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2024年5月 5日

日本の報道の自由度が世界 70位という妥当な評価

国境なき記者団(仏語: Reporters Sans Frontières 略称 RSF、英語:Reporters Without Borders 略称 RWB」が 3日に発表した 2024年の「報道の自由度ランキング」(調査対象 180カ国)で、日本は前年の 68位から順位を 2つ下げ、G7(主要7か国)で最下位の 70位と伝えられた(参照)。

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この件について、日本の大手メディアはどれも粛々と「客観報道」していて、とくに踏み込んだところまでは伝えていない。これは当然と言えば当然で、少しでも踏み込んでしまったらかなり真摯に自己批判しなければならないからね。

欧州在住のフリージャーナリスト木村正人氏は、大手メディアと比較すれば多少は具体的な点まで書こうとしているのを感じさせる(参照)。冒頭はこんな感じだ。【括弧内の(同〜位)というのは、昨年の順位】

G7 ではドイツ 10位(同21位)、カナダ 14位(同15位)、フランス 21位(同24位)、英国 23位(同26位)、イタリア 46位(同41位)、米国 55位(同45位)だった。

欧州連合(EU)内部からロシアのウラジーミル・プーチン大統領を援護するオルバン・ビクトル首相が強権主義を強めるハンガリーでさえ 67位(同 72位)。アフリカのコンゴ共和国は日本よりランクが 1つの上の 69位である。

日本の報道の自由度は例年 70位内外で(2019年 67位、20年 66位、21年 71位、22年 68位)、「自由とは決して言えない」レベルを保っている(参照)。つまり自慢にならない安定レベルだ。

RSF のフィオナ・オブライエン英国支部長は、日本の報道自由度の低さは「ジャーナリストが特定のテーマについて報道するのが難しい」ことに由来するとして、次のように語る。

ジャーナリストがよりデリケートなテーマについて報道する自由に伝統の重みや経済的利益、政治的圧力が影響を与え、政府の責任を十分に問うことを妨げている。

この慎重な言い方を思いっきりかみ砕くと、日本では「このように報道しろ」という露骨に強権的なまでの報道介入は一般的ではないものの、「この件には触れないでくれ」という無言の圧力は確実にあるということだ。つまり、かなり重要な情報でもニュースにならないことが少なくないのである。

こうした雰囲気の温床となっている「悪名高い記者クラブ制度」について、「記者会見や政府高官との接触を既存の報道機関にのみ認めており、記者を自己検閲に追い込み、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別となっている」との指摘を、木村氏は率直に書いている。

これなどは、大手メディアの最も書きにくいところだろう。何しろ、突出したことを書いてしまうと記者クラブから外され、公式記者会見にも参加できなくなるのだから、自動的に「自己検閲」が働くシステムになってしまっているのだ。

この記事ではジャニー喜多川の性的虐待に関して英国 BBC 放送が TV ドキュメンタリーで報じるまで、「週刊文春や告発本を除き、日本の主要メディアはダンマリを決め込んだ」と指摘されている。日本のメディアが「触れてもらいたくない」という圧力に極めて弱いという典型的実例である。

これに類したことは芸能界に限らず、政治経済の世界にだっていくらでもある。この国では関係者なら誰でもフツーに知っているスキャンダルでも、外部にはほとんど伝わらない仕組みになっているのだ。このほどようやく明るみに出た自民党の「裏金問題」などは、そのほんの一例だろう。

こうしたことを思えば「報道の自由度 70位」というのは、かなり妥当で仕方のないところである。

最後に、このニュースに関する日本のどの記事も触れていないことについて書いておく。それはこの記者会見の写真で見る限り、発表者側の席にいるのが「全員女性」ということだ。あるいはフレーム外の端っこに男性がいるのかもしれないが、「メインは女性」であることに変わりはない。

これって、オッサンが冴えない雁首揃えてお約束の決まり文句だけ並べる日本の記者会見とは、天と地ほどの違いだよね。そういえば日本のジェンダー・ギャップのランキングは、報道の自由度よりさらにずっと低いんだった。

【2023年版】世界のジェンダー・ギャップ指数ランキング | 日本は過去最低となる世界 125位に後退

 

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コメント

>「悪名高い記者クラブ制度」

司会者が記者の本名氏名で、質疑応答してますからねぇ…
忖度アリアリですよねぇ。
(海外ではどうやってるのかは知りませんけど)

よっぽど悪名高き5chやYOUTUBEの方が自分の意見とは異なっても、まぁ朝●とやN●Kより何となぁく信用までは行かなくても、まだマシな気がします。

投稿: Senna | 2024年5月 6日 10:29

私の出身地の自治体の公務員が公印を使って地銀から市長の裏口座の金だと言って複数回にわたり計51億円の大金を借り入れました。
これは‟大事件”です。

しかし、メディアは公務員が不正に51億円を借り入れたということしか報じませんでした。
・裏口座の金だと言われて公印があるとはいえ貸し出す銀行
・51億の金が動いてるのに気が付かない市
・51億の金の行方、半分くらいは不明
疑問点はいくらでもありますが、メディアはそれらについては一切追及しませんでした。最終的には市側が地銀に24億を100年ローンで返済するということでこの事件の報道は終わってしまいました。

地元の銀行に勤めていた友人にこの話を振るとどうやら真実を知っているようですが、口を噤んでしまいます。
メディアに権力者から大きな圧力が加えられたとしか考えられません。何しろ戦後四人の総理大臣を輩出した土地柄ですから。

報道の自由度70位というと権力側が悪であるとの印象を受けますが、実は権力側からの圧力に一切抗わらないメディア側、被害者ぶるメディア側に大いに責任があります。

投稿: ハマッコー | 2024年5月 6日 20:39

Senna さん:

おっしゃること、わかるような気がします。

要はきちんと裏まで読んでニュースに接することですね。

投稿: tak | 2024年5月 7日 06:37

ハマッコー さん:

それはまた、ヒドい話ですね。

日本にはそれに類することがいくらでもあるようですけど。

投稿: tak | 2024年5月 7日 06:39

日本の報道の自由度が低い評価なのはTAK氏の言う記者クラブ制度とマスコミのオーナーシップ制の二つが主要な要因なのは間違いないが、報道の自由度が低いことを嘆くマスコミはこの二つを決して手放す気はない。
ネットの書込み等の自由度ランキングでは、世界11位だそうですので、決して権力側の問題ではなくマスコミ側の問題だろうと思います。ジャニーズ問題を新聞が書けなかったのは問題意識が低かったと同時にTV局を天下り先に持ってるからということも誰でも判ることです。

投稿: basara10 | 2024年5月 7日 06:47

basara10 さん:

>決して権力側の問題ではなくマスコミ側の問題だろうと思います。

フツーに両方の問題だと思いますよ。というか、両者の関係性のうちに最大の問題があります。

投稿: tak | 2024年5月 7日 08:53

両方の問題というとマスコミを甘やかしています。マスコミは権力に切り込むのが仕事、権力は防御するのが当たり前、その防御に負けるのはマスコミの不甲斐なさとしか私には思えません。

投稿: basara10 | 2024年5月 7日 18:46

basara10 さん:

う〜む、そうは言っても、すべては関係し合ってますからね。どちらか一方がどうのこうのとは言い切れません。

投稿: tak | 2024年5月 8日 06:48

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