「ものを言う女性バッシング」というステロタイプ視点
弁護士 JP ニュースというサイトに、【なぜ蓮舫氏に「からかい」が集中するのか? "ものを言う女性" バッシングの背景にある「女性差別」の構造】(7月 23日付)という記事がある。これ、私としてはとても気になってしまった。
というのは、この記事では蓮舫氏に対する「バッシング」として東国原英夫氏、上沼恵美子氏、今野忍氏の発言が紹介されているが、どれも発言としての趣味の良し悪しは別として、蓮舫氏個人の政治姿勢やキャラに言及したもので、取り立てて「女性差別」的なもの言いというわけではないからだ。
一方で島根県の丸山達也知事は「なぜ女性が勢いよく力強く物事の問題点を指摘するとバッシングを受けるのか。女性への蔑視や差別に近い」と、「女性差別」をストレートな形で前面に出している。発言の「内容」が問題にされていないのが気になるが。
さらに蓮舫氏自身の発言も次のように紹介されている。
選挙前から、蓮舫氏は「男性政治家がはっきりものを言っても、『吠えている』などとは言われない。自分や辻元清美氏などの女性議員は『攻撃的』などとレッテルを貼られやすいと感じている」と語っていた。
こう言っちゃナンだが、これはかなりの「思い込み発言」である。ちょっとググってみればわかるが、「吠えている」みたいな言われ方をしたり「攻撃的」とのレッテルを貼られたりするのは、実際にはむしろ男性議員の方に多い。これらは基本的にジェンダー問題というより、個人の特性によることである。
また、特定政治家の目立った発言が多ければそれへのリアクションが多くなるのは当然のことで、その中には肯定的なものと批判的なもの、さらには弁護士 JP のいう「からかい」的(風刺的なものという意味か?)なものが含まれるのもまた当然だ。それは発言の主が男だろうが女だろうが関係ない。
蓮舫氏の発言へのリアクションが多いのは、彼女の発言がとても目立つ(目立たないよりずっといいだろう)のだから自然なことなのである。その中に含まれる批判的なものや風刺的なものをことさら「女性差別」と決めつけるのは、私にはちょっとズレた(もっと言えば「ズルい」)反応に思われる。
というわけで、今回取り上げた弁護士 JP ニュースの記事には、安易なステロタイプの気配が漂っていると思う。気に食わない状況を強調したい時に恣意的に「女性」を振りかざす手法は、案外両刃の剣となりやすいのだ。
この記事は、次のように結ばれている。
やはり、蓮舫氏に対するバッシングの背景には少なからず潜在的に女性差別が存在していると総括できる。「ものを言う女性」に対する日本社会の目線は、いまだに厳しい。
そう言いたくなる気持ちはわからないではない。とはいえ「潜在的に」という但し書きを付けたら、どんなことにでも針小棒大なイチャモンは付けられるということは指摘しておく。
そろそろ別の筋肉も使って一つ上の段階を目指さないと、蓮舫氏への支持は拡大せず、「ここまでの人」で終わってしまうだろう。今後は、中途半端な「頭の良さ」よりもむしろ「センスの良さ」が求められる。
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コメント
蓮舫さんは浅薄な知識、思い込みで相手を貶めようとするから失笑を買い、批判される。
https://www.youtube.com/watch?v=e_LjbMY46VM
女性だから批判されてるわけではない。
批判されると、女性だから・・・という方向に話を持っていく。
いい加減、発言する前に同僚議員にその内容で問題ないか確かめたらどうかなといつも思う。ブレーキかける人いないのか。
投稿: ハマッコー | 2024年7月28日 22:22
ハマッコー さん:
そう言えば、「サーバーではなくクラウド」発言が話題になりましたね。
私としては、負荷が大きいからと言って安易にローカルなサーバーを増やすんじゃなくて、トータルなクラウドの利用を促進しろと言ったのだと解釈してましたが、いずれにしてもその辺りの説明が下手くそというのは、実際よくわかってないってことなんでしょうね ^^;)
政府のデータともなると、機密保護の観点からも安易なクラウド利用はリスクが大きいし。
ただ国会の場では、そのあたりのまともなツッコミがリアルタイムではなされなかったみたいですね(野次だけは飛んだようですが)。それで、蓮舫さん、後になってから、わかったようなわからないような tweet で釈明されてます。
https://x.com/renho_sha/status/1271015414479245313?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1271015414479245313%7Ctwgr%5Efd291f8bee04af49ccb0925b8fc6afc14e6bfdf9%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fksl-live.com%2Fblog32696
ということは、蓮舫さんだけじゃなくて高市さんも含め、この分野での議論をするだけのごく当たり前レベルの知識がなかったんじゃないかと ^^;)
とはいえ「お互いに女性同士だから・・・」みたいな、これまたステロタイプなことを言っても始まりません。リアルタイムでまともな議論に戻す方向にもっていけなかったというのは、国会全体でまともな知識に欠けていたということですから。
投稿: tak | 2024年7月29日 05:29
私の父は政治的な立場・主張をはっきりさせている人では無いですが、心情的には保守です。しばらく前、父が町内会の会合に出てきて、いろいろと喧々諤々があったらしく、帰ってきて母と私の前でその話をしていたときの一言。
「あいつは女のくせに生意気だ」
言った瞬間、そういう考え方を嫌う私の前で言ったことに気づいたらしく、気まずく黙ってしまいました。同じ批判的な主張を聞いても、男性から言われるのと女性から言われるのとで異なる感情で受け取る人がいる。
蓮舫さんが言ってるのって、そういうことかなあと思います。
投稿: らむね | 2024年7月29日 07:51
らむね さん:
>同じ批判的な主張を聞いても、男性から言われるのと女性から言われるのとで異なる感情で受け取る人がいる。
残念ですが、いますね。
同じことでも女から言われたくないみたいな。
「男のくせに」と「女のくせに」は、死語にしたいものです。
投稿: tak | 2024年7月29日 12:47