「蚊に刺された」は、庄内弁で「かぁがらかっだ」
ぎん さんという方が X(Twitter)の「これで出身バレる」という書き込みで、各都道府県の「蚊に刺された」という言い方をまとめておいでだ。大別すると「刺された」「食われた」「かまれた」の 3通りの言い方があるようだ。
これによれば、私の生まれた山形県は「刺された」という文化圏に分類されるのだが、憚りながら、同じ山形県でも私の生まれた庄内地方は違う。南隣の新潟県同様、「食われた」圏に属してしまうのだ。
先月末日付の " 出身地鑑定 方言チャート」に再挑戦" でも触れたように、庄内は山形県の内陸部とは別の方言圏に属し、どちらかと言えば新潟県に近いようなのである。
さらに細かいことを言えば、正確には「食われた」とも言わず、文字通りに表記すると「かっだ」となる。もちろん「食われた」の訛りで、「くわれた」〜「くわれだ」〜「くわっだ」〜「くゎっだ」〜「かっだ」という変化で、かなり短くなってしまうのである。
逆に「蚊」は「かぁ」とややのびる。一音の単語は語尾がちょっとのびて、「目」は「めぇ」に、「歯」は「はぁ」になるというのは、関西弁から受け継いだ特徴だろう。さらに言うと私の祖母は、奈良時代の日本語の発音を残して「歯」を「ふぁ」(F音)と言っていた(参照)。
そんなわけで「目が見えない」は「めぇめね」に、「歯が痛い」は「はぁいで」になる。こうなると、もはや別の国の言葉じみてしまう。ちなみに「歯が痛い」は、私の祖母流だと「ふぁ