« 2024年8月 | トップページ | 2024年10月 »

2024年9月に作成された投稿

2024年9月30日

「ヘクソカズラ」とか「イヌフグリ」とか

ようやく猛暑から解放され始め、庭で少々動いても熱中症でダウンなんて心配がなくなったので、これまで手の付けられなかった雑草取りを始めている。何はなくとも、庭木の表面を覆い尽くすまでにのさばっている「ヘクソカズラ」ってやつを引っぺがさなければならない。

240930
(左 2枚がヘクソカズラ、右 2枚がイヌフグリ)

それにしても「へクソカズラ」という名前は、付けも付けたりという気がしてしまう。葉を潰すと強い悪臭を放つことから「屁糞葛」の名が付いたというのだが、フツーに処理している分にはそんな臭いに悩まされることはないがなあ。

ちなみにこの「ヘクソカズラ」、蔓性の植物なのでどこか一箇所を捕まえて力任せに引っ張ればズルズルズルっとまとめて剥がれてくる。夏の初めに増える「イヌフグリ」みたいに地面から 1本ずつ引っこ抜かなければならないのと違い、まだ楽と言えば楽だ。

ついでに出てきてしまったが、「イヌフグリ」という名称もひどいと言えばヒドい。正式(?)には「イヌノフグリ」というらしいが、実の形が雄犬の「フグリ」(陰嚢)に似ているから付けられたという。花は可愛らしいといえば可愛らしいので、気の毒な名称としか言いようがない。

我が家の庭の「ヘクソカズラ」は、そんなわけで割と楽に取り除くことができたが、大変なのは「葛の葉」である。近頃周辺ではこの葛の葉がはびこりすぎるほどになっていて、街路樹のてっぺんまで覆い尽くされてしまっている。下の画像は一昨年 10月の和歌ログだ(参照)。

2409302

角度によっては、街路樹ではなく土手があるんじゃないかというぐらいに見えてしまう。米国のケンタッキーでは日本から入ってしまった葛の葉に覆い尽くされてしまった村から、住民が脱出に追い込まれるということすらあったらしい(参照)。

1905242

ここまで行かないとしても、近年は猛暑のせいか葛の葉とヘクソカズラの繁殖がすさまじくて、対応が大変なことになってしまっている。

 

| | コメント (2)

2024年9月29日

セブンとセブイレ、さらにスカツリ、いたせり、絞り染め

日本でコンビニが急速に拡大し始めた 1980年代頃、私はセブンイレブンのことを略して「セブイレ」なんて呼んでいたのだが、周り中が「セブン」と言うようになったので引っ込めてしまった。しかし大阪に出張すると「セブイレ」という人が実際にいて、ちょっと嬉しくなってしまう。

240929

改めてネットで検索してみると「ソトコト」というサイトに "「マック」か、それとも「マクド」か? 関東と関西でこれだけ呼び名が違う 5選" というページが見つかり、「セブンとセブイレ」という項目の中に "関西では「セブイレ」と呼ぶ人もいます" とあった。うむ、やっぱりこれもありだよね。

「マック」が関西では「マクド」になるというのは関東でも結構知られているが、「セブイレ」の方はほとんど認知されていない。私は「マクド」とはさすがに言わないが、「セブイレ」では関西センスに共鳴してしまう。

ちなみに「呼び名が違う 5選」の残り 3つは、「ファミマ と ファミ⤴︎マ」「USJ vs ユニバ」「ケンタ と ケンタッキー」なのだそうだ。確かに「ファミマ」は関西ではアクセントが違うようだ。私的には以前「ファミリマ」なんて言ってたけどね(「マ行」が続くよりこの方がスルッと言いやすい)。

私は家族に「お父さんの言葉の略し方、独特だよね」なんて言われることがある。確かにそうかもしれない。何しろ「東京スカイツリー」は「スカツリ」と略されるものと信じていたのだが、誰もそう言わないので我が家独特の省略語になってしまった。

ついでに言うと、「いたせり」というのも我が家独特の言い回しで、「至れり尽くせり」の省略形である。「いやぁ、『いたせり』のサービスだったよ」なんて言ったりするのだが、ほかではまず通じないだろう。

さらに究極の我が家語は、「息も絞り染め」というやつだ。そのココロは「息も絶え絶え」で、江戸っ子は「絶え絶え」を「たいだい」と発音することから、「タイダイ(tie-dye:絞り染め)」に引っかけたものだ。これは私の妻も結構気に入ってくれている。

言葉ってやつは、結構遊べるものである。

 

| | コメント (4)

2024年9月28日

初めて「何を言ってるのかわかる」自民党総裁就任会見

昨日の午後、石破氏の自民党総裁就任記者会見の模様をラジオで聞きながら、妻と「生まれて初めて『何を言ってるのかよくわかる』自民党総裁会見を聞いてる気がするね」と話していた。「脈絡のある内容をきちんと筋立てて『他者』に伝える」という意識を感じたのである。

これまでの自民党総裁就任スピーチからは、「脈絡のある内容」なんてあまり感じられなかった。総裁として選んでくれた党員たちを持ち上げ、おだて上げ、続いて党内の「融和」みたいなことを唱え、「世界の情勢は厳しいけれど、一所懸命やります」で結ぶ「定型」がほとんどだった。

要するに彼らは、「自民党総裁になり、日本国の首相になる」ことが目的だったので、それが果たされただけで舞い上がり、それから先のことを筋道を立てて述べることなんてどうでもよかったみたいなのである。

ところが石破さんは、「首相になる」ことが至上命令じみたものではなかったようで、「お世話になった〇〇先生、△△先生・・・」を延々と述べ挙げて義理を果たすみたいなことではなく、「たまたまなってしまったからには、そこから先のことを述べなければ」みたいな意思を感じさせるものとなった。

まあ、こんな姿勢だからこれまでは総裁選に立候補しても当選できなかったのだろうが、今回は党内の情勢も変わってしまったので「フツーだったら総裁になんか選ばれない人」が選ばれてしまったとも言える。世の中、何が幸いするか知れたものではない。

というわけで、ちょっと異例のスピーチだったと思う。話の内容に関しては全面的に賛同するというわけではないが、これまでの「首相としての方法論」とはちょっと違った手法をとる人なのではないかと、注目したい気持ちになったのである。

あるいは、このスピーチを聞いたのがラジオだったのがよかったのかもしれない。これがテレビだと、当人も「目つきが悪いから・・・」と自認しているように見た目の印象が落ちてしまうので、ここまでまともに聞けなかった可能性がある。

というわけでテレビでこのスピーチに接した人の多くは、ここまでプラスのイメージを持たなかったかもしれないが、少なくとも私は「ちょっと期待していいかも」と思った。これが「買いかぶり」にならないように期待する。

ちなみに動画を見て初めて気付いたのだが、石破さん、ほとんど原稿なしでスピーチしてるのは流石だよね。テレビで見てもこの点に気付かない人が多かったというのは、本当に不思議だなあ。

 

| | コメント (4)

2024年9月27日

そりゃ、東洋の果ての万博なんて誰も知らないさ

産経新聞に "「ミャクミャク」東欧で酷評 「ゾンビ」「モンスター」 万博開催も認知されず" という記事がある。ポーランドの首都ワルシャワの街を行き交う人々に「2025年大阪・関西万博が開催される事実を知っているか」と尋ねまくったところ、誰も知らなかったんだそうだ。そりゃそうだろう。

240927

東洋の果てで開かれる万博なんて、ヨーロッパ人はフツー誰も知らない。逆に考えて、ヨーロッパのどこかで万博が開かれることになっても、日本人のほとんどは興味を持たないし知ろうともしないだろう。同じことである。記念にエッフェル塔が建てられたパリ万博(1889年)の時代じゃあるまいし。

大阪万博なんて日本国内でさえ注目が低いことは、当ブログでも今年 2月に「大阪万博って、すっかり "アウト・オブ・トレンド"」という記事で触れ、「何とかいう名の公式キャラとかも、かなり違和感たっぷりだしね」と書いている。何もワルシャワの街で反応を探るまでもない。

記事にはこの公式キャラについて "「ゾンビ」「モンスター」などと、あまり好意的とはいえない反応ばかりが返ってきた" とあるが、当然である。何しろ日本国内でも決して評判がいいわけじゃないし、私はこの記事を読むまで「ミャクミャク」という名前すら知らなかった。

日本国際博覧会協会は各国のイベントでプロモーションしているようだが、ただでさえ会場建設で馬鹿馬鹿しいほどの大金を使っているのだから、これ以上無駄遣いしない方がいい。この公式キャラを見て「日本に行って見よう」なんて思う人がいたら、お目にかかりたいほどだよ。

 

| | コメント (8)

2024年9月26日

「カフェでお仕事」・・・ ムチャクチャな長居は禁物

「カフェワーカー」(「カフェの従業員」ではない)という妙な言葉を初めて知った。【「カフェでお仕事」コーヒー 1杯で "長居" 問題に店が悲鳴 「8割がカフェワーカー」の切ない現実】という AERA dot の記事がきっかけである。

