選挙とインターネットの関わりというもの
NHK が「ルーマニア大統領選 5月にやり直し選挙実施へ」というニュースを伝えている。ルーマニア大統領選挙は昨年 11月に行われ、それまでほとんど無名でロシア寄りの姿勢を示していたジョルジェスク氏が当選したが、先月、憲法裁判所が選挙を無効とする判断を下したというのである。
選挙はロシアの介入が明らかで、親ロシア勢力が TikTok などの動画を使ってデマ情報を拡散した結果だというのである。これを受けて再選挙が今年 5月に実施されることになったが、これがなかったらロシアの影響力が東欧で広がってしまうところだった。
インターネットというのは大きな情報力をもつが、下手すると今回のルーマニアのようなことになる。トランプの米国大統領への返り咲きでも、インターネットによる不確かな情報の拡散が大きな力となったと言われている。
これは他人事じゃなく、昨年の兵庫県知事選挙においても似たような現象があったと、プチ鹿島氏が「文春 Online」で伝えている。"デマや誹謗中傷でついに死者が 「流言」を言いっぱなしにする立花孝志氏と「真実を知り全てがつながりました」と言っていた有権者は..." という記事だ。
この記事では冒頭で、「斎藤元彦氏を支持する50代女性」の次のような言葉を伝えている。
「以前は産経新聞を購読していたのですが、今では新聞はもちろん、テレビも一切見ない。その代わりユーチューブと X で偏りなく情報を集め、考えが凝り固まらないようにしています」
「立花さんのおかげで真実を知り全てがつながりました」
「立花さん」というのはもちろん N国党党首の立花孝志氏のことで、自分ではなく斎藤氏への投票を呼びかけるために立候補した人物である。前県議を自殺に追い込むのに一役買ったとまで取り沙汰されており(参照)、そんな人物のおかげで「真実を知り全てがつながった」なんて言うのはアブナ過ぎる。
しかしながらあの選挙の投票日直前には、この女性の言葉に代表されるような意識が県民の間でかなり広がってしまっていたようで、斎藤知事はインターネットをかなり上手く使ったわけだ。私は 11月 18日付「今回の兵庫県知事選挙の、世論誘導に関する大きな教訓」で次のように書いている。
斎藤氏の「パワハラ」や「おねだり」は告発者が自殺してしまうほどヒドかったようだが、一方で従来の兵庫県政の方も「問題大あり」だったと伝えられる。斎藤氏は選挙で専ら自分は因習的な県政を一新させたのだという実績のみを訴え、それに SNS が呼応して成功を収めたということのようだ。
斎藤知事は一時の「ケチョンケチョン状態」から短期間で一転して選挙で当選してしまったわけだが、その後になって PR 会社の女社長が「お手柄吹聴」のブログを書いたせいで「選挙違反」が問題にされたりしている。まったく浮き沈みの激しい人だ。
辞職以前の「パワハラ/おねだり」問題は一時は「捏造」なんて言われるまでになっていた(参照)が、ちょっと落ちついてみると改めてちゃんと認定されている(参照)。まったくもって「ムードに流される」というのは恐ろしい。
「インターネット情報は玉石混交」ということをしっかりと意識し、吟味して受け取らなければならないということだ。
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