報道の公正性・中立性という「建て前」
高市早苗総裁の取材待機中に報道陣の中に「支持率下げてやる」などという発言があってそれが放送で流れてしまった件について、時事通信社が「ごめんなさい、ウチのカメラマンでした」と謝罪している(参照)。本人には厳重注意したらしいが、減給とかされちゃうんだろうか。
この話が出てからというもの、ネット上は非難の発言があふれかえって大変な過熱ぶりを見せていたが、私は正直言ってこうした状況にちょっとした違和感を覚えていた。「悪い冗談として冷笑していればいいのに」ぐらいに思っていたのである。
もちろんジョークとはいえ、結構「アブナい発言」でもある。もしかしたら騒ぎになるまでは、それほどヤバいとは思っていなかったのかもしれない。
ちなみに報道機関の「公正性、中立性」という問題に関しては、私としては「各媒体によってある程度の政治的立場の違いがあってもいいじゃないか」と思っている。「公正、中立」にそれほどまでにこだわるというのが、よくわからない。
「我が社の政治的立場はこんな具合です」と初めから明確にしておけば、新聞や雑誌の読者や放送の視聴者は、それを理解した上で自分の信条に近い媒体を選ぶ。そしてそれ以外の媒体には批判的に接する。自由主義圏のマスコミとの接し方ではそれほど珍しいことではなく、それでいいじゃないか。
ただ、日本の状況に当てはめると、一応「公正・中立」を謳っておかないと、政府の対応が違ってきてしまい、反政府的な立場の媒体の記者の取材には非協力的なんてことがごくフツーになるだろう。ここで政治家の「度量」というのが問題になるのだ。
そんなわけで差別的な対応なんか取られないように、マスコミ各社は「我が社の報道姿勢は公正・中立ですよ」という「建て前」を謳っておかなければならないのである。なかなか面倒な話だ。
こうした事情から、日本のマスコミ報道の多くは同じような「横並び」に堕し、結局はつまらなくなってしまうのだろう。
【10月 10日 追記】
「ジョークとして笑って済ませればいいのに」は誤解を避けるために、「悪い冗談として冷笑していればいいのに」ぐらいに言い換えた。
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コメント
報道機関、さらにはジャーナリストが自分の立ち位置を(あくまでも相対的な、ですが)明確にしてもいいじゃないか、という点には完全に同意します。というか、明確にすべき、だとさえ考えます。そもそも報道の公正・中立なんて、かなりの程度フィクションだろうと思いますし。
ただ、受け手のレベルも含めて、この社会はそこまで成熟していないよな、という気がします。いつ成熟するの、と言われると、それはそれで困るのですが。
(「支持率下げてやる」という発言じたいがお粗末、というのは、また別問題…。権力に対する健全な批判性とは無縁の発言だし)
投稿: 山辺響 | 2025年10月 9日 17:55
山辺響 さん:
>支持率下げてやる」という発言じたいがお粗末、というのは、また別問題…。
確かに、冗談としてもかなり悪趣味ですよね。本気で攻撃するのも気恥ずかしいというか ^^;)
というわけで、本文の「ジョークとして笑って済ませればいいのに」は誤解を避けるために「「悪い冗談として冷笑していればいいのに」と書き直させていただきました。
投稿: tak | 2025年10月10日 06:57
まあ、「知ってた」で終わる話ですよね。こうやって公に明言された以上、今後の報道については、何を言おうと「工作おつかれさまです」で済ましていいということでもありますけど。
投稿: 柘榴 | 2025年10月13日 07:42
柘榴 さん:
「知ってた」けど、建て前として「知らんかった」ということにしてカマトトぶるのも馬鹿馬鹿しい気がしますけどね。
おっと、そういえば「カマトト」って言葉、すっかり死語ですね ^^;) 近頃は「ぶりっ子」の方が優勢なのかな?(いや、それも既に古いか?)
投稿: tak | 2025年10月13日 08:18