トランプ選挙集会ルポに見る米国の「アブナい一面」
HUFFGPOST に "トランプ選挙集会の本当の姿を見た。大手メディアが報じない「動き」は演説が始まる前に起きていた【米大統領選2024】" というとても興味深い記事がある。コンピューター科学者 Jen Golbeck さんの寄稿によるものだ(元記事は こちら)。
Golbeck さんは、フロリダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、イリノイ 4州で開催されたトランプの選挙集会を訪れた。 "MAGA"(Make America Great Again: アメリカを再び偉大に)信者たちが物事をどのように見ているか知るために、対面で直接話してみたのだという。
それらの選挙集会は入場無料で、上の画像からもわかるように異様な雰囲気が漂うものだったようだ。ロック音楽が鳴り響き、金ぴかのベンツが並び、"Trump" や "MAGA" と書かれた旗があちこちにはためき、ストリートパフォーマーたちがトランプをテーマにした見せ物を披露している。
参加者の多くはクーラーボックスで持参したビールで、昼からできあがっている。露店がたくさんあって、MAGA 帽子や Tシャツ、トランプのぬいぐるみ、ボタン、宝石、靴、小物などが売られている。これでは選挙集会というより「お祭り騒ぎ」と言う方が適切だろう。
こんな調子なので、トランプの演説は夕方からだが「本当の動き」はそれが始まる前の方がよく見えたという。Golbeck さんは「お祭り騒ぎ、コミュニティー、反抗、暗黒が一緒くたに混ざり合っています」と表現している。
しかし参加者へのインタビューを試みると、「一部の例外を除いて、みんな礼儀正しく、友好的で、熱心に話しかけてきてくれます」とある。中でも面白いのは次のやりとりだ。
「トランプって嫌なヤツかって?その通りだよ。でも、トランプは『俺らの嫌なヤツ』なんだ」(この記事の末尾参照)とそこにいた男性の1人に言われました。すると、周りに人たちも一斉に頷き、この男性に賛同しました。
自分たちの気持ちを話せる空間をトランプ氏が作ってくれたと称賛します。自分たちの気持ちというのは、トランプ氏が現れる前までは公共の場で口にすることが憚られた人種差別的で性差別的なヘイトスピーチのことを指しています。
この感覚はかなり重要だ。これこそトランプ人気の本質で、要するに彼は「嫌なヤツらのヒーロー」なのである。
というわけで、トランプが再選されたりなんかしたら、米国の「アブナい一面」がどっと表面化してしまいそうなのである。
【追記】
参加者のインタビューにある「トランプって嫌なヤツかって?」というくだりは、原文では "Is he an asshole? Sure. But he’s our asshole” である。 "Asshole" は「ケツの穴」なのだが、苦し紛れに「嫌なヤツ」と訳してしまったのだろう。
というわけで、この記事は奇しくも昨日の記事と「asshole つながり」になっている。(狙ったわけではまったくないので、よろしく)
【さらなる追記】
この関連で検索してみて初めて知ったのだが、米国では "Assholes: A Theory of Donald Trump"(Assholes:ドナルド・トランプ理論)という本まで出ていて、Amazon の紹介文には「トランプが asshole(ケツの穴=クソ野郎)というのは彼の支持者の間でさえ広く賛同されている説」とある。なるほどね。
2018年にはメキシコ元大統領に「トランプの口は世界一汚いケツの穴だ」とまで言われてるし。
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