「富士山 まだ初冠雪なし」というニュースの裏表
富士山の初冠雪が今年はまだ記録されていないということで、統計開始から最も遅い記録になることが確定したというニュースが話題になっている。ただこの話には多少裏表があるようで、Weather News の記事がそのあたりに触れている。
富士山の頂上付近は、何と私の住むつくばの里からも見通せるのだが、確かに今年の秋は白いものが見えず夏の姿のままである。これまでの統計で初冠雪の最も遅かったのは 2016年の 10月 26日だったということなので、今年は記録更新ということになる。
ただ問題は「富士山の初冠雪」ということの定義で、Weather News によればそれは次のようなことだという。
その年の最高気温を観測した日以降に、甲府地方気象台から冠雪が確認できたときに発表されます。冠雪の確認は「山の全部または一部が、雪または白色に見える固形降水(雹など)で覆われている状態を下から初めて望観できたとき」を指します。
ここで注目すべきは、確認する役割を負うのが山梨県側の甲府地方気象台だけということだ。もし静岡県側から見て白いものが見えても「初冠雪」としては記録されないのである。そんなわけで、Weather News の記事には次のような記述もある。
これまでの最も遅い初冠雪が記録された 2016年も、実は 9月 25日の朝に静岡県側や山梨県の富士吉田などからは雪化粧をした富士山が見られ、ウェザーニュースアプリにもたくさん写真が寄せられていました。
「おいおい、ちょっと待てよ」と言いたくなってしまうじゃないか。こちらのページで確認されるように、公式記録より1ヶ月以上も早く雪化粧している証拠写真が多数あり、神奈川県秦野市からまではっきり見えたというのに、気象庁はそれを「初冠雪」として記録していないというのだ。
お役所見解と実際とは違うことが多いというのは、こんなところにまで現れている。
ちなみにこの秋の場合、これまでのところ富士山で雪が降ったとは誰も確認していないので、「今年の初冠雪は、正真正銘ムチャクチャ遅い」ということになる。地球温暖化の進み具合は、こんなところにまで現れている。
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