50年前の広告にみる「おい!! もう1本」という価値観
出雲で新本と古本を売っていらっしゃる句読点さんという方の tweet がちょっとバズっている(参照)。「昔の料理本を古本買取したら、中の広告がひどい」というもので、何がひどいのかと言えば、東芝電子レンジの広告だ。
問題の広告を拡大して見ると、冒頭に夕食時の夫婦の会話がある。最初の言い草の「おい!! もう1本」というのは、写真で見ればお銚子つまんでるから、酒をもっと出せということなのだろう。
"おい!! もう 1本・・・" "ハイ! できています"
"おい!! おつまみ・・・" "ハイ! おいしそうよ"
"おい!! みそ汁・・・・・" "ハイ! 熱いから気をつけて"
とにもかくにも、「おい!!」の 3連発に驚いてしまったよ。今の広告でこんなことしたら炎上確実だし、製品の販売ストップなんてことにもつながりかねない。
Tweet 主の句読点さんによれば、これは昭和 48年、1973年の広告なのだそうで(参照)、決して戦前の話じゃない。まあ、戦前に電子レンジはないしね。
1973年といえば、私は大学に入って 2年目だ。70年安保が終わって政治的にはようやく落ち着き始めていた頃で、「ウーマンリブ」と言われた女性解放運動が注目を浴びていた。
それでもこんな広告が堂々と展開されていたというのは、仕事から帰ってきた男がエラソーに食卓につき、「おい!!」呼ばわりで妻に酒肴のサービスをさせて当然という価値感がしっかり健在だったということだ。ウーマンリブって、気の毒なまでにキワモノ扱いされていたということもあるし。
この広告に登場している夫婦は 30歳前後に見える。ということは戦前から終戦直後ぐらいの生まれで、いわゆる「団塊の世代」よりほんの少し上ということになる。団塊の世代の男は、さすがに妻に「おい!!」なんて言わないよね(いや、言う男もいるかな?)。
この世代は今、少なくとも 80歳前後になっている。ビジネス社会からはほとんど卒業してしまっているが、どういうわけか政治の世界では一番大きな顔をしていて、代表的なのは麻生太郎(83歳)あたりか。
ということは、このあたりの因習的価値観のジイさん連中が、今の日本の政治を牛耳っているってことだ。岸田首相がやたら軽く見られるのは、まだ 66歳で党内の長老連中に頭が上がらない雰囲気だからというのもあるだろう。昔の小泉純一郎ぐらいに思いっきりやれば、何とかなるかもしれないのに。
なるほど、これでは日本が変わるはずないよね。やっぱり、「登場人物が入れ替わる」(参照)必要がある。
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