240926

「店が悲鳴」というのは数時間にわたって席を「占拠」して仕事をするためだが、それだけに彼らとしても「肩身が狭い」と感じてはいるようだ。それは「カフェワーカー」だけではないらしく、記事には "カフェで「風当りの強さ」を感じているのは、仕事民も勉強民も同様だ" とある。

ちなみに「仕事民/勉強民」という言い方にも驚きだ。昔は家の外で勉強したかったら図書館に行ったものだが、今の学生はずいぶん贅沢になったものである。ただ夏休みが終わってしまった今は、「仕事民」の方が圧倒的に目立ってしまうのだろう。

私もコーヒーショップで MacBook Air を開いて仕事をすることが時々ある。しかしそれはたいていの場合、外出先での空き時間を利用したもので、滞在時間はせいぜい 1時間ほどのものだ。仕事をするためにわざわざコーヒーショップに行くなんて、そもそも考えたこともない。

ところが AERA dot の記事の冒頭に登場する男性にとってのカフェはほとんど「仕事場」みたいなもので、コーヒー 1杯 420円でおよそ 4時間過ごすという。さらにケーキをプラスして 10時間滞在することもあるという大物(?)女性も紹介されている。ここまで長居されたら、店はたまらないだろう。

記事に登場する東京西新宿の店は、「現在、カフェワーカーに占拠されたといっていい状態だ」という。客席が 15席しかないため、昼過ぎから閉店までコーヒー 1杯で粘られては経営を圧迫する。そこで値上げを検討し始め、「よかれと思って設置した」電源コンセントも取り払った。

こんなことでは「常識外れの長居」は店だけでなく、結局のところ客にとっても不利益になる。とくに私のような「ちょっと 1時間ほど」という客には、とんだとばっちりだ。

記事は「これからカフェで仕事をするときには、なるべくケーキも追加で頼もう。そう思った」と結ばれているが、私は滞在時間 1時間ほどでも、前からそうしているがなあ。

ちなみに昨年秋に紹介した 「珈琲屋 OB」(全席電源コンセントあり)のホットケーキはおいしい。

 

| | コメント (2)

2024年9月25日

トランプを支える "asshole" (ケツの穴)人気

昨日の記事 "トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」" で、トランプの演説集会に集まった聴衆の「トランプ は『俺らの嫌なヤツ』なんだ」という発言の「嫌なヤツ」というのは、英語の定番悪態の一つ、"asshole"(ケツの穴)を苦し紛れ(?)に訳したものということに触れた。

240925

私としては当初、この発言が「たまたまひょいと」口をついただけなのだろうと思ったのだが、実はそうじゃなかった。「トランプ = asshole」というのは、米国では彼の支持者たちの間でさえ広く賛同される「定説」みたいなものだったのである。それで、上のような Tシャツまで売れているというわけだ。

こんなような感覚的な話は、マスメディアのニュースからは伝わってこない。TV ニュースのアナウンサーが「トランプは嫌なヤツ」とか「ケツの穴」とか言えるわけがないので、素通りされてしまうのだ。しかし世の中で重要なのは、こうした「素通りされがちな底流的情報」なのである。

こうした妙にねじ曲がった人気というのは、南部を中心とした保守層が「これまで大っぴらには口にできなかった自分たちの率直な気持ちを話せる空間を、トランプが作ってくれた」と感じていることに発する。「自分たちの気持ち」というのは、要するに人種差別的で性差別的な思いだ。

米国ではニューヨークなどの都会を中心としたリベラル派が、人種差別や性差別を「過去の忌まわしい慣習」として葬り去ろうとしている。ところが南部などでは世の中のそうした動きに反発し、苦々しく思っている保守派が少なくないというわけだ。

トランプは、そうした「綺麗事ばかり言ってんじゃねぇよ!」という保守派の思いを堂々と代弁している。あんなメチャクチャなオッサンがどうしてこんなに人気があるのかという理由は、まさにこれのようなのだ。

トランプの "asshole" さ加減については、反対派は当然ながら文字通りの意味で語っている。下の画像の旗は、それをトランプ支持派が大好きな "MAGA" というキャッチでパロっているものだ。

2409252

"MAKE AMERICA GREAT AGAIN"(アメリカを再び偉大に)ではなく、"MAKE THE ASSHOLE GO AWAY" (あのケツの穴を追っ払え)というわけだ。

ただ、「トランプは asshole だ!」と攻撃しても「おぉ、その通りだよ!」と応じられてしまうのだから、ちょっとやりにくい。困った話である。

昨日の記事でも触れたように、2018年にはメキシコ元大統領に「トランプの口は世界一汚いケツの穴だ」とまで言われてるのだが、これはトランプ自身の「アフリカやハイチなどの "shithole plase"(クソの穴のようなところ)からの移民」という悪態への反撃として発せられたものと見られる。

いやはや、トランプ自身の口から発せられると、 "asshole" より汚い "shithole" なんていう言葉になってしまうようなのである。

 

| | コメント (1)

2024年9月24日

トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」

HUFFGPOST に "トランプ選挙集会の本当の姿を見た。大手メディアが報じない「動き」は演説が始まる前に起きていた【米大統領選2024】" というとても興味深い記事がある。コンピューター科学者 Jen Golbeck さんの寄稿によるものだ(元記事は こちら)。

240924

Golbeck さんは、フロリダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、イリノイ 4州で開催されたトランプの選挙集会を訪れた。 "MAGA"(Make America Great Again: アメリカを再び偉大に)信者たちが物事をどのように見ているか知るために、対面で直接話してみたのだという。

それらの選挙集会は入場無料で、上の画像からもわかるように異様な雰囲気が漂うものだったようだ。ロック音楽が鳴り響き、金ぴかのベンツが並び、"Trump" や "MAGA" と書かれた旗があちこちにはためき、ストリートパフォーマーたちがトランプをテーマにした見せ物を披露している。

参加者の多くはクーラーボックスで持参したビールで、昼からできあがっている。露店がたくさんあって、MAGA 帽子や Tシャツ、トランプのぬいぐるみ、ボタン、宝石、靴、小物などが売られている。これでは選挙集会というより「お祭り騒ぎ」と言う方が適切だろう。

こんな調子なので、トランプの演説は夕方からだが「本当の動き」はそれが始まる前の方がよく見えたという。Golbeck さんは「お祭り騒ぎ、コミュニティー、反抗、暗黒が一緒くたに混ざり合っています」と表現している。

しかし参加者へのインタビューを試みると、「一部の例外を除いて、みんな礼儀正しく、友好的で、熱心に話しかけてきてくれます」とある。中でも面白いのは次のやりとりだ。

「トランプって嫌なヤツかって?その通りだよ。でも、トランプは『俺らの嫌なヤツ』なんだ」(この記事の末尾参照)とそこにいた男性の1人に言われました。すると、周りに人たちも一斉に頷き、この男性に賛同しました。

自分たちの気持ちを話せる空間をトランプ氏が作ってくれたと称賛します。自分たちの気持ちというのは、トランプ氏が現れる前までは公共の場で口にすることが憚られた人種差別的で性差別的なヘイトスピーチのことを指しています。

この感覚はかなり重要だ。これこそトランプ人気の本質で、要するに彼は「嫌なヤツらのヒーロー」なのである。

というわけで、トランプが再選されたりなんかしたら、米国の「アブナい一面」がどっと表面化してしまいそうなのである。

【追記】

参加者のインタビューにある「トランプって嫌なヤツかって?」というくだりは、原文では "Is he an asshole? Sure. But he’s our asshole”  である。 "Asshole" は「ケツの穴」なのだが、苦し紛れに「嫌なヤツ」と訳してしまったのだろう。

というわけで、この記事は奇しくも昨日の記事と「asshole つながり」になっている。(狙ったわけではまったくないので、よろしく)

【さらなる追記】

この関連で検索してみて初めて知ったのだが、米国では "Assholes: A Theory of Donald Trump"(Assholes:ドナルド・トランプ理論)という本まで出ていて、Amazon の紹介文には「トランプが asshole(ケツの穴=クソ野郎)というのは彼の支持者の間でさえ広く賛同されている説」とある。なるほどね。

2409242

2018年にはメキシコ元大統領に「トランプの口は世界一汚いケツの穴だ」とまで言われてるし。

 

| | コメント (0)

2024年9月23日

親友を空港に置き去りにした "AITA"(あ痛!)な女性

産経新聞の昨日付に「空港に親友を置き去りにした女性 SNS投稿で批判殺到、友情巡る大論争に」という「変な記事」がある。海外旅行に出かけた 20歳の女性が親友を空港に置き去りにしたことを SNS に投稿したところ、批判コメントが殺到して大論争になったというのだ。

240923

記事によれば、女性 2人の予定していた乗り継ぎ便がキャンセルとなり、経由地のフランスで一晩過ごすことになった。この時、片方が「2人ともひどい目に遭うことはない」と、現地ビザのない親友を空港に置き去りにして、自分だけ近くのホテルに滞在したというのである。

ただこの記事、「どうもアヤシいな!」という直感があったので、元記事を探してみたところ、FOX NEWS の 21日付記事が見つかった。

"Woman is left alone in 'creepy' section of airport as 'best friend' heads for hotel"(「親友」がホテルに向かったため、女性は空港の「身の毛もよだつ」区域に置き去りに)というものである。

2409232

さらに元ネタを探してみると、"reddit" という米国の SNS に "AITA for staying in a hotel while my friend was trapped overnight inside the airport?"(友達が空港で一晩囚われの身となってる間にホテルに泊まったのって AITA)という 20日付のスレッドが見つかった。

確かに多くのコメントがついているが、決して産経新聞の言うように「批判殺到」というわけではない。ソフトな反応やジョークで応じたものが多く、「そんな調子だと、友達失うよ」というのが批判として目立つ程度だ。「友情巡る大論争に」という見出しは、どう見ても大げさ過ぎる。

というわけで「やっぱりちょっとアヤシかったよね」と納得するまでは比較的楽だったが、問題は SNS タイトルの "AITA" という枕詞である。興味は俄然「AITA って一体何だ?」ということの方に移ってしまった。

いろいろ検索してみると、ありがたいことに英語勉強日記というブログに「【Reddit】AITAとは? 意味は? 何の略?【ネットスラング】」という記事があるのが見つかった。こんなように書いてある。

AITA = Am I The Asshole?

