怪物ヒグマ に「肉の味」を教えたのは人間だった
「牛食ってヒトに食われるヒグマかな」なんて川柳を詠んだのは昨年の 8月 24日だった。牛を襲い続けたヒグマ "OSO 18" が駆除されたのは昨年の夏だったが、かの東スポが、OSO 18 の肉が都内のジビエ店で炭火焼きにされていたと報じていたのである。
そして今、捕獲作戦を指揮してきたリーダーの藤本靖さんは OSO を作ったのは、実は人間だったと語っているという(参照)。記事には次のようにある。
もともと山菜など食べる "普通のクマ" が肉の味を覚え、次第に行動がエスカレートした可能性があることが分かってきた。ハンターによるエゾシカの死がいの不法投棄によって食性が変わってしまった恐れがあるという。
今のヒグマはフキやセリ、ヤマブドウなどを食べる「草食」が大半だが、過去の食性調査によって 1920年以前は肉食傾向が強かったことがわかっている。ところが明治政府による北海道開拓が本格化したことで、この食性が変わってきた。
ダム建設などでサケの遡上が減ったことや、乱獲でエゾシカが減少し、動物性の餌が減ったことが草食に傾いた理由とみられる。ところが最近は、再び肉食傾向が強まってきた。
この変化の前段階は、エゾシカが増えて農作物被害が増えてきたことである。そのためハンターによるシカの駆除作戦が進んでいるのだが、処理しきれないエゾシカの死体を違法に山林に放置するケースが増えた。そして次の段階として、ヒグマがそのシカの死体を食べるようになった。
つまり結果として、人間がヒグマに「肉の味」を教えてしまったことになる。こうした状況が、よりうまい肉を求めて放牧された牛を襲って食べる OSO 18 のような個体の出現につながった。
北海道のヒグマのケースだけでなく、最近は本州や四国でもツキノワグマの増加が懸念されている。とくに山から里におりて棲み着いてしまう「アーバンベア」が問題視され、「2050年には都市占拠か」とまで言われている(参照)。
クマが人里近くに棲むのは、餌が手に入りやすいからだ。人間に捨てられた残飯などは、クマにとって格好の餌となる。自然豊かな観光地までがクマの住処になってしまわないように、人間が気ままな行動を自制しなければならない。
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