「三隣亡(さんりんぼう)」を巡る冒険
昨日付の「このブログ、連続 8,000日の毎日更新を達成」へのコメントで、らむねさんが「三隣亡」に関する YouTube ページを紹介してくれた。曆に出てくる日で「さんりんぼう」と読む(参照)。
そういえば田舎でよく見られる十二支だの暦日だのが表記された曆で、「さんりんぼう」という文字を見ることがある。私の実家で鴨居にかけていた昔ながらの日めくりにも書かれていたが、記憶する限りではひらがな表記だったので、「三隣亡」という漢字はこの年になるまで知らなかった。
この言葉のウンチクに関しては、上に掲げた YouTube 動画を再生すれば大体のところは理解することができる。なんでも「三隣亡」の日に住宅を着工すると、三軒隣まで滅ぼしてしまうという言い伝えらしいのだ。
おもしろいのは、この迷信がほとんど我が郷里の山形県(とくに庄内地方)のみで盛んということだ。何しろ「三隣亡の日」だけでなく、「三隣亡の年」まであるというのである。さすがにそこまでは知らなかったが、そういえばこの言葉、確かに郷里ではよく聞いたが関東ではほとんど聞いたことがない。
さらに言えば「三隣亡」という言葉の意味は詳しくは知らなかったものの、「さんりんぼう」という名のモノに関してはは時々目にすることがあった。住宅の建築現場に建てられた柱なのである。最近はシンプル化され、こんなようになっているらしい(昔はもっと色とりどりに派手だった気がする)。
「三隣亡の仮柱」と言って、実際の着工の前に柱だけを立て、建て前としては「三隣亡」の日や年を避けたということにするのだ。いやはや、これって二重の意味で「建て前」的である。
そんなのは私が田舎で暮らしていた 70年代以前の習俗かと思っていたが、実はなんとまあ、今世紀になっても健在であるらしいのだ。家を建てるにあたっての迷信というのは、かなり根強いものがあるのだね。
上の動画は第二弾、第三弾まであり、民俗学的見地からかなりわかりやすい紹介をしてくれているので、ちょっと長いが是非ご覧いただきたい。紹介してくれたらむねさんには感謝である。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 「アニメのように学校をサボる」ことの国際比較(2025.12.03)
- アンガーマネジメントに見る日米文化比較(2025.11.30)
- 小さな祠まで入れると、神社の数はコンビニの 5倍(2025.11.09)
- 「三隣亡(さんりんぼう)」を巡る冒険(2025.10.20)
- 銭湯の混浴がフツーだった江戸の庶民感覚の不思議(2025.06.08)
「庄内の話題」カテゴリの記事
- 「雪下ろしの雷」と「大根おろしの雷」(2025.12.02)
- 「三隣亡(さんりんぼう)」を巡る冒険(2025.10.20)
- 我が故郷のクマ騒動(2025.02.06)
- 酒田のラーメン、やっぱり最高!(2025.01.27)
- 山形県酒田市のお恥ずかしい「うっかりニュース」(2024.12.12)








コメント
なんと、さっそく取り上げていただきありがとうございます。
私の父母はtakさんと同世代ですが愛知・神奈川出身で、訊いてみましたが三隣亡などは知らないということでした。やはり山形庄内では流布しているということでしょう。
YouTubeの話し手は配慮が深い方で、あくまで「信仰の自由はある」とおっしゃっていましたが、その信仰が他者の不利益にもなる場合は、センシティブな難しい問題ですね。
投稿: らむね | 2025年10月20日 21:19
らむね さん:
家を着工する方は三隣亡なんて全然気にしなくても、向こう三軒両隣の方が被害者意識を持ってしまうというのは面倒な話ですよね。
そしてさらに、その勝手に被害者意識をもってしまった住人が嫌がらせをするなんてことになると、どっちが被害者かわからなくなってしまいます。
まったくもって面倒なことで、「三隣亡の仮柱」で解決するしかないみたいですね。
投稿: tak | 2025年10月21日 07:21