幼児が何度も何度も同じ昔話を聞きたがるのは
ナゾロジーというサイトの "なぜ子供は「同じお話」を何度も見たがるのかを認知科学が解明" という記事がおもしろい。私も昔、3人の娘たちにせがまれて、同じ絵本を何度も何度も読み聞かせしてやったことがあるもので。
子供たちおなじ絵本を何度も読んでもらいたがったり、同じ昔話を何度も聞きたがるのは、どうやらわけあってのことらしい。記事には「近年の研究では、この子供たちの不思議な習性が認知科学的に非常に理にかなっている行動であり「健全」な欲求であることが示されています」とある。
繰り返し同じ話に触れることは、まず「幼児の脳内にパターン形成を促す」という効果があるらしい。大人にとっては「ありふれたこと」でも、幼児にとってはまったく新しいことなので、例えば『桃太郎』のお話でも一度聞いただけでは全部を把握し、理解することは難しい。
そこで何度も何度も聞き直し、その度に新しい発見があり理解が深まる。「理解の深みが増す」という経験は人間にとっての大きな快感だが、幼い子達は同じ話を聞く度にその快感を味わえるのだ。さらに「ヒーローごっこ」などによっても、幼児は新しい発見を積み重ねることができるという。
記事にはまた、「子供が何度も同じ物語を見たがる背景には、将来に備えて脳を発達させたいと願う攻めの姿勢に加えて、安らぎを得たいという心理も同時に含まれているのです」とある。なるほど、なかなか馬鹿にできない心理的メカニズムだ。
こうした感覚は、大人になってからもまったく消えるわけではないようだ。私なんぞは古いビデオで植木等の「お呼びでない」を見る度に、曰く言いがたい懐かしさと快感に満たされる。これぞ「定番ギャグ」の力というものだが、昔懐かしい CM などにも似たような力がある。
こうしてみると我が家の娘たちの幼い頃、何度も何度も同じ絵本を読み聞かせたり、庄内の昔話を語ったりしていたのは、全く無駄ではなかったようなのだ。少なくとも、やらなかったよりはずっと豊かな心の持ち主に育ってくれているのだろう。
今現在、幼い子を育てているという読者は、プッツンしたりせずに何度も何度も読み聞かせしてあげることを厭わない方がいい。
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