とても下品ですが真面目に解説すると、assholeが「尻の穴」「ゲス野郎」などの意味があります。

日本語で言えばAITAは「俺ってクソ野郎?」「私って最低?」という感じでしょうか。

いやはや、こんなネットスラングはちっとも知らなかった("asshole" は知ってたけどね)。つまり元記事は「友達が空港で一晩囚われの身となってる間にホテルに泊まった私って、最低のゲス女?」ということだったのだね。本人がちゃんと自覚しているのだから、もとより「大論争」にはなりようがない。

ちなみにこの "AITA"、日本でも「あ痛!」と置き換えて使えそうだ。

【9月 24日 追記】

この日の翌日付 "トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」" という記事とは、奇しくも「asshole つながり」になってしまっているので、ご一読いただきたい。

 

| | コメント (4)

2024年9月22日

日本でも「たぬき汁」なんて食ってたらしいけど・・・

最近の研究成果で、新型コロナウィルスの起源が中国武漢市の市場にあったという説の信憑性が高まっているようだ。日本経済新聞も21日付で「新型コロナウイルスの起源、中国武漢市のタヌキか 米誌」と報じている。

240922

コロナの最初の症例が確認されたのは 2019年後半の中国湖北省武漢市でのことで、これは間違いない。しかしウィルスの起源については、次の 2つの説があった。

  1. 研究所流出説:関連するウイルスを扱っていた武漢の研究所から流出したというもの。
  2. 市場起源説: 地元の市場で売られていた野生動物からヒトに感染したとするもの。

コロナのパンデミックが問題になり始めた当初は、ニュースでも研究所流出説の方がもっぱら取り沙汰されていたので私もそれを信じかけていた。「まったく、中国の研究所はウィルスの管理もまともにできないくせに、アブナい研究なんかしてくれたもんだ!」と憤慨していたのである。

しかし最近では、科学者の多くが市場流出説を支持しているという。武漢市の市場ではタヌキや犬、ネズミ、ウサギ、ハリネズミなどの動物が食用として売られていたことが確かで、その中でも今回のウィルスの起源はタヌキの可能性が高いらしい。

日本でも昔話に「たぬき汁」なんてのが出てくるが、江戸の市場でタヌキが売られてたなんて話は聞いたことがない。21世紀の街頭でそんなものが売られていたというのは、さすが「足のあるものは机以外、何でも食べる」(参照)と言われる中国だけのことはある。

今回のパンデミックを境に、中国でも野生生物は市場から姿を消したといわれるが、他人事ながら願わくはその状態が続いてもらいたいものだ。

ついでに「移民がペットを食ってる」なんて言ってるトランプ一味(参照)にも、さっさと消えてもらいたい。あの連中は生魚すら扱ったことがないから、生きた犬や猫を捕まえて殺して捌いて、さらにその後始末をするのがどんなに大変で避けたい仕事かということが、想像すらできないようなのだ。

そんな頭の悪さだから、いい年して馬鹿馬鹿しいデマを恥ずかしげもなく言いふらすのである。

【同日 追記】

今どきの「たぬき汁」は、タヌキの肉の替わりにこんにゃくを使うことが多いので、給食でも「たぬき汁」という名のこんにゃく汁が出たりするようだ(参照)。メニューだけ見たら、一瞬ビックリである。

 

| | コメント (2)

2024年9月21日

乗務員の水分補給にクレームを入れるやつ

下の画像は、エアなりィ さんという方の tweet(参照)に使われた写真の一部である(オリジナルはもっと縦長)。JR 電車の乗務員室との境のガラスに「熱中症予防のため乗務員室内で水分を補給することや、マスクを外して業務を行うことがあります」と表示してある。

240921

エアなりィ さんは「しょうもない事でクレーム入れる奴がいるからこんなお知らせ文があるんやろなぁ」と tweet しておいでだ。私としてもまさに同じことを思ってしまったよ。

「乗務中に清涼飲料水なんか飲んでる」なんてクレームを入れるやつがいるのだね。「本当にヒマなやつだなあ」「自分を何様と思ってるんだ」と言うほかないが、わざわざこんな「お知らせ」を貼り出さなければならないほどだから、そんなやつが決して少なくないんだろう。

そんなようなしょうもないクレームをわざわざ入れるって、どんなメンタリティをしてるんだろう。「勤務中は何も口にしちゃいけない」と信じてるのだろうが、そんな基準を他人にも当てはめてクレームまで入れるというのは、よっぽど思い込みが強くてマメな性格なのだろうね。

そしてそんなクレームを入れて、「自分はしかるべきことをした」と満足するのだろう。だから電話の対応で「熱中症予防のために水分を摂ることがあります」なんて説明されても、「水ぐらい、乗務する前に飲め」とか「飲むにしても清涼飲料水は避けるべきだ」なんて言うに違いない。

乗務員が水分補給を我慢しても乗客には何の得にもならないし、むしろ熱中症になんかなられたら命の危険すらある。そんなことも顧みずクレームを入れたがる客というのは、リスクなんて考えずにひたすら「お堅い精神論」の方を重視するんだろう。

と、ここまで考えてもやっぱり、「本当にヒマなやつだなあ」「自分を何様と思ってるんだ」と繰り返すしかない。

 

| | コメント (0)

2024年9月20日

『火垂るの墓』は二重の意味で「B面ヒット」

スタジオジブリの『火垂るの墓』が世界 190カ国以上で独占配信され、大きな話題になっているらしい(参照)。元々は 36年も前の 1988年に『となりのトトロ』と同時上映されたものというのだから、ちょっとした「狂い咲き」である。

240920

この関連かどうかはわからないが、SAWASAKI Fuyuhi さんが Bluesky で次のような書き込みをしておいでだ(参照)。

2409202

「アメリカひじき」という言葉が SAWASAKI さんにとって初見で、Wikipedia で調べてやっとわかったというのは意外だったが、上の画像に挿入しておいたように野坂昭如の小説であり、『アメリカひじき』と『火垂るの墓』のセットで昭和 42年下半期の直木賞を受賞している。

この文庫本、私も持っていたのだが誰かに貸したまま「借りパク」されてしまい、手元にない。誰に貸したか覚えていないので、もう取り戻しようもないが、Amazon で調べると中古で 3,000円以上の値がついているようだ。本と楽器は借りパクが多くて、昔誰かに貸したバンジョーも戻ってきていない。

話を元に戻すが、文庫本の表紙を見る限り、『アメリカひじき』の方が先に来ていて、『火垂るの墓』は昔のレコード感覚で言えば B面扱いだったようなのだ。当時の記憶を辿っても、『アメリカひじき』の方が話題になっていたような気がする。

終戦直後に米軍捕虜の補給物資をくすねた中にあったブラックティー(紅茶の葉)を「アメリカのひじき」と思い込んで煮て食ってしまったというエピソードがムチャクチャ印象的で、高校生の話のタネにもなっていた。

ちなみに、音楽の方でも B面の方がヒットしてしまうという例がたまにあって、有名なところでは松田聖子の "Sweet Memories" が挙げられるが、『スーダラ節』もそうだったというのは、あまり知られていない。

今回のアニメ版『火垂るの墓』のヒットは、二重の意味で B面ヒットと言える。原作が文庫本で『アメリカひじき』の B面扱いだっただけでなく、アニメ上映でも、『となりのトトロ』の B面扱いだったのだから。

もとより本当に優れた作品には、 A面も B面もないのかもしれないね。

 

| | コメント (4)

2024年9月19日

見たくないモノは見ないし、聞きたくないことは聞かない

夕方になって、兵庫県の斎藤知事への不信任決議案が、全会一致で可決されたと一斉に報じられている(参照)。このブログではこれまでこの問題を無視してきたが、まあ、今日ぐらいは触れておこう。

