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2024年11月23日

「さいとう元知事」が「〜元彦知事」というセコい戦略

今月 18日付の「今回の兵庫県知事選挙の、世論誘導に関する大きな教訓 」という記事で、"今回のケースは、ケチョンケチョン状態から一転して当選に至るまでどのような「世論誘導」が行われたかという視点で捉えるとかなり興味深い" と書いた。

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ケーススタディとして検証するにはある程度の時間がかかるだろうと思っていたのだが、それに関する直接情報が思いがけなく当事者サイドから上がってきたことには正直驚いた。今どきらしく、手間の省ける展開である。

株式会社merchu という PR 会社代表取締役の折田楓さん(上の写真左側)が、「今回広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います」として、選挙に当たってどのような戦略で活動したかを当事者の立場から書いているのだ(参照)。

J-Cast ニュースも言っているようにいささか「手の内自慢」的なはしゃぎようではあるが、なかなか面白い展開になった。ただそれは同時に「ヤバい」ということでもあるようなのだが。

公職選挙法では「インターネットを利用した選挙運動」をまったくの無報酬でボランティア的にやってもらったというなら何の問題もないが、「その選挙運動の対価として報酬を支払った場合には買収罪の適用があると定められている」というのである(参照)。

これ、はっきり言って妙な話で、私の感覚からすると「選挙プロモーションをするのに有料でコンサルタントや代理店を雇って何が悪い !?」と言いたくなってしまう。今の公職選挙法では、選挙への「スマートなプロモーション戦略」の適用なんて、そもそも想定されていないのだね。

実際問題として従来の選挙運動というのは、裏で「選挙のプロ」が暗躍し、その報酬はビジネス契約に基づいて直接受け取るなんてことではなく、間接的なところで「いろいろ妙な優遇をしてもらう」とか、あるいはその仲介なんてことになっているようだ。これ「癒着」による腐敗を生む元凶だよね。

今回の斎藤氏の場合はそうした「因習的政治手法」から脱して、まさに新時代の「ドライなやり方」でやっちゃったのだが、それがどうして「買収」呼ばわりされなければならないのか、さっぱりわからない。金で票を買ってるわけじゃあるまいし、政治ってこれだから付き合いきれない。

ただ、今回採用された選挙プロモーション戦略は結果として「上出来」と言っていいほど功を奏したわけだが、内容的には「イメージ優先の広告代理店的発想」がやたら強すぎて、個人的には「あんまり気に入らんなあ」と言っておく。

例えば「#さいとう元知事」をさりげなく「#さいとう元彦知事」(元の「彦知事」?)と言い換えてトボけるなんて、嫌らしくもセコすぎるやり方だよね。こんなもので圧倒的な「逆転勝利」が導かれたわけだ。いずれにしても、今後の選挙のあり方への影響は大きいのだろうけど。

斎藤知事の一連のパワハラ疑惑には事実が含まれていたとの証言もあるし、いくら選挙で勝ったからと言ってもそれが「帳消し」になったわけではない。兵庫県政は今後も「妙な緊張感」の中で、あっちに行ったりこっちに転んだりしそうな雲行きである。

【11月 25日 追記】

様相は「齋藤知事、選挙違反で失職か」という論調と、それに対する「守旧派の SNS 攻撃だ」という反論に二極化している。まったく面倒な話だなあ。

 

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