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2024年9月 3日

画びょう、押しピン、プッシュピン・・・ 同じ物? 別物?

最近、部屋の棚を移動させたところ、後ろの壁に古い画びょうのささっているのを見つけた。引き抜いてみると表面がほとんど錆び付いてしまっているので、「今どき、こんな画びょうは使わないよね」と、捨ててしまった。

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ただ、捨てるに当たっては尖った針の部分を斜め上から金槌で叩き、横に潰してから「不燃ゴミ」用の袋に入れた。昔から画びょうを処分するときにはそうしてきた。そのまま捨てると、下手すると床や地面に転がり落ちてしまい、尖った針を踏んづけてしまいかねない。

40年ぐらい前までは、靴の裏を見ると画びょうのささっていることが少なくなかった。知らぬ打ちに踏んづけてしまっていたのである。外で厚みのある靴を履いている時はまだいいのだが、屋内で踏んづけると「あいたたた・・・!」と、大変なことになった。

しかし最近のピンは上の写真のように尖った針の部分が上を向かないから、危険がだいぶ減った。ありがたいことである。

ところで私は、昔ながらの形のものを「画びょう」と言い、上の写真で左側にある頭がプラスチックのものは「プッシュピン」と称してきた。

そして右側の透明プラスチックみたいな頭で、針の部分の長いものは、かなり昔に畳の上に敷いたカーペットの端を固定するのに使う人がいたと思うが、最近は見かけることも滅多にない。そのせいか名前で呼んだことなんてなく、私の中では長い間「名称不明」のままである。

試しに「画びょう プッシュピン」のキーワードでググってみたところ、withnews のサイトで "「押しピン」「画びょう」呼び名が違うのなぜ? コクヨと教授に聞く" という記事が見つかった。"「押しピン」と「画びょう」、違いはあるのかないのか調べました" というサブタイトル付きである。

この記事によれば、コクヨではこうしたもの全般に「画鋲」という包括的な名称を使っているという。文具メーカーのトップなのに、形状による区別には無頓着のようで、次のようにある。

ネットでも見られる商品カタログでは、分類を「画鋲」「ピン」として、あの金色の平らなアタマのものも、プラスチックのアタマのものも、ほとんど「画鋲」の名が付いています。

試しにコクヨの商品カタログのサイトに行き(参照)、「画鋲」で検索してみると、20種類がヒットした。形状によって「二重画鋲」とか「「平」とかのほか、「丸」とか「ダルマ」とかいうのがあるが、全て商品名は「画鋲」である。

ただ関西では「ピン」と呼ぶことが多いようで、大阪本社の広報担当者は個人的な話として「普段は『押しピン』と言っている気がします」と語っていたという。へえ、関西では「画びょう」のことを「押しピン」というのか。

一方、篠崎晃一・東京女子大教授(方言学)は、web 上で公開している「方言チャート」に、2013年のト公開当初、出身地を東西に分けることを狙って「押しピン」の設問もつくっていたが、東日本出身でも「押しピンを使う」という回答が多かったため、設問から外したという。

関東出身者の中に「針のアタマに平らな金属が付いているのが画びょう、プラスチックなのが押しピンじゃないの?」という人がいたというので、「方言」というより「分類」の観点で見る方が合理的というケースが増えてきたようなのだ。これ、先に述べた私の言い方と共通している。

ただ私は「プッシュピン」と言ってきたのだが、日本では「押しピン」の方が優勢らしく、記事を読んで「へぇ!」と驚いてしまった。"Pushpin" というのは「画びょう」という意味のちゃんとした英語ではあるのだが、日本ではあまり一般的ではないらしい。

ただいずれにしても、プラスチック製の頭のものは「画びょう」とは言わないという感覚が台頭しているのは確かだと思う。メーカー段階では確立した分類名称がないということの方が驚きだ。

 

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