外国人に日本語で話しかけられたら・・・
米国のソーシャル・メディア reddit に "People’s common reaction when you start speaking their language" (「彼らの言語を話し始めたときのリアクション」 )という、とてもおもしろい記事がある。外国に行ってその国の言葉で話したらどんな反応が示されるかを調査したものだ。
その結果を最大公約数的に示すと、上の図のようになるという。日本語版に示された翻訳にちょこっと修正を加えれば、こんなようなことだ。
赤:(南欧に多い反応)
われわれの言葉を一言でも話してくれたからには、
もう公式で永遠の親友だよ!
青:(東欧、ロシアに多い反応)
いいね。でも、なぜわざわざ……?
ピンク:(ドイツ、北欧の反応)
お上手だけど、英語で話しましょ。
オレンジ:(フランスに限った反応)
お願いだからやめて。
グレー:(英国とアイルランドのみ)
反応なし
南欧の人たちにしてみると、外国人が自分たちの言葉で話してくれるというのはかなり嬉しいことのようだ。それとは対照的に、ドイツや北欧の人たちはごく冷静に「ここは英語で話しましょう」と反応する傾向が強いようなのである。
北欧では英語を当たり前に話せる人が多いので、「あなたにとっての第二あるいは第三外国語を話すより、慣れた英語で話す方がお互いに楽だよね」ってなことなのだろう。南欧がホットでエモーショナルな率直さとすれば、北欧はクールでロジカルな率直さだ。
こうした反応と比べると東欧とロシアではちょっと複雑で、ペシミスティックなニュアンスが感じられる。「なんでわざわざよりによって、ウチらの言葉なんて学んだの?」といったような感覚、わからないじゃない。
そしてフランス人の反応は、完全にフランスならではのものと言っていいだろう。「こなれないフランス語は止めてくれ!」って感じで、大変な言語的自尊心である。
そして英国人とアイルランド人が「反応なし」というのは、決して素っ気ないのじゃない。元記事が米国のメディアのものなので、「お互いに外国語じゃない」というだけのことだ。そうでなくても外国人が英語を話すぐらいはごく当たり前なので、取り立てて反応することもないのだろうね。
翻って、日本人が外国人に日本語で話しかけられたらどんな反応になるだろうかと考えてみたのだが、なかなか明確なイメージが思い浮かばない。多分、日本語を話す外国人に遭遇する機会が少ないからだろうと思う。
日本語というのはネイティブな話者が 1億人を超してる割には国際的位置づけが特殊すぎるのだよね。日本に出張してくる外国人にしてもほとんど英語で用を足そうとするばかりで、観光客となるとなおさらだ。
私自身の乏しい経験から言えば、相手の日本語がちゃんと通じるレベルだったら、とりあえず「日本語お上手ですね」と褒めてフツーに話す。しかし日本語が下手くそでまるで要領を得ないようなケースでは、北欧の場合同様に「英語で話しましょか?」と助け船を出すことになる。
ただ、これ幸いとものすごい中国語訛り(だと思う)の英語で話し出されてますます難儀した経験もあるので、なかなか一筋縄では行かないのだが。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- 「Me-Time(自分時間)」って、うまい言い方だ(2025.02.16)
- 日本人の英語力って、下から数える方が圧倒的に早い(2025.02.07)
- 「正念場」という言葉の深い意味(2024.12.30)
- 「豚殺し/ロマンス詐偽」ー 中身は同じというお話(2024.12.26)
- 和菓子、薬、滑舌訓練等々 ・・・ 「外郎」を巡る冒険(2024.12.11)
コメント
テレビ番組で「あなたは何しに日本に」といタイトルだったか、空港でスタッフが外国人を待ち構えてインタビューするのがありますが、外国人がカタコトの日本語で応答するとスタッフは判で押したように‟日本語お上手ですね”と褒めます。
相手はそのフレーズは聞き飽きてるようで ‟いや、まだまだです”と答えるのが常です。
カタコトの日本語に対して‟日本語お上手ですね”はヤメローといつも思ってしまいます。日本は南欧タイプでしょうか。
また、なぜ日本語を覚ようとしたのかと質問するケースも多いのでロシアタイプでもあるようです。
投稿: ハマッコー | 2024年6月 2日 16:24
ハマッコー さん:
>カタコトの日本語に対して‟日本語お上手ですね”はヤメローといつも思ってしまいます。
片言程度の外国語使いを褒めるというのは、何だかかえって失礼な気もしますね。
片言の英語を褒められても、モロに見え透いたお世辞とバレることの裏返しと思えばわかると思います。
>なぜ日本語を覚ようとしたのかと質問するケースも多いのでロシアタイプでもあるようです。
世界には案外「日本文化フリーク」みたいな人もいるんですよね。そうしたタイプは、日本に来て 1年もするとかなりの日本語使いになります。
投稿: tak | 2024年6月 2日 19:18
その昔、ほとんど人通りのない夜道で、若い黒人の女の子2人とすれ違いざま(それだけでもビックリなのに)、道をきかれたことがあります。
(スイマセン…〇〇エキ…ドッチ?)と、かなり明快な日本語で。夜道の暗がりで、突然のじたいに、こちらが、タジタジになって…。
でも、教えてあげると、(オケ…アリガト)と言っ
てくれたので、ホッとしました。私の日本語のほうが伝わりにくかったんじゃ?なんて(笑)
投稿: 琥珀波 | 2024年6月 2日 20:07
琥珀波 さん:
あはは (^o^)
暗い夜道で話しかけられたら、相手が誰だろうとビックリしますよね。
相手は結構日本と日本語に慣れていたみたいですね。
投稿: tak | 2024年6月 3日 05:49