習しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=qd-V953wYlc

投稿: Sam.Y | 2024年5月 3日 16:10

Sam.Y さん:

メロディ付けないと言えなくなりそう (^o^)

投稿: tak | 2024年5月 3日 19:52

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