240919

斎藤知事という人、仕事のできない人じゃないみたいで、一定の成果は収めていると擁護する人もいる。しかしながら、あまりにも次元の低い場面でのパワハラだのおねだりだのがバラされまくり、県庁職員、県会議員、県民の心が離れきってしまったからには、もはや知事としては機能しようがないだろう。

ちなみに、「パワハラの難しさは殆どのケースで加害者が非常に仕事ができる優秀な人間である点なんだよね」という tweet をしている人がいて、これにいろいろなコメントが付いているのがおもしろい(参照)。

2409192

主だったコメントとして、次のようなものがある。

非常に優秀な人は、そのあたり(コンプラ等)の配慮も出来ていてるイメージ、非常に優秀な人はパワハラする人の方が稀と思いますよ

「でかつよ」が自分の心の赴くままに振る舞ったら「ちいかわ」たちが吹っ飛んだ…という話なんでしょうかね

集中力高く行動できるから仕事できるけど、感情が抑えられない。客観的にADHD傾向がある人がパワハラ気質

プレーヤーとして優秀だけどマネージャーとしてはイマイチという人にパワハラ気質な人が多い気がしますね

というわけで、「仕事はできる人」であっても人間的な部分で問題があって部下を上手に使いこなせないといったことが、今回の問題のキモのような気がする。斎藤知事を擁護する人のほとんどが「仕事はできる」ということのみにフォーカスしているが、それだけでは知事は務まらないのだよね。

知事としては議会解散という選択肢も排除しないみたいなことを言ってるようだが、選挙し直しても似たようなメンツの議員が揃ってまた不信任決議しちゃうだろう。そうなると、二度目の議会解散は認められないらしいから、いずれにしても知事は辞めざるを得ない。

斎藤知事という人、どうやら見たくないモノは見ないし、聞きたくないことは聞かないという性向のようなのだ。これ、状況によってはとてつもない強みとして働くこともあるのだが、今回ばかりはちょっとどうしようもないよね。

 

| | コメント (0)

2024年9月18日

2024年が最も暖かい年になる確率が 97% だそうだ

ウェザーニュースが「8月も世界の気温は過去最高 2024年が最も暖かい年になる確率は 97% 米海洋大気庁」というタイトルのニュースを伝えている。月間気温の過去最高を15か月連続で更新しており、2024年が最も暖かい年になる確率は前月より大幅に上昇して、97%になったのだという。

240918

上に示した画像は、米国の海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA) が作成した8月の気温や海面水温が基準値に比べてどのくらいの高さ/低さだったかを示したマップだが、世界のほとんどの地点で暖色系の色で、寒色系はほんのわずかしかない。日本も西日本が真っ赤だ。

このブログともう一つの「和歌ログ」で、この夏は何度も「暑い、暑い」と書いてしまっているが、西日本で暮らす人たちにはちょっと申し訳ないぐらいの気がしている。茨城県の最高気温が 33℃ ぐらいの日は、岡山や広島では 35〜36℃ ぐらいになっていることが多いからだ。

さらに、栃木県や群馬県でも猛暑日を記録していることが多い。茨城県はまだマシなのだろう。とはいいながら、やっぱり暑いものは暑い。

9月になっても暑さはしっかりと続いていて、今日は多摩地域まで出かけたのだが、日向の駐車場に停めておいたクルマに戻った時は目まいがするほどの暑さだった。あまりの暑さで、iPhone の画面に「正常な表示ができません」みたいなメッセージが出たほどである。

そして 13日の記事で書いたように、残暑は 10月になっても続くという。ということは、1ヶ月後には最も暖かい年になる確率が 98% 以上になっているだろう。そして 15か月続いた月間気温の更新が来年には収まるとも考えにくいから、この傾向はさらに続くのだろう。

それにしても上の赤い所の多い地図、見るだけで暑苦しくなってしまうよね。

 

| | コメント (0)

2024年9月17日

インドで「独裁」なんて、成立するわけないじゃん

東洋経済 ONLINE の「大国インドが中国のような独裁にならなかった訳」という記事を興味深く読んだ。「本稿は山中俊之著『教養としての世界の政党』から一部抜粋・再構成したものです」という但し書きがあり、「絶対的な強権支配が成立しにくかった土壌」というサブタイトルが付いている。

240917

私はインドには直接行ったことはないが、何人かのインド人とは結構親しく付き合った経験がある。その率直な印象からすると、「そもそもインドで『独裁』なんて、成立するわけないじゃん!」ということになる。

率直ついでに言わせてもらえば、中国は独裁国家ということになっているが、中国人のメンタリティとしてはそれを表向きには受け入れつつも、裏ではしっかりと「抜け道」を用意している。「表」がある限り、必然的に「裏」もあるのだ。その考え方には、日本人もかなり影響されていると思う。

ところがインド人と付き合うと、「表も裏も、へったくれもない」という印象だ。フツーの目には「混沌」としか見えないような状態でも、彼らにとっては「フツーに正常」のようなのである。

日本人はつい「それって、一体どうなってるの?」と聞きたくなるが、その質問自体がナンセンスというほかない。何しろ「いろいろあって当たり前」だから、一口には言いようがない。「二面的」じゃなくて「多面的」だから、「表と裏」なんていう東アジア的コンセプトは馴染まない。

というわけで、東アジア人なら「裏でこっそり」やるようなことでも、インド人は悪びれずにむしろ「堂々と」やる。これって、少なからぬ日本人には馴染めないことのようなのだね。

こうした土壌で、さらに国土も広大なのだから、「独裁」なんてしようったってしようがない。どうしても「独裁者」になりたかったら、他の国に行く方がいい。このことを理解しつつ冒頭に紹介した山中氏の記事を読むと、かなりよくわかる。

 

| | コメント (0)

2024年9月16日

神戸の小・中学校の 9割以上が「土足制」だそうだが

Japaaan に "なんと 9割越え!どうして神戸の小・中学校では「土足制」なのか?メリット・デメリットは?" という記事がある。日本の小・中学校(おそらく高校も)の多くは、今でも校内では「上履き」と称するものを履くシステムのようだが、神戸はちょっと違うというのだ。

240916

私自身の遠い記憶を辿っても、小・中・高校時代は登校するとまず玄関で土足を脱ぎ、靴箱に収納して上履きに履き替えるという面倒なことをしていた。校内では上履きで過ごすのだが、体育の授業や昼休みなどで校庭に出るときも上履きのままだった。よくわからない話である。

何でまた登下校時の土足を履き替えるという面倒なシステムを強いらるのか、よくわからない。そこにあるのは、屋内に入るときは履き物を脱ぐという日本古来の習慣だけだったような気がしてしまう。

ただフツーの家庭とは違うから、上履きなんてものに履き替える必要が生じてしまう。スリッパというわけにもいかないし。

これ、昔はそれなりに意味があったとは思う。というのは、昔の日本は道路の舗装率が低かったから、雨が降ると道がぬかるみになる。そのぬかるみを歩いてきたままで校内に入ると、床が泥だらけになってしまうのだ。

今は閉店してしまったが、西武百貨店つくば店の初代店長に取材した時、開店当初は田んぼや畑で履いていた長靴のまま来店する人が多かったので、床のモップかけが大仕事だったと述懐していたのを思い出す。1990年代初頭の話だ。

とはいえ、21世紀の世の中となっては道路はほとんど舗装され、田んぼや畑から登校する生徒だってほとんどいないだろうから、多少のことでは床が泥だらけになんてならない。ならば「土足制」にするのももっともな話だろう。

ただ、Japaaan の記事には次のようにあって、驚いてしまった。

神戸の学校で行われている特徴的なものに、「油引き」があります。油引きとは、数か月に一度、土ぼこりが立たないようにしたり、木材の劣化防止のために床に油を引くこと。

床になじむのに数日かかり、独特なにおいがするとか。

へえ、学校の床って今でも「板張り」なのか。他の公共施設ではほとんどあり得ないことだ。そう言えば私が小学校時代、「土足制」でなくても定期的に床が「油引き」されていた記憶があるが、今でもやっているのだね。こんなところに「昔の学校の風景」が生きていたとは。

学校というのは「土足制」を採り入れて「上履き」なんてものを廃止しても、そのさらに奥のところでまだ面倒なしがらみが好きみたいなのである。いやはや、本当によくわからないところである。

ちなみに学校はあちこちで順番に改築されているようなので、新しい学校建築では「板張り」なんて昔のしがらみを廃して、土足制をスタンダードにした設計にしていくべきだろうなあ。そうすれば「油引き」なんて余計なことにコストをかけなくて済む。

それが日本の伝統にそぐわないというなら、教室はいっそ畳敷きと和机を基本にすればいい。授業中は生徒も先生も正座ね。(最後は言うまでもないけどジョークなのでよろしく)

 

| | コメント (4)

2024年9月15日

米国の「日本ブーム」を音楽視点から見ると

長い間「米国の音楽市場では英語の歌以外は受け入れられない」と言われていた。遙か昔、Billboard 誌で週間 1位を獲得した "SUKIYAKI(上を向いて歩こう)" なんて、数少ない例外の一つである。

