『ドレミの歌』の「シ」と "tea" の謎が解けた
実は長い間の疑問があった。それはほぼ 60年にわたって抱き続けてきた疑問なのだが、『ドレミの歌』のオリジナル版(英語版)の歌詞についてである。
『ドレミの歌』の出だし、「ドはドーナツのド」はペギー葉山の訳詞によるもので、オリジナル版では "Doe, a deer, female deer" (ドゥは鹿よ、牝の鹿)と歌われる。「鹿」は英語で "deer" だが、「牝鹿」は "doe" になるのだ。以下、こんな具合である。
一見して気付くように、日本語版では「シは幸せよ」と歌われる部分が、英語のオリジナル版では「ティはジャム付きパンに付いてる飲み物よ」である。
英語では「シ」が「ティ」のようで、実際にそう歌われてるんだからそう信じるしかない。ただ、どうしてそうなるのかまで納得したわけではなく、ずっと心の底に引っかかっていた。
"Do, Re, Mi..." は、実はイタリア語である。英語ではフツーは音階を "C, D, E..." で表す(ドイツ語もほぼ同様だが、「注記」を参照のこと)のだが、米国人でも "Do, Re, Mi..." にはある程度馴染みがあり、『ドレミの歌』はちょっとオシャレにイタリア式なのだが、なぜか「シ」が「ティ」なのだ。
ずっと不思議でしょうがなかったのだが、このまま死ぬまで不思議がっていてもしょうがないと思い立ち、おもむろにインターネットで調べたところ、長年の謎があっという間に解けてしまったのである。Yahoo 知恵袋にある nan**** さんの解答が分かりやすいので以下に引用させていただく。
音感を鍛えるのには、メロディーを「ドレミ・・・」で歌うのが有効ですが、♭や ♯ のあるメロディーは困ります。
英語圏では、♯ は母音を i、♭ は母音を e に変えて発音するようにして、メロディーを音階で歌えるように工夫したそうです。ド♯ は di レ♯ は ri という要領です。
そうすると ソ♯ が si になってしまうので、英語圏では シ を ti に変えました。
なるほど、「シ」をまんま "Si" と言ってしまうと、"ソ♯" と同じ発音になって区別がつかないので、敢えて "ti" にしてしまったというわけか。積年の疑問の解け方が呆気なさ過ぎて不満なほどだ。
とはいえ、昔はこんなに容易には調べがつかなかった。インターネットのある世の中って本当にありがたい。
【注記】
英語では「シ」の音は "B" だが、ドイツ語だと "H"(ハー)で、♭ が付いた場合に限り "B"(べー)になる。つまりドイツ語式で「べー」と言ったら、それはとりもなおさず英語式での "B♭" (ビー・フラット)のこと。詳しくは こちら を参照。
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コメント
ドレミの歌の英語歌詞、初めて知りました。知りましたなんですが・・・
え?これ、「ラ~はソの次よ~」って言ってますか!?
投稿: らむね | 2024年6月12日 16:43
らむね さん:
言ってますね。
La とか lar とかいう英単語ってないので、しょうがないんでしょうね。ロサンジェルスよと言うわけにもいかないし ^^;)
投稿: tak | 2024年6月12日 19:24
わー「Sound of Music」の歌詞の内容がわかりました!
「シ」の音だけなんで「ティー」ってい歌ってるのか謎がとけました。ありがとうございます☆
大好きなんですよ、あの映画♪
投稿: Senna | 2024年6月13日 20:19
Senna さん:
「ティ」って、やっぱり多くの人にとっての謎だったんですね。
お役に立てて何よりです (^o^)
投稿: tak | 2024年6月13日 22:13