「歩行者は右側」の規則は江戸時代の慣習と矛盾するけど
草の実堂に「なぜ日本は右ハンドルなのか?世界の 7割が左ハンドルになった理由と歴史」という記事があり、添えられた写真は、米国カリフォルニア州バークレー付近の「イーストショア・フリーウェイ」の様子だ。見事なまでの片側 5車線で、もちろん車は右側を走っている。
日本の道路の「人は右、車は左」という決まりについて、世の中ではそれは江戸時代の慣習に遡るという説がもっともらしく語られている。紹介記事にも次のようにある。
武士は左腰に刀を差しているため、右側を通行すると、すれ違いざまに互いの鞘が当たってしまう(鞘当て)。
これは武士にとって最大の侮辱であり、刃傷沙汰の火種となった。
そのため、刀が当たらないよう「左側を通る」というルールが自然に定着したという説がよく知られている。
しかし、これっておかしいではないか。江戸時代の武士が「鞘当て」を避けるため、すれ違う際に「左側」によけたいうのは納得できる。ただ「歩行者は右側通行」という現代の交通ルールを説明するのに、どうしてこんな正反対の話を持ち出さなければならないのだ。
ここは紹介記事にもあるように、明治時代に英国の制度に倣ったということの方が明確だし、そう受け取る方が自然だろう。
ただちょっと遡ってみると、戦前までは「人もクルマも左側通行」だった(参照)。それだけに当時は「武士の帯刀」を理由として交通ルールを説明することに、ある種の「もっともらしさ」が感じられてもいたのだろう。
それが今、そのまま注釈なしで「正反対の交通ルール」を語る根拠にされてしまっている。これはもう「国民的思考混乱現象」と言っていいんじゃあるまいか。
そう言えば、混雑する駅の構内では「左側通行」というのがかなり多いよね。やっぱりその方が自然なのかな。
こうなると、さらに輪をかけた「国民的思考混乱」である。
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