有楽町線の英語カンペ: "The" の「ジ/ザ」問題
有楽町線の駅らしいのだが、とにかく構内の一般客から丸見えのところに貼ってあるという英語のカンニングペーパーらしき年季の入った貼り紙について、Yoshi さんという方が tweet しておいでだ(参照)。なかなか涙ぐましいものに見える。
これについては、「理由言えないと詰む設計」とか 「理由言える英語力あるなら振りがないらんのでは…」といったコメントが付いていて、私ももっともな話だと思う。
あるいは "an accident"(アン ナクスィデント:事故)とか "the congestion" (ザ コンジェション:混雑)などのサンプルが、裏で用意されているのかも知れない。ただそうだとしても、さらに突っ込んだ質問をされたらお手上げだろうけど。
ただ、それ以上に気になるのが、この tweet に付けられたいくつかの「細かい指摘コメント」である。「有楽町だから "ザ" じゃないの」 とか 「あ行の音(母音)からじゃないのに『ジ 有楽町ライン』なのか。『ザ(ダ) 有楽町ライン』が正解な気がするんだけどな…」とかいうものだ。
"The" という単語は母音の前では「ジ」になるという、中学英語の金科玉条をずっと引きずってる人が多いのだね。はっきり言ってしまえば、そんなのは「どうでもいい話」なのだが。
強いて細かいことを言えば、この場合は 「ザ」よりはほんの少し「ジ」に近い音になるような気がしないでもない。それはすぐ後に来る「有楽町」の "Y" の音に移るためにはその方が言いやすいからで、ただそれだけのことだ。
ただ、そんなことをいちいち意識してしゃべっているネイティブ・スピーカーなんてほとんどいない。人によってもビミョーに違うだろうし。
要するに "the" は「ザ」とか「ジ」とかいう以前に "the" でしかないのである。「曖昧母音」なので、母音の前で発音を変えようなんてことさら思わなくても、自然にビミョーな融通が利いてしまうというだけのことだ。
これについては、2023年 3月 24日付の【"The" を「ザ」と読むか、「ジ」と読むか】という記事で詳しく触れている。『ザ・インターネット』(『ジ・インターネット』じゃない)という映画のタイトルから発しているので、興味のある方はどうぞ。
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