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2024年8月16日

「成長」より「成熟」を求めるしかない日本だが

急に思い出したように「日本の去年1年間の名目GDP ドイツに抜かれ世界4位に後退」なんていう半年前のニュースを引き合いに出すのは、他でもない昨日付の「岸田さん、首相の座にほとほと嫌気がさしたんだろう」という記事に付けられたらむねさんのコメントがきっかけだ。

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らむねさんは、昨今の首相の役回りに関して次のように書かれている。

徐々に徐々に悪くなっていく国をいかに穏やかに収めるか、かつ国民にはそういう狙いに気付かせずにいかに威勢よく見せるか、悲観的すぎるかもしれませんがそう思ってしまいます。

これ、リプライにも書かせていただいたように「言い得て妙」の表現である。これが上手にできたら、21世紀の日本の「名首相」に位置付けられるだろう。

思えば前世紀後半に日本経済が大躍進を遂げたのは、ひとえに「人の力」だった。とはいえ個々人の能力が優れていたというわけでは決してなく、妙な「勤勉さ」だけが取り柄の日本人がサービス残業を重ねながら、メチャクチャ非効率に汗水垂らしてきた賜物だったのである。

だから時間当たりの「労働生産性」は決して自慢できるレベルではなかったし、最近ではさらなる低下傾向さえ示している。日本生産性本部のまとめた「労働生産性の国際比較 2023」というレポートには次のようにあり、円安を割り引いて考えてもかなり情けない。

OECD データに基づく 2022年の日本の時間当たり労働生産性(就業 1時間当たり付加価値)は、52.3 ドル(5,099 円)で、OECD 加盟 38カ国中 30位でした。

日本人はシステマティックかつ効率よく働いて生産性を高めるということがまったく下手くそで、それは 21世紀の世の中になってもそのままだ。この状態で労働人口は減少する一方なのだから、GDP が下がるのは当たり前のことと言うほかない。

これって労働システムの問題というより、「みんな一緒」でないと気が済まない国民的メンタリティの産物というほかない。特定個人が抜きん出ても遅れをとっても、どちらも「いじめ」の対象になってしまうのだから、なかなか脱皮できるものじゃない。

日本は妙なイメージの「老大国」への道を進んでいるのである。これからはそれをあまり悲観させずに、むしろ「成熟を遂げつつある」みたいに錯覚させながら、上手にやりくりしなければならない。そのためには、「いろいろあっていい」という多様化の価値観を育てなければならないのだが。

「経済成長こそすべて」みたいな考え方で突っ走ってきた今の自民党の政治家のアタマでは、それって無理かもしれないね。

 

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