そばの食い方って、いろいろ言われているが
今日はそばの食い方の話である。前にも何度か書いたが、そばというのは、やたらとウンチクを並べて窮屈な食い方をする人がいる一方で、見ている方が恥ずかしくなるほどみっともない食い方をする人も多い。要するに、せめて「フツーに」食ってもらいたいものなのである。
「フツーに」そばを食うための第一条件というのは、上の写真のようにそば猪口を手に持って食うということだ(参照)。これは江戸の昔からの常識で(参照)、これさえ気を付ければそんなにみっともなくなることはない。
ともすると、ちゃんとしたそば屋のサイトの写真が下のようなことになっていることが多い。そばの食い方をあまり気にしていないカメラマンが、単に写真の構図だけを考えた結果だろう。
これだと、そばを食うためには身をかがめて口を近づけるほかない。これってまともなそば屋でもよく見かけてしまうが、そばに限らず日本食全般で「みっともない食い方」の代表みたいなものだ。いわゆる「犬食い」である。
あとは、そばを汁(つゆ)の中にドボっと落としてグルグルかき回しちゃったりしないことだ。箸で適量をつまみ上げたそばは箸から放さず、下の方を汁につけてそのまま啜るのが粋というもので、要はこれだけのことである。
「適量」というのは、一息で楽に啜り切れる程度の量ということだ。無闇にどっさりつまみすぎると、『吾輩は猫である』の迷亭君みたいに途中で苦しくなって涙が溢れたりするからね(参照)。さらにみっともないのは途中で力尽き、噛み切ってそば猪口の中にボトッと落としてしまったりすることだ。
よく「三分の一だけ汁につける」なんてことさらなことを言う人がいるが、そんなのは別に気にする必要なない。そばを箸から離しさえしなければ全体を浸すことの方が難しくて、三分の一だろうが半分だろうが、自然に自分の好きな加減で汁に浸すことができるのだから。
さらにいわゆる「通」を気取る人の中は、「最初はそばそのものの味を確認するために、1本だけつまんで汁を付けずに食う」とか「薬味は汁に入れずにそばに乗っけて食う」なんて人もいる。「これが自分のスタイル」と言うなら、さりげなくやってくれれば確かにそれなりにカッコいい。
ただ個人的にこだわる分にはいいが、エラソーに吹聴されたり人にまで押しつけたりされるとかなり鬱陶しい。鬱陶しいというのは、「野暮」の別の言い方である。
私は個人的にはそばを啜る時はそばそのものの味を楽しみたいから、汁には薬味を入れず、食べ終えた後でそば湯を飲む段になってから入れる。ただ、人にまでこうしろとは言わない。
まとめると、そば猪口は手に持ち、適量すくい上げたそばは、箸からはなして猪口にドボッと落としたりしないというだけのことだ。要するにそば猪口を手に持ちさえすれば、半分以上は解決する問題である。
最後に付け加えると、そばを啜る音に関してはことさら大きな音を立てるのは、ラジオの落語の世界のお話に過ぎないと思うのだよね(参照)。
【同日 追記】
身をかがめて食器に口を近づける食い方は、日本では「犬食い」といってマナー違反になるが、北朝鮮では決してそういうわけでもないようで、「音を立てない」ことの方が重要みたいなのだね(参照)。
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コメント
2枚目の写真は、単に左手にカメラを持ってるからじゃないですかね
投稿: らむね | 2024年5月20日 20:41
らむね さん:
>2枚目の写真は、単に左手にカメラを持ってるからじゃないですかね
うぅ〜ん。それは考えにくいなあ。仮にもまともなウェブサイトに載せる写真ですから、プロかセミプロがまともなカメラを使って写したと思われますので。
投稿: tak | 2024年5月20日 20:52
喰いものなど、好きに喰わしてくれ…。
ただ、そこに「喰えることに感謝」の念があるのか?
ネットの記事にある「食い散らかす」などもってのほかですが、作法だ所作だなんだかんだから外れていても、ちゃんと喰う、残さず喰う、「おいしかったぁ!ご馳走様ぁ!」ができるかどうか…。
その「作法や所作」を学ぶ機会が、この30年くらい減っていることは否めないことなので、お父さんお母さんの所得を増やして「作法所作訓練所的料理店」へ、それなりに出かけられるような環境作って欲しいなぁ。
「子ども食堂」が増えていること自体、親が子どもに喰うことの本来を教えられない状態の常態化ですから、行政は猛省しろ!
ファストフードにファミリーレストラン、牛丼店に回転寿司店など、喰い終わったテーブルの「散らかり具合」を見るにつけ、そもそもの「食事に対する姿勢」が、ブッ壊れてます。
勢いで投稿します。ご了承ください。
投稿: 乙痴庵 | 2024年5月29日 18:52
乙痴庵 さん:
>ただ、そこに「喰えることに感謝」の念があるのか?
これ、最もキモとなることでしょうね。
>お父さんお母さんの所得を増やして「作法所作訓練所的料理店」へ、それなりに出かけられるような環境作って欲しいなぁ。
名案かも (^o^)
そもそもの話として、畳に座って低い「お膳」からお椀を持ち上げて食うのが基本だった戦前から、「椅子とテーブルで食う」という現代に移り変わるタイミングで、作法がゴチャゴチャになっちゃったのが問題なのかもしれませんね。
投稿: tak | 2024年5月29日 19:02