240915

しかしそうした「鎖国状態」は、ここに来て崩れ始めているようだ。NHK が「気付いたら日本ブームがすごいことになっていた」というニュースを伝えている。

米国でSHOGUN 将軍」がエミー賞の14部門で受賞し、ラジオでは日本人が日本語で歌うポッポスが流れることも増えてきたという。 ちょっと前までは韓国の "K-POP" がかなりフィーチャーされていたようだが、ついに日本の曲も注目され初めているというのである。

日本のユニット「新しい学校のリーダーズ」は、今年 4月にカリフォルニアで開かれた野外フェス「コーチェラ」に参加して以来、結構な話題になっているらしい。これはわかる。かなりよくわかる。

私も「新しい学校のリーダーズ」にはちょっと注目していたからね。どちらかと言えば、日本よりも米国で受けそうな気配を漂わせている。

私は個人的には日本のポップスよりも、ブルースとカントリー・ミュージックをベースとしたアメリカン・ロック・ミュージックの方が好きなのだが、最近はどうやらこのアメリカン・ロックがちょっと停滞してしまっている気がする。これって明らかなことじゃあるまいか。

何でなのかと言えば、米国の音楽がブルースとカントリーに縛られ過ぎているためなのだろう。日本の歌謡曲がどれを聞いても同じに聞こえてしまうのと似たような現象が、今のアメリカン・ロックの世界で起きているのだ。

そこへ行くと、韓国や日本のポップスは自由である。「ブルースがないじゃないか」と言ってしまえばそれまでで、確かに軽薄なイメージではあるのだが、その代わりメロディ・ラインがどうにでもなる。定型的なアメリカン・ロックに浸りすぎた米国人には、かなり新鮮に聞こえるだろう。

逆に言えば、日本の最近の曲はメロディが自由すぎて、私の同年代の連中は「平成以後の歌は覚えられないよ〜!」なんて悲鳴を上げている。同窓会の二次会のカラオケなんかは昭和の歌ばかりになってしまい、平成以後の歌を歌いたがる私なんか完全に浮いてしまう。

これだけの音楽大国にいるんだから、ちょっともったいないよね。

 

| | コメント (0)

2024年9月14日

「ヴィレッジヴァンガード」という店の失敗とは?

東洋経済 ONLINE で "大量閉店「ヴィレヴァン」経営が犯した最大の失敗" というタイトルを見て、まず最初に浮かんだのは「ヴィレヴァンって何だ?」という疑問である。これ、モロに初耳だったもので。

240914

記事の冒頭を読んで「ヴィレッジヴァンガード」の略だとわかったものの、それでもまず思い浮かんだのは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある "Village Vangurard" の方である。直接訪問したことはないが、このジャズ・クラブでのライブ録音はずいぶん聞いている。

記事の写真をまじまじと見てようやく、「そういえば、イオン・モールつくばのユニクロの向かいに、こんなような見かけのショップがあったな」と思い当たった。記事には「遊べる本屋」とあって、どうやらサブカルっぽさが売り物らしい。

店に入ったことは一度もないが、外から見た印象ではわけのわからない小物が雑多に積み重なっているばかりで、「本屋」っぽい雰囲気はまったくない。率直に言って、自分の欲しいものが手に入りそうな気はまったくしないし、客が入っているのを見たこともない。

記事によれば、この「ヴィレヴァン」とやらの 2024年 5月期の決算は、売上高が約 247.9億円で前期比約 2%の減少。営業利益は 9.15億円の赤字(最終赤字は 11.4億円)となっている。店舗数で見ても一時は全国で 400店舗を展開していたが、現在は 300店舗を割り込みそうな状況だという。

記事には、「ヴィレッジヴァンガード全店巡る人(ヴィレ全)さん」という方(その筋では有名人なのかなあ)が、この不調の原因を次のように語っていたとある。

  1. ショッピングモールなどへの出店を進めたことによって、「ヴィレヴァンらしさ」が普通のものになってしまった
  2. 人材教育が十分にされなかったことで、ヴィレヴァンを支える店員にサブカルの知識が薄く、普通の売り場しか作れなくなってしまった

というわけで、ヴィレ全さんみたいな濃い顧客には、現在の店舗が薄味になってしまっていることが不調の原因と映るのだろう。しかし、あの店作りを一目見て、「普通の売り場」とは到底感じられない私のような者には、原因は別のところにあるとしか思えない。

それは単純な話で、要するに「オーバーストア」だったんだろうということだ。アヤシい和製英語だが、要するに「店舗数過剰」ということである。

サブカルチャーのマーケットは元来それほど大きなものじゃない。限定的な市場に向け、調子に乗って大量出店し過ぎれば、限界にぶち当たるのも当然である。

そんな状況でヴィレ全さんの言うようにマニア向けの「濃い味」を徹底しちゃったりなんかしたら、ますます「過剰」になってしまうというのはマーケティングの常識だ。というわけで「ヴィレヴァン」も店舗数を適正規模に絞り込めば、まともな経営を継続できるだろう。それなら余計な人材教育も要らないし。

要するにそれだけの話なんだと思う。とくにフツーのショッピングモールでのヴィレヴァンって完全に場違いだから、さっさと撤退した方がいい。

 

| | コメント (4)

2024年9月13日

残暑は 10月中旬まで続くんだそうだ

一昨日 11日に「あと 1週間は、暑さに耐え続けなければならないようだ」という記事を書いたのだが、日本気象協会は昨日「10月中頃まで異例の残暑続く 北はようやく秋の気配か 秋雨前線や台風で雨量多い」と発表している。「異例の残暑」というのが、聞くだに恐ろしい。

240913

つまり、残暑に耐えなければならないのは、あと 1週間じゃなくて「あと 1ヶ月」ってことだ。相手が天気ではどうしようもなく、「やれやれ」と呟くしかない。

「向こう 1ヶ月の平均気温」という図を見ると、東北より北では 9月下旬に一時的に気温が低下するが、それも束の間、九月末から 10月上旬はまたしても全国的に暑くなるという。10月に入ってしまえばさすがに「猛暑日」なんてことはないだろうが、「真夏日」ぐらいは覚悟しなければならないだろう。

iPhone に入れてある "weathernews" というアプリを開いてみると、この夏は東北の仙台の最高気温がしょっちゅう 32〜33℃ ぐらいと予想されていて、それは 9月に入っても変わらない。私の妻は仙台出身だが、「昔は仙台で 30℃ を超えるなんて珍しいことだったのに」と述懐する。

どうやら我々は、大きな気候変動期の真っ只中にいるようなのだ。ちょっと前までの常識は通用せず、今後もますます温暖化(灼熱化?)すると覚悟する方がよさそうだ。

 

| | コメント (0)

2024年9月12日

米国大統領選のテレビ討論は、ハリスの戦略勝ち

BBC NEWS JAPAN が 9月 11日付で、10日に行われた米国大統領選のテレビ討論会を総括してくれている(参照)。記事を読む限りでは、カマラ・ハリスの方が「ちゃんと筋の通ったこと」を言って優勢なパフォーマンスとなっている。トランプは彼女と目を合わせることさえできなかったらしい。

240912

これに関しては米国の CNN も、「民主党候補のハリス副大統領のほうが共和党候補のトランプ前大統領よりも良い討論を行ったと考える人の割合は 63%に上った」と伝えており(参照)、日本の各社もこれを受けた報道をしている。

要するに、ほぼ 3分の 2 近くが「ハリスの方がまとも」と感じ、残りの「ゴリゴリ保守派」が「理窟はどうあれ、何が何でもトランプ」と言い張っているというわけだ。今回の大統領選は、こんなイメージに集約されつつあるようだ。

振り返れば前々回となる 2016年、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンの対決となった選挙では、ヒラリーがことさら「自分はデキる女」というイメージ戦略を展開した。ところが結果的には逆に「嫌な女」というイメージにつながってしまい、「わかりやすい」トランプに負けてしまった。

今回のテレビ討論会の報道を読むと、ハリスは検事上がりだけに「確実な事実の積み上げ」というスタイルを選んだようだ。イメージを軽視したわけではないが、それ以上に「事実」を重視したわけである。

そうなると、「不確実な噂レベル」の話に基づく政策を主張するトランプの「お馬鹿さ加減」が自然に浮き彫りになる。討論の勝負は明らかだ。

大統領選は 11月 5日だから、このテレビ討論会の印象が薄れてしまわないうちのこととなる。これはとても重要なポイントだと思う。

 

| | コメント (0)

2024年9月11日

あと 1週間は、暑さに耐え続けなければならないようだ

暑い! 9月中旬に入ったというのに、つくば周辺の最高気温は猛暑日寸前の 34℃ に達し、この暑さはしばらく続く見込みだという。

240911

上の画像は Weather News で表示されたつくば市の今後の天気予報である。金曜日までは最高気温が 33〜34℃ となり、土曜日に曇って陽が射さないためか 28℃ に下がる。

