「肌寒い」の読みは、”はださむい” か ”はだざむい” か
昨夜から山梨県昭和町のホテルに宿泊し、今日は帰ればいいだけの予定だったので、あちこち寄り道しながらゆったりと帰ってきた。クルマの旅は、長距離だと運転が疲れるとはいえ、融通の利かせやすいのがありがたい。
途中、カーラジオで YBS(山梨放送)を聴いていたのだが、「はみだし しゃべくりラジオ キックス」という番組で「肌寒い」という言葉についてのウンチクが語られていた。この言葉は、最近のように半袖などで肌を露出するような季節でないとそぐわないというような話だった。
ただ、この番組の本日のパーソナリティ、山田 ルイ53世 という芸人が、「肌寒い」を一貫して「はださむい」と発音していたのが気になってしまった。私としては "今の世の中では「はだざむい」と濁る方が一般的なんじゃないかなあ" と思ったのである。
ただ名詞的に「肌寒」という場合は「はださむ」と濁らずに発音するので、本来の読みは「はださむい」なのかもしれず、どっちが正しいのかわからない。この時は国道を運転しながら聴いていたので iPhone でネットを検索するわけにもいかず、かなりモヤモヤしてしまったのだった。
帰宅してから調べてみると、NHK のサイトに「語形のゆれ・表記・意味の解釈が分かれる語の扱いについて」という文書が見つかった。「第1461回放送用語委員会(東京)2022 年10月7日」によるもののようだ。
この文書の P77 にあるのが「肌寒い」に関するもので、上の画像がそれだ。昔は「ハダサムイ」という濁らない読みの方が一般的だったが、昨今では濁る方が 67%と多数を占めるようになったため、NHK としても「ハダザムイ」を第一推奨形とするようになったらしい。
ただ、年代が上がるほど「ハダサムイ」派が多いようなのだね。1999年の調査によれば、60歳以上では「ハダサムイ」派が 53% と過半数になっている。今の 40〜50代より若い層になると圧倒的に「ハダザムイ」派が増えるようなので、1960年代から 80年代にかけてが大きな分岐点だったようだ。
ちなみに「肌寒」というと俳句の世界では秋の季語なので、半袖の季節であればいいってわけでもないようなのだ。言葉というのはこだわり始めるとなかなか難しい。
さらに「奥深い」は「オクフカイ」なのか「オクブカイ」なのかなんてのもあり、これも今では「オクブカイ」が第一推奨形なんだそうだ。
この他にもいろいろな言葉が論じられていておもしろいので、ざっと読んでみることをオススメしておく。
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コメント
山田ルイ53世という人は、調べてみたらまだ50才なのに「はださむい」派なんですね。出身地とかにも影響されるのでしょうか。私は「はだざむい」だなぁ。
投稿: 山辺響 | 2025年5月24日 16:57
山辺響 さん:
出身地も多少影響するんでしょうかね。
私はそれよりも、番組には彼以外の人間も 2〜3人出ているのに、誰からも「"はだざむい" じゃないの?」というコメントが出なかったことに驚きました。
投稿: tak | 2025年5月24日 17:18