妖怪の多い鳥取と、神様の多い島根についての感慨
Threads にhliuhia さんという方が、「鳥取」と「島根」の違いについて「なるほど!」と膝を打つような写真を投稿しておいでだ(参照)。多分島根県のどこかにある飲食店らしきところの貼り紙で、「妖怪が多いのが鳥取。神様が多いのが島根です」とある。
確かに鳥取、島根の両県は、どこか非日常的な雰囲気をもっている。鳥取県の境港市は、あの『ゲゲゲの鬼太郎』の作者、水木しげるの故郷であり、「水木しげる記念館」とか「ゲゲゲの妖怪楽園」とか「水木しげるロード」なんていうのがあって、実際にどちらを向いても妖怪だらけだ。
それは境港市だけでなく、その位置する弓ヶ浜半島の入り口にあたる隣町の米子市にまで及んでいて、「鬼太郎列車」の始発駅となる米子駅には「ここはねずみ男駅」なんて表示されていて、その名の通り階段にまでねずみ男がいたりする。とにかく鳥取県は掛け値なしに妖怪が多い。
一方、島根県には時にルーツの異なる「大黒様」に変身してまで圧倒的に親しまれている大国主命の出雲大社がある。旧暦 10月(新暦で言えば今年は 11月 1日から 30日まで)は「神無月」と呼ばれるが、出雲の国に限っては日本中の神様が集まるとされているので「神在月」(かみありづき)と称する。
今日はその 3日前だから、神々は旅支度に忙しいだろう。
実は私は出雲は 2012年と 13年、15年(2度)の 4度ほど出張で訪れており、初めの 3度は神々の集まるとされる大中心の出雲大社に参拝している。ただ最初の 2012年の 10月は「平成の大遷宮」の真っ最中で、本殿の近くまで行くこともできず、離れたところから遙拝するほかなかった(参照)。
そして翌年の 2013年に訪れたのは 11月 4日で、旧暦ではまさに「神在月」だったので、和歌も「出雲なる神在月のおほやしろに八百万の神集ひませるか」と詠んでいる。
ただこの時もまだ大遷宮は終わっておらず、楼門の中に入ることができなかったので、上のように境内の外から横向きの写真を撮らせてもらうしかなかった。
そして 2015年の冬にようやくまともに参拝できた時には、写真を撮っていない。境内での本殿撮影は禁止されていたような気がするので、こんな感じの参道の写真が残っているだけである。詠んだ歌も「雪の舞ふ日の入り前のひとときを出雲大社の風にぞ吹かるる」というもので、いかにも寒そうだ。
というわけで、3度も参拝しているのに、あの見事な社殿の写真が手元にないのである。これは痛恨の至りというほかないが、インターネットを見れば見事な写真があるから、それで満足するか。
ただ、出雲大社の近くにある出雲阿国(いずものおくに)の墓の写真は、しっかりと撮らせてもらった。
出雲阿国は歌舞伎発祥につながる人物だけに、歌舞伎を論じて修士号を得た私としてはパスするわけに行かない。ただ畏れ多いので、真正面からではなく横から写している。出雲大社だって横からしか撮ってないのだからね。真正面からの写真はこちらでどうぞ。
というわけで、鳥取県には今月にも行ったばかり(参照)なので、次はまた島根県の出雲に行ってみたいと念願しているところである。
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コメント
大国主命は大黒様ではなく大国様かと。
という名前の通りのコメントです。
投稿: 重箱の隅 | 2024年10月30日 03:31
重箱の隅 さん:
ご指摘ありがとうございます。この件についてご説明します。
「だいこくさま」と入力して「大黒様」と変換されたことには当然気付いていました。大黒様と大国様はルーツが異なり、別の神様ということも当然承知しています。
ただ、日本ではフォークロア的に両者をごっちゃにしてきた歴史があるので、そのことに乗っかろうというか、それを強調してしまおうという意識で、敢えて「大国様」への再変換はしないでおきました。
その点、何の説明もなく書きっ放しだったことは手落ちだったかも知れませんので、ちょこっとだけ書き直しておきます。
「大黒様」で「ありゃ?」と思われた方はこのコメントまで読んでも、「へえ、そんなテキトーでいいんかい!」と言いたくなるかもしれませんが、フォークロアってある意味テキトーであるが故にいろいろ縦横無尽に続いてきたという要素もありますので、無理矢理で結構ですのでご納得いただければ幸いです。
投稿: tak | 2024年10月30日 05:59