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2025年4月19日

「くわばらくわばら」を巡る冒険

昨日は地震関連の話題で「くわばらくわばら」と書いてしまい、自分でもちょっと気になったので調べてみると、「くわばら」というのは現代では広く「災難除け」の言葉と考えられているが、元々は「雷除け」の呪文であり、地震とは関係なかったらしい(参照)。

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"落雷などの災難や禍事などへのまじない「くわばらくわばら(桑原桑原)」の由来と名言" というページには次のようにある。(ちょっと文章表現がまどろっこしくて、疑問を感じる部分もあるが)

その昔、雷という自然現象は「雷獣」という生物(妖怪)が原因とされた。火の玉のようなものが落ちて来て、地面に達すると、雷獣が天に駆け上がって猛々しく空を駆けまわるのが落雷なのだという。

「雷獣」というのは、上の画像に描かれているものだろう。昔はこんなのがいると思われていたのだね。ところでどうして「くわばら」が雷除けになるのかというと、大阪府和泉市桑原町の高野山真言宗「無量山 西福寺」にある「雷井戸(桑原の井)」がその由来という説がある。次のように書かれている。

むかし、この井戸に落雷があり、井戸より雷が上らんとするところを人々が寄り集まって井の上へ蓋で覆って、雷を責める事久しかった。雷は大いに苦しんで「これからは、この地へ落ちることをしない」と誓ったので、人々はこれを赦した。それ以来、この地には落雷が無いという。

似たような話が兵庫県三田市桑原の古刹「曹洞宗太宋山 欣勝寺」にもあり、どちらも「くわばら」と唱えると雷の方で避けてくれるという俗信の元になっている。

さらに「雷神」と言えば何はともあれ菅原道真が思い起こされるが、Wikipedia には次のような記述がある(参照)。

道真は生前、「桑原」の地を領有していた。人々は雷の害を避けるため「雷神となった道真公でも、自身の領地には雷を落とさないだろう」と考え、雷鳴を音を聞くと「くわばら、くわばら」と唱えることで「この地は道真さまの領地です。雷を落とさないでください」との祈りを込めた。

なるほど、いろいろな話が寄せ集められて「くわばら」と唱えれば雷が落ちないという強力な俗信になったもののようなのである。

ちなみに Wikipedia にはこんな画像もある。こっちの方の見かけはもろに「雷神」だが、稲妻の形が現代と比べるとかなりシュールだ。

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菅原道真公は今では怨霊の性格が薄れ、「天神様」として学問の神様の印象が圧倒的となったため、各地の天満宮は受験シーズンにはかなり賑わう。そして上述の西福寺と欣勝寺も「(雷が)落ちない」というところから、受験生の参拝が多いのだという。なかなかおもしろい一致だ。

だったら、地震除けの御利益ぐらいはあっさり認めてもらってもいいかもしれない。

 

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比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

とある教え子(ギャル受験生)との夏休みでの会話。

「せんせー今度ね、鎌倉行くの!」
 「きみ受験生でしょう?」
「違うの、合格祈願なの!親もOKって言ったし!!」
 「という名の遊びじゃん(笑)まあ全然遊ぶなとも言わないけどさ。じゃあいちおう地元の神社にもお参りに行っときなよ」
「え?どこ?」
 「ほらあそこの商店の奥のさ」
「えー、ダサい、あんなとこ行って意味あんのー?」
 (このバチ当たりめ・・・)
 「生まれ育った地元の神様でしょ、えっとなんて名前の神社だ?」
 (GoogleMapで検索中・・・発見、『〇〇天神』)
 「天神様じゃねえか!!」
「なにそれ?」
 「学問の神様!むしろ一番効果あるやつよ!!」

ちゃんちゃん

投稿: らむね | 2025年4月19日 16:38

らむね さん:

鎌倉の神社仏閣の方が、ブランド力が数倍上なんでしょうかね (^o^)

投稿: tak | 2025年4月19日 17:07

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