「カ行」と「ハ行」の発音は、なかなか奥深い
もう 20年近く前の話だが「現代の奥に潜む古代」という記事を書いた。私の祖母が「火事」を「くゎず」(庄内弁のこととて「じ」が「ず」に訛る)と発音していたことに触れたもので、彼女はさらに「箸」のことも「ふぁす」(「火事」の場合と同様に「し」が「す」に訛る)と発音していた。
「じ、す」が「す、ず」になるのは東北によくみられる「訛り」として片付けられるが、「か」が「くゎ」になり「は」が「ふぁ」になるというのは「訛り」では片付けられない。古代の発音をそのまま残していたものと考えられるからだ。
このことについて「夢ナビ」というサイトの「古代の日本語は、どのように発音されていたのだろう?」というページで次のように解説されている。
平安時代中期までの古代語と現代語を比べ、最も違いが見られるのが発音です。特に「は行」の発音の変化は顕著で、奈良時代までは半濁音の「パ、ピ、プ、ペ、ポ」に近かったものが、平安時代に「ファ、フィ、フ、フェ、フォ」のようになり、次第に現代のような「ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ」の発音となりました。
カ行についても同様で、大正時代になっても「化学」や「貨幣」の振り仮名は「くゎがく」「くゎへい」だったらしい(参照)。これも古代の発音が引き継がれていわけだ。これが改められたのはラジオが普及し始めていた頃というのもおもしろい。
というわけで、私の祖母は平安時代の発音を昭和の御代まで残していた人ということになる。京の都で「ふぁ」とか「くゎ」とか言っていたのだから、「訛り」というわけにはいかないだろうね。ラジオで新しい発音が耳に入ってきても、体が付いていかなかったのだろう。
現代のローマ字でもハ行が "ha,hi,fu,he,ho" と、「ふ」だけ特別扱いで "fu" となるのは、自然のことなのだろう。訓令式で "hu" なんて表記されると、一瞬発音がぼやけてしまう気がする。ヘボン博士、さすがである。
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