米国の「日本ブーム」を音楽視点から見ると
長い間「米国の音楽市場では英語の歌以外は受け入れられない」と言われていた。遙か昔、Billboard 誌で週間 1位を獲得した "SUKIYAKI(上を向いて歩こう)" なんて、数少ない例外の一つである。
しかしそうした「鎖国状態」は、ここに来て崩れ始めているようだ。NHK が「気付いたら日本ブームがすごいことになっていた」というニュースを伝えている。
米国で「SHOGUN 将軍」がエミー賞の14部門で受賞し、ラジオでは日本人が日本語で歌うポッポスが流れることも増えてきたという。 ちょっと前までは韓国の "K-POP" がかなりフィーチャーされていたようだが、ついに日本の曲も注目され初めているというのである。
日本のユニット「新しい学校のリーダーズ」は、今年 4月にカリフォルニアで開かれた野外フェス「コーチェラ」に参加して以来、結構な話題になっているらしい。これはわかる。かなりよくわかる。
私も「新しい学校のリーダーズ」にはちょっと注目していたからね。どちらかと言えば、日本よりも米国で受けそうな気配を漂わせている。
私は個人的には日本のポップスよりも、ブルースとカントリー・ミュージックをベースとしたアメリカン・ロック・ミュージックの方が好きなのだが、最近はどうやらこのアメリカン・ロックがちょっと停滞してしまっている気がする。これって明らかなことじゃあるまいか。
何でなのかと言えば、米国の音楽がブルースとカントリーに縛られ過ぎているためなのだろう。日本の歌謡曲がどれを聞いても同じに聞こえてしまうのと似たような現象が、今のアメリカン・ロックの世界で起きているのだ。
そこへ行くと、韓国や日本のポップスは自由である。「ブルースがないじゃないか」と言ってしまえばそれまでで、確かに軽薄なイメージではあるのだが、その代わりメロディ・ラインがどうにでもなる。定型的なアメリカン・ロックに浸りすぎた米国人には、かなり新鮮に聞こえるだろう。
逆に言えば、日本の最近の曲はメロディが自由すぎて、私の同年代の連中は「平成以後の歌は覚えられないよ〜!」なんて悲鳴を上げている。同窓会の二次会のカラオケなんかは昭和の歌ばかりになってしまい、平成以後の歌を歌いたがる私なんか完全に浮いてしまう。
これだけの音楽大国にいるんだから、ちょっともったいないよね。
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