しかし日曜日には再び 33℃ に上がり、19日の木曜日に至ってようやく真夏日から解放されるということのようだ。あと 1週間は暑さに耐え続けなければならない。

昔の記憶を辿ると、学生時代は夏休みの終盤となる 8月下旬ともなれば、海に行っても泳ぐには水が冷たくなっていて、砂浜で打ち寄せる波を眺めるだけということが多かった。そして朝夕ともなれば涼しい風が吹いていたものである。

ところが近頃では夕方になってもクソ暑いままで、熱帯夜がフツーに続いている。地球の気候は完全に変わってしまったものと思う方がよさそうだ。

来週の 18日には仕事で東京の多摩地域に行くのだが、まだ暑いのだろうなあ。

 

| | コメント (0)

2024年9月10日

甘いコーヒー飲料を飲むと、体内時計が狂うおそれ

「カフェインと甘味料を加えた水をマウスに与えると体内時計が乱れたとする研究成果を広島大などのチームがまとめた」と、読売新聞が伝えている(参照)。体内時計が 1日 26〜30時間のリズムになってしまい、昼夜逆転してしまうケースもあったらしいのだ。

 240910

チームは、マウスを3グループに分け、それぞれに「一般的なエスプレッソの半分の濃度のカフェイン水」「甘味料も加えたカフェイン水」「通常の水」3種類を自由に飲ませて1週間以上観察したという。その結果は次のように報告されている。

甘いカフェイン水のグループは、1日のリズムが 26~30時間周期と乱れ、昼夜逆転に陥るケースもあった。摂取をやめると元のリズムに戻ったという。残り2グループに生活リズムの大きな変化は見られなかった。

というわけで、「甘いカフェイン水」には体内時計を狂わせる働きがあるようなのだ。「カフェインと甘味料には、覚醒に関わる脳内物質ドーパミンの分泌を活性化させる働きがあり、何らかの相乗効果が生じている可能性がある」というのである。つまり「眠気覚まし」が効きすぎたってことのようだ。

私自身について言えばコーヒーは毎日ブラックで飲み、たまにミルクを少し加えることはあるが、自ら砂糖を加えることは 100%ない。缶コーヒーなんてものも飲まないから、「甘いコーヒー」を飲む機会は、稀に砂糖入りを押しつけられてしまった場合(1年に 3〜4回)ぐらいのものだ。

ただ、「だから安心」と言っていいのかどうかはわからない。というのは、時々コーヒーと一緒にケーキみたいなものを食ってしまうこともあるからだ。コーヒーはブラックでも、一緒に胃袋に入ってしまうケーキは砂糖たっぷりだろうから、悪影響がないとも限らない。

しかしまあ、コーヒーとケーキを一緒に楽しむなんていうのも週に 1度ぐらいのものだから、それほど気にする必要はないか。

 

| | コメント (2)

2024年9月 9日

「縄文人度合」という概念があるんだそうだ

Sience Portal というサイトに 7月 24日付で "日本人祖先の「3系統説」、従来の定説に修正迫る ゲノム解析で進化人類学は「人類、日本人の本質」を探究" という記事がある。科学ジャーナリストで共同通信客員論説委員の内城喜貴さんによるものだ。

240909

これまでの学説では、日本人の祖先の形成は「二重構造モデル」が定説となっていた。縄文時代の狩猟採集民族である縄文人と弥生時代に大陸の北東アジアから渡来した稲作移民の弥生人の混血により、現代の日本人が形成されたというものである。

しかし近年のゲノム解析技術の進展により、この定説は修正されつつあるのだという。新しい学説は「三重構造モデル」なのだそうだ。

縄文人の祖先集団は、2万~ 1万 5000年前に大陸の集団(基層集団)から分かれて渡来したとされる。その後、弥生時代に北東アジアに起源をもつ集団が、また古墳時代には東アジアの集団がそれぞれ渡来し、その度に混血があったと推定できたという。

これはゲノム解析により、日本人の祖先系統が沖縄県に多い「縄文系」、関西に多い「関西系」、そして東北に多い「東北系」の 3つに分けられたこととも符合しているようだ。沖縄の人たちは縄文人との遺伝的親和性が最も高く、東北系の人たちがそれに次ぐ。そして関西系の人たちは最も低いのだそうだ。

民俗学の柳田国男は『蝸牛考』で、カタツムリを表す方言は、京都を中心に同心円状に分布しているとした。新しい言葉は都から発生して周辺に伝わるので、端に行くほど古い言葉が残っているというのである。

今回の「三重構造」のモデルをこの『蝸牛考』式に解釈すると、周辺に行くほど「縄文人度合」が高くなっているということから、古墳時代に渡来した東アジア系の集団は、権力の中心である関西に入り込んで日本に定着していったのだろうと想像される。南九州や東北は、中央権力から遠かったのだ。

地図を見ると面白いことに、私の生まれた山形県よりも、今住んでいる茨城県の方が縄文人度合は高いようなのだ。なるほど、確かに「顔の濃い人」が多いような気がする。「弥生顔」の北上は、太平洋側より日本海側の海流に乗ったもののようだ。

関西系の人たちというのは古墳時代以後に東アジア方面からやってきた人たちの血が濃いようで、顔の濃い人があまりいないのはそのせいなのかもしれない。そのかわり、日本の政治・文化の中心的な役割を担うことになった。上方文化は、「顔の薄い人」でつくられたようなのである。

私自身は、平均的な上方人よりほんの少し縄文人度合が高いようだが、鹿児島県人や青森県人ほどじゃないような気がする。何しろ茨城県人の縄文人度合が私より高いらしいというぐらいだし。

この研究が深化していろいろなことがわかると、「県民性」の違いみたいなことまでつながるかも知れない。出雲国(島根県)の縄文人度合が高いというのもおもしろいし、来月はその島根県に出張することになっているので、ちょっと楽しみである。

【9月 11日 追記】

島根県に出張すると書いてしまったが、行くのは米子市で、鳥取県だった。この辺りの鳥取県と島根県の区別がしっかりできていなくて、お恥ずかしい。

 

| | コメント (0)

2024年9月 8日

新規 SNS の Bluesky、なかなかいいかも

先月 29日に「実は Threads を試し始めている」という記事を書いた。イーロン・マスクがトランプとツルみ始めたと知って Twitter に嫌気が差したので、代替 SNS を模索し始めたというわけだ。

240908

ただ Threads を試し始めてから既に 1ヶ月以上経ったわけだが、依然として「これで決まりだな!」と思えているわけじゃない。どこか何となく違う気がしないでもないのである。

そう思っていた矢先、一昨日(6日)に山辺響さんのコメントが付いた。彼も Threads を一時試していたが、「スパムが多い印象なので、Blueskyに落ち着きそうです」とおっしゃるのである。私はそれまで Bluesky という SNS を知らなかったが、行って見るとなんとなくしっくり来るじゃないか。

そこでとりあえず自分もアカウントを作り、2本のブログの更新通知をし始めた(参照)。上の写真のような感じになる。

Bluesky_tak

調べてみると、「X(Twitter)の共同創業者であるジャック・ドーシー氏らが発案した SNS です」とある(参照)。道理で長いこと使ってきた Twitter と共通した雰囲気があるわけだ。しかもイーロン・マスクの嫌らしさがない。

というわけで、今はトライアルに Bluesky を加え、Twitter、Threads と合わせて三本立てで更新告知をしている次第だ。いずれはどれか一本に集約したいと思っているのだが、それがいつになるかはわからない。

ただ、今のところは何となく Bluesky の印象点が高い。日本でもユーザーが拡大して定着してくれるとありがたいのだが。

 

| | コメント (4)

2024年9月 7日

戦争なんかより温暖化対策だよ!

ロイターの 6日付配信は、"欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は6日に発表した月報で、6─8月の北半球が昨年の記録を更新して観測開始以来最も暑い夏になったと述べた" と伝えている(参照)。実感通りのニュースと言うほかない。

240907

この地球温暖化は、化石燃料の燃焼による温室効果ガスの排出が主な原因とされている。以前はこれに関する否定的な見解を示す人も結構いて、「地球はむしろ寒冷化に向かっている」なんて言う学者まで少なくなかったが、最近はさすがにだいぶおとなしくなっているようだ。

2年前の段階でも "「地球温暖化」のウソに騙されるな" みたいなことを言う人もいたわけだが、実際にここまで暑くなってしまうと、もう寝言じみたことは言っていられない。

2409073  
「地球の気温は上がり続けている」
(クリックすると別画面で拡大表示される)

記事中で示されたグラフ(上に引用)を見れば一目瞭然だが、地球の気温は 1980年頃から目立って上昇しており、とくに今世紀に入ってからは大変なことになっている。温暖化対策をしっかりしないと、戦争するより命が危なくなってしまう。

FEATURES というサイトに「長い目で見れば地球は寒冷化するってホント?」という質問に東京大学工学系研究科 助教(古気候学)の木野佳音さんが答えたページ(2023年 7月 4日付)がある。答えは「少なくとも数万年は寒冷化しない」というものだ。

詳しい話はリンク先に飛んで読んでいただければわかるが、かなり説得力のあるものだ。少なくとも「CO2 より中国の脅威の方が大きい」なんて妙な印象論で問題をすり替えるみたいなことはせず、しっかりと学術的に解説してある。

