入院 8日目 - 病室は老人が主役の「境界ポジション」
入院 8日目。敬老の日は一昨日なので話題的には 2日遅れとなるが、今日は「老人」を巡る話である。私の入っている 4人部屋の病室は今、満室状態なのだが、私を除く 3人は完全にしわくちゃのじいさんである。そしてこの病室ばかりでなく、病院というところはじいさんばあさんばかりだ。
tenk.jp のサイトに "昔話の主役は実は老人" という記事があるが、昔話ではなくてもここは完全に老人が主役の世界である。看護師さんなどの病院スタッフの若さで、何とか救われているという雰囲気だ。
ところで昔話に出てくる「おじいさん、おばあさん」の年齢というのは、なんと 40歳ぐらいと言われている。上述の記事には次のようにある。
一寸法師のおじいさんとおばあさんははっきり「四十歳」と書かれていますし、かぐや姫のおじいさんは竹取物語の原文から、アラフィフくらいと推定されています。
昔は平均寿命がかなり短かった(下図参照)から、40歳になればすっかり老人だったのだね。私が幼かった昭和 30年代でも、人は還暦(60歳)過ぎたらすっかり老けて見えたものだ。
サザエさんのお父さん(波平さん)だってこれで 54歳(参照)というのだから、既にほとんどおとぎ話である。
翻ってここの入院患者たちの多くは 80歳以上に見えるので、さながら「チョー老人の世界」と言っていいだろう。
さらに上述の記事には「生産労働や子作りの第一線から退いた老人世代が、共同体の中で隅に追いやられ、放置されがちになるということは、現代と同様昔からありがちだったのは事実のようです」とある。
そのため多くの昔話は「人間界の外の世界に接する境界ポジションの住人」となったおじいさん、おばあさんがまず登場し、そこから不思議な物語が始まるというパターンなのだそうだ。とすると、病室はまさに「境界ポジション」(異世界との境界というより、あの世との境界?)そのものである。
というわけで病院の病室というのは、いつ不思議な物語が始まってもおかしくない世界なのかもしれない。さらに高齢化がこのまま進んだら、そのうち日本という国そのものが「境界ポジション」になってしまいかねない。
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