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2024年7月28日

「どうぞよろしく」を英語で言うと?

Quora に "「どうぞよろしく」という言葉を英語に翻訳するとしたら、どのように言うのが適切でしょうか?" という質問があり、「文脈によって訳し分ける」という模範解答のほかに「訳さないかも」とかいうのもあるので、「そうだよなあ」と笑いつつも共感してしまった。

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「どうぞよろしく」という日本語はとても便利な言葉で、大抵の場合はそれでさらりと済んでしまうのだが、じゃあ英語でどう言ったらいいのかと言われたら訳しようがない場合が多い。元々それほど具体的な意味のある言葉じゃなくて「雰囲気のもの」だし。

Quora には時々似たような趣の質問がアップされることがある。"「あらよっと」は英語で何ですか?" とか "「ウケる」って英語で何と言いますか?" みたいなヤツだ。

そのまま直訳すれば通じるとか、日本語独特の言い回しに完全に対応するイディオムみたいなものが英語にもあるだろうなんて考え違いをしている人も案外多い。翻訳に難儀するのはそんなところから出た言葉だ。

例えば「紅一点」という日本語にはそれなりのニュアンスというものがある。しかしそれをフツーに "only woman in the group" なんて訳してしまうと、「それが何か?」で済めばまだいい方で、「なんで女性が一人しかいないの?」とか「男女平等に反する」なんて話になりかねない。

思えば日本語というのは、その場を無難に切り抜けるにはとても便利だが、英語はよくも悪しくも具体性を重視する言葉なので、多少面倒なところがある。このことに関しては、昨年 2月 25日付の "世界の「よいしょ、どっこいしょ!」" という記事でも触れている。

軽い気持ちで発せられた日本語をしっかり翻訳し過ぎたために、思いのほかヘビーな話になってしまうことだってある。「後はよろしく」という言葉のココロは "good-by" でしかないのだから、"I hope your best finish."(あなたが最高の仕上げをしてくれると期待する)なんて訳しちゃいけない。

逆に、複雑に込み入った問題を整理しようと思ったら、英文直訳式の日本語で考えるとうまくいくこともあったりする。あるいは、まんま英語で、yes か no かみたいに考えていくとか。

思考の結論というのは、何語で考えるかによっても違ってくることがあるのだね。国際理解というのが思いのほか難しい所以である。

 

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