まったくの話、戦争なんかしている場合じゃない。大事なのは「温暖化対策」だよ。

 

| | コメント (4)

2024年9月 6日

酒は飲まないに越したことはないようなのだ

Threads に sao.ri0616 さんという方が次のような投稿をしている(参照)。大谷翔平選手が酒の誘いを断っていたということに関するものだ。

240906

大谷選手は先輩からの誘いも「お酒ですか? お酒なら行きません」とキッパリ断るというのである。「嫌われたらどうするの?」という声には、「世界一の選手になったら、みんなが僕のこと好きになる」と答えるという。「酒に付き合わないぐらいで嫌うなら、どうぞご勝手に」ってなもんだ。

さすがに世界の大谷翔平である。一方で毎日新聞の連載まんが、いしかわじゅん さんの『桜田です』の本日付最終コマは、こんな感じだ。

2409062

桜田家のお父さんと上司が、会社の帰りに「あっという間に暗く鳴っちゃったなあ」「仕方ない ちょっと寄ってくか」なんてことで、日の短くなったのを飲み屋に寄る理由にしている。ほとんど言い訳みたいに「一杯だけですよ」なんて言ってるが、それで済みそうには思えない。世の中、いろいろだ。

私について言えば、7年前に「お酒は卒業しちゃったようだ」という記事で書いたように、最近はほとんど飲んでいない。先月 27日には「今年になって酒を飲んだのは、昔の仲間と集まった時の 2度しかない」と書いているほどで、そうした機会さえなければ一度も飲まずに済んでいただろう。

決して「禁酒」とか「断酒」したとかいうわけではないが、最近は飲むのが面倒になってしまったのである。10年ぐらい前まではほとんど毎日飲んでいたのに、今は目の前に酒瓶があっても栓を開けて飲もうという気にならないのだから、我ながら驚きだ。

ちなみに 7年前の記事では「NHK の番組では、一日に一合ぐらいなら『酒は百薬の長』として機能すると言っていた」と書いてしまったが、最近の医学的研究では、飲酒はほんの少しでも体に害になるということがわかってきたらしい。

アルコール分解物質が DNA を傷つけ、がんを誘発するのだそうだ(参照)。もっともらしく聞こえることでも時代によって変わってくるのだから、信じすぎてはいけない。

やっぱり酒は飲まないに越したことはないようなのである。前世紀末はタバコの害が明らかになって禁煙の動きが強まったが、今後は酒の害が話題になって禁酒がトレンドになるかもしれない。

 

| | コメント (2)

2024年9月 5日

エアコンって、もはや「必需品」なのだね

NHK が一昨日付で「東京 23区 熱中症疑いで 248人死亡 エアコン未使用などが 8割超」というニュースを伝えている。6〜8月 3ヶ月間の速報値が、既に昨年 6月から 9月までの 4か月間の192人を大きく上回り、公表されている2006年以降最多だった 2022年の 251人に迫るものだという。

240905

死亡者を年代別に見ると、60代以上が 238人(内訳は 80代が 97人、70代が 82人、90歳以上が 32人、60代が 27人)で、死亡者の 96%を占める。暑さで死ぬのは圧倒的に高齢者ということだ。しかもエアコンを点けていなかったり、もともと設置されていなかったりするケースが 8割以上だったという。

エアコンと言えば、東日本大震災のあった 2011年から翌 2012年まで、私は自宅のエアコンの電源プラグをコンセントから抜いて過ごした。政府が「原発なしでは電力危機になる」と喧伝するので、「だったら、エアコンなんか使わないよ!」と腹をくくったのである(参照)。

この時は「関東の夏ぐらいだったら、エアコンなしでも何とか耐えられるものだ」と感じた。実際、NHK ニュースの「東京 23区熱中症の疑いで死亡」というグラフを見ると、2011年、2012年の数字はかなり低いことに気付く。

2409052
(クリックすると別画面で拡大表示される)

大震災の前年は今に至るまで「2010年の猛暑」と語り継がれるほど暑かったのだが、不幸中の幸いというか、震災からの 2年間はそれほどの猛暑にはならずに済んでいたのだ。ところが 2018年以後、とくに2022年以後の 3年間は、暑さのレベルがこれまでとは比べものにならないほどになっている。

2409053
(クリックすると別画面で拡大表示される)

今年の熱中症の疑いによる死亡者数の推移を見ると、7月の死亡者数が目立って多い。7月の声を聞いた途端に気温がメチャクチャに上がり、中旬に一旦おちついたものの、下旬以後は毎日猛暑日という熱波に襲われた。この頃に死亡者数が飛び抜けて増加していることがわかる。

それ以後はテレビやラジオなどで「ためらわずにエアコンを点けましょう」と呼びかけられたこともあり、死亡者数は目立って減っている。それでも、高齢者がエアコンを点けずに死亡するというケースはなくならなかったわけだが。

私自身、今年の夏は呼びかけに従い、「ためらわずに」エアコンのスイッチを入れている。これでも 72歳の「高齢者」なんだから、下手に我慢なんかしたら死にはしないまでも、「夏バテ」で、今頃はヘロヘロになっていただろう。

「エアコンはもはや必需品になってしまった」と、しみじみ感じる昨今である。昨夜あたりから日が沈んでしまうと少しは涼しい風が吹くようになって、ホッとしているのだが。

 

| | コメント (0)

2024年9月 4日

イーロン・マスクの Twitter なんて、潰れていいよ

Gigazine が 9月 3日付で「イーロン・マスクによる買収後に下がった評価額が戻らない X に投資家から非難の声」というニュースを伝えている。元記事は MEDIA ITE の "Twitter Investor Accuses Elon Musk Of Tanking Value of App" (Twitter への投資家はアプリの暴落に関してイーロン・マスクを非難)。

240904  

面白いのは、米国のメディアが今でも "Twitter" という呼称を見出しに使っていることだ。この件について触れた Washington Post も "Musk’s Twitter investors have lost billions in value"(マスクの Twitter への投資家たちは何十億ドルもの損失を蒙った)としている。

2409044

それにしてもヒドいのは、イーロン・マスクがトランプべったりで、大統領に再選されたら閣僚にするなんて言われて喜んでしまってることだ(参照)。さらにこいつは、自身の保有する Twitter 上でカマラ・ハリスが共産主義の制服を着たフェイク画像まで流している。ガキの仕業としか言いようがない。

2409043

これを報じる米国のテレビニュースでも、上の画像の字幕にあるようにキャスターが「Twitter オーナーのイーロン・マスクが非難の的に」と言っている(参照)。米国のメディアはおしなべて、「"X" という新名称なんて、おかしくって使ってられるか!」という姿勢のようなのだ。

私としてもこのブログでは "Twitter" と言い続けてるし、さらに使い続けるのが嫌になって、Threads に軸足を移すことを検討している(参照)。

話を元に戻すが、イーロン・マスクの買収以後、Twitter の評価額は暴落を続けている。こんな具合だ。

Twitter(現・X)はイーロン・マスク氏によって 440億ドル(約6兆4510億円)で買収されました。その後、評価額は半年で買収額の 3分の 1である 150億ドル(約2兆2000億円)まで下がりました。評価額が回復しないことについて「いい投資だった」と問題視しない投資家がいる一方、「マスク氏は莫大な富の破壊を行っている」と非難する声も出ています。

私にとっては Twitter の株価がどうのこうのなんてことはどうでもよくて、本音では「いっそ、潰れていいよ」とさえ思っている。

最後に、ほぼ恒例化してしまったみたい(参照)な「Gigazine のお下手な翻訳」についてだが、「イーロン・マスクによる買収後に下がった評価額が戻らない X に投資家から非難の声」という見出しは、やっぱりおかしい。

投資家の非難の対象は "X" というプログラムじゃなく、そのオーナーであるイーロン・マスクなのである。ここは意味からしても、「イーロン・マスクに投資家から非難の声」とすべきだろう。冒頭で紹介したように、元記事のタイトルだって「〜イーロン・マスクを非難」なんだし。

ニュースの見出し風にするなら「買収後に下がった X の評価額戻らず 投資家はイーロン・マスクを非難」あたりが妥当だろう。

 

| | コメント (2)

2024年9月 3日

画びょう、押しピン、プッシュピン・・・ 同じ物? 別物?

最近、部屋の棚を移動させたところ、後ろの壁に古い画びょうのささっているのを見つけた。引き抜いてみると表面がほとんど錆び付いてしまっているので、「今どき、こんな画びょうは使わないよね」と、捨ててしまった。

240903

ただ、捨てるに当たっては尖った針の部分を斜め上から金槌で叩き、横に潰してから「不燃ゴミ」用の袋に入れた。昔から画びょうを処分するときにはそうしてきた。そのまま捨てると、下手すると床や地面に転がり落ちてしまい、尖った針を踏んづけてしまいかねない。

40年ぐらい前までは、靴の裏を見ると画びょうのささっていることが少なくなかった。知らぬ打ちに踏んづけてしまっていたのである。外で厚みのある靴を履いている時はまだいいのだが、屋内で踏んづけると「あいたたた・・・!」と、大変なことになった。

しかし最近のピンは上の写真のように尖った針の部分が上を向かないから、危険がだいぶ減った。ありがたいことである。

ところで私は、昔ながらの形のものを「画びょう」と言い、上の写真で左側にある頭がプラスチックのものは「プッシュピン」と称してきた。

そして右側の透明プラスチックみたいな頭で、針の部分の長いものは、かなり昔に畳の上に敷いたカーペットの端を固定するのに使う人がいたと思うが、最近は見かけることも滅多にない。そのせいか名前で呼んだことなんてなく、私の中では長い間「名称不明」のままである。

試しに「画びょう プッシュピン」のキーワードでググってみたところ、withnews のサイトで "「押しピン」「画びょう」呼び名が違うのなぜ? コクヨと教授に聞く" という記事が見つかった。"「押しピン」と「画びょう」、違いはあるのかないのか調べました" というサブタイトル付きである。

この記事によれば、コクヨではこうしたもの全般に「画鋲」という包括的な名称を使っているという。文具メーカーのトップなのに、形状による区別には無頓着のようで、次のようにある。

ネットでも見られる商品カタログでは、分類を「画鋲」「ピン」として、あの金色の平らなアタマのものも、プラスチックのアタマのものも、ほとんど「画鋲」の名が付いています。

試しにコクヨの商品カタログのサイトに行き(参照)、「画鋲」で検索してみると、20種類がヒットした。形状によって「二重画鋲」とか「「平」とかのほか、「丸」とか「ダルマ」とかいうのがあるが、全て商品名は「画鋲」である。

ただ関西では「ピン」と呼ぶことが多いようで、大阪本社の広報担当者は個人的な話として「普段は『押しピン』と言っている気がします」と語っていたという。へえ、関西では「画びょう」のことを「押しピン」というのか。

一方、篠崎晃一・東京女子大教授(方言学)は、web 上で公開している「方言チャート」に、2013年のト公開当初、出身地を東西に分けることを狙って「押しピン」の設問もつくっていたが、東日本出身でも「押しピンを使う」という回答が多かったため、設問から外したという。

関東出身者の中に「針のアタマに平らな金属が付いているのが画びょう、プラスチックなのが押しピンじゃないの?」という人がいたというので、「方言」というより「分類」の観点で見る方が合理的というケースが増えてきたようなのだ。これ、先に述べた私の言い方と共通している。

ただ私は「プッシュピン」と言ってきたのだが、日本では「押しピン」の方が優勢らしく、記事を読んで「へぇ!」と驚いてしまった。"Pushpin" というのは「画びょう」という意味のちゃんとした英語ではあるのだが、日本ではあまり一般的ではないらしい。

ただいずれにしても、プラスチック製の頭のものは「画びょう」とは言わないという感覚が台頭しているのは確かだと思う。メーカー段階では確立した分類名称がないということの方が驚きだ。

 

| | コメント (0)

2024年9月 2日

36年前のキットカット CM に見る「美少女の行進」

えのげ に "【納得】昔のキットカット CM を見て「宮沢りえ可愛い!」の前に出てくる感想がコチラwww" というページがあるのだが、言いたいことは「昔のキットカット、でかい!」ということのようだ。

画像で比べると、こんなことになる。昔のキットカットは長さが 9cm あったが、今のは 5cm しかないという。ずいぶん世知辛くなったものである。もっとも味そのものはもちろんチョコレートだから、甘いはずだが。

2409023

ただ、私が昔の CM を見て驚いてしまったのは、チョコのサイズなんてことではなく、登場する二大美少女、宮沢りえと後藤久美子の歩き方である。CM 冒頭に見られる通り、腕をやたら大きく振り、膝を曲げて股を高くあげるという、モロに旧帝国陸軍式、今の甲子園野球入場行進式のスタイルなのだ。

240902

一緒に歩いている英国兵の、脚が自然に伸びた「国際スタンダード」とはエラい違いである。この CM の流れていた 1988年頃というのは、こんな前時代的な歩き方がしっかりと残っていて何の違和感も生じさせず、あまつさえ「カワイイ!」なんて思われていたようなのだ。

私は一昨年 6月 29日付「見るだけでうんざりしてしまう行進スタイル」という記事で、2つの極端な歩き方について書いている。一つは共産国家式の膝を異常なまでに真っ直ぐに伸ばした軍事パレードで、動画で見るだけで「ゲゲッ」となってしまう。

中国ロシアの軍事パレードも似たような感じでうんざりしてしまうが、北朝鮮は最も異様だ。

これとは対照的なのが、甲子園野球の入場行進である。膝を曲げて股だけを高く上げるのが特徴だ。こう言っちゃナンだが、足だけ「ドスドス」してるみたいで、もっさりドンくさく見えてしまう。まあ、共産国家式よりはマシかもしれないが。

故・武智鉄二氏はこのような「膝を曲げて股を高く上げる」歩き方を「農耕民族式」と言っていた。泥の中で田植えする際には膝を伸ばしての移動ができないので、日本民族の歩き方はどうしても膝を曲げて股を上げ、「スタスタ」というよりは「ひょこひょこ」という感じになってしまった。

そして我が国の軍隊行進はこの「膝を曲げて股だけ高く上げる」というコンセプトを何の疑問もなく採用しつつ、背筋だけはピンと伸ばしてドスドス歩くという特殊なスタイルになったというのである。

現代では陸上自衛隊だってフツーの歩き方でパレードする(参照)ようになったので、「旧帝国陸軍式」は、もう高校野球の入場行進ぐらいでしか見られないスタイルとなってしまった。この世界では令和の世の中になっても、行進の際に「股を高く上げて〜!」と強要する指導者が絶滅していないらしいのだ。

それがいにしえのキットカット CM に極端過ぎるほどの形で登場しているのを見せられて、「オヨヨ・・・」となってしまったのだよ。私はこの CM をリアルタイムで見たことがなかったので、今となっては逆の意味で「新鮮」すぎる。

【9月 6日 追記】

いやはや驚いた。甲子園野球だけじゃなく、高校サッカーでも半分以上は「旧帝国陸軍指揮」なのだね。半分弱は自然な歩き方なので、野球よりはまだマシだが(参照)。

| | コメント (6)

2024年9月 1日

「異にする」を「いにする」と読んじゃうことについて

Shirabeee の 8月 30日付に "「異にする」の正しい読み方を知ってる? 約 4割が「いにする」と誤読" という記事がある。不肖私もうっかりすると「いにする」と読みかけて、「おっと『ことにする』だった」となっちゃうことがないわけじゃない。

240901

Shirabeee 編集部が全国の 10代~60代の男女 709名を対象に調べたところによると、こんな結果だったという。

ことにする 41.0%
いにする 44.8%
あだにする 14.1%

「いにする」という誤解答が、「ことにする」の正解より多かったというわけだが、上述の通り、私もつい間違えそうになっちゃうのだから、気持ちはよくわかる。

ただ「あだにする」というのは、「異」という字に「あだ」という読みもないではないが、そう読んじゃったらちょっと「異様」だよね。フツーは「仇にする」と表記するし。

というわけで私としては、ここまで来たら「異にする」を「いにする」と読むということに関しては、カタいこと言わずに認めてしまってもいいんじゃないかという気がしているのである。

Precious.jp というサイトの「大人の女性のための知っておきたい日本語常識クイズ」というページには、"「いにする」と読んだら大恥!" なんてあるが、ことさら「大恥」なんてことまで言う必要はなかろうよ。

2409012

今の世の中では半数近くの人が「いにする」と言い、聞けばそれでちゃんと通じてしまう。そんなことで「お前、『異にする』の読み方も知らねえのかよ!」なんて妙に居丈高に迫るのは、かえってカッコ悪い。

「異にする」という言葉は、古語の「こと(異) = 別なもの」という名詞から発している。この名詞に「なり」という補助動詞が付いて「異なり」という形容動詞になった。これが現在の「異なる」の元の形である。「異にする」という言い方は、元の名詞の形をより強く残しているわけだ。

さらに「異」の一文字を、漢字の音読みを採用して「い」と読む場合だってある。「これはまた異なことを・・・」とか「縁は異なもの味なもの」なんて言う場合には、漢語由来で「い」と読む。

だったら「異にする」を「いにする」と読む人がいても、つべこべ言わないでおこうじゃないか。

ただ、「異なこと/異なもの」とか言う場合は「妙な」というニュアンスがあり、「異(こと)にする」という場合の「別なもの」という意味合いからはビミョーにズレてしまうのは確かなので、「そこは譲れん!」という人もいるだろうけどね。

とはいえ言葉って時代で変化するものだし、あと何十年かすれば、「いにする」の入力でフツーに「異にする」と変換される世の中になるかもしれない。

【9月 2日 追記】

「異を唱える」の場合は、「別のこと」でも「い」と読むということもあるし、ますますカタいこと言わなくてもいいような気がしてきた。

 

| | コメント (2)

« 2024年8月 | トップページ | 2024年10月 »