菊の花を食うなんて当たり前のことだったのだが・・・
Dauly Portal Z に「菊の花はうまい」という記事がある。少なからぬ日本人にとっては、菊の花がごくフツーの食卓のメニューだなんて驚きのようなのだが、新潟、山形、秋田県辺りで生まれた者にとっては、とくにコメントするのも何だかなあというほどの当たり前すぎる話なのである。
今を去ること半世紀以上前、大学進学で東京暮らしとなって初めての冬を迎えた頃、「へぇ!」と改めて気付いたことが 2つある。1つめは「東京の冬は晴れが多い」ということ、そして 2つめは「菊の花を食う文化がない」ということである。
冬空については 12月中旬のある日、友人に「あんまり晴れの日が続くんで、冬とは気付かなかったよ」と言ったところ、「冬って、晴れるもんでしょ」とあっさり返されてしまったのがかなりの驚きだった。「そうか、日本海側の庄内とは気候が違うんだ!」と、身にしみてわかった瞬間だった。
それまでの私の冬のイメージと言えば、空は分厚い雪雲に覆われて地吹雪が続く灰色の世界だった。ところが関東の冬は同じ日本の国ながらまったく別物で、「そうか、これだから『初日の出』を拝むなんて夢みたいなことができるわけだ!」と初めて気付いたのだった。
そしてもう一つは「菊を食わない」ということだ。季節を感じさせる菊の花の酢の物を、東京では学食や町の定食屋はもちろん、どこに行っても食えなかったのである。
時々、テレビのニュースなどで「山形県では季節の風物詩、菊の花が食卓に並んでいます」などと放送されると、廻りでは「へえ! 菊の花を食べるの !?」と驚くのだが、こちらにとっては当たり前すぎて、食わない方が驚きというぐらいのものだった。
とくに「菊の花が大好き」というわけでも何でもないのだが、食えないとなるとどことなく淋しいものである。人間というのは、「ないものねだり」を習性としているのかもしれない。
今年はコロナ騒動が収まってあちこちに出張する機会が増え、先日は新潟に行って、何年ぶりかで菊の花の酢和えを食べさせてもらった。「おぉ、これこれ、これですよ!」という感じだったなあ。
久し振りに口に入れると、「うまい」というより「懐かしい、嬉しい」という感覚の方が大きいものなのだね。
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コメント
関東の生まれですが、菊の花は何かちゃんとした和食を食べるときに出てくるもので、スーパーに売っていて家で食べるとか、そういう感じではないですね…。
しっかり日本酒を飲ませる居酒屋なら菊花を見かけるので、酒を飲む年代になってからはそれほど珍しいとも思わなくはなりましたが。
投稿: 山辺響 | 2024年12月23日 17:28
山辺響 さん:
おぉ、関東でもちゃんとした居酒屋だと菊の花が食えるんですか。最近は居酒屋で酒を飲むなんてことがほとんどありませんので、全然知りませんでした。
なるほど、お酒には合うでしょうね。
投稿: tak | 2024年12月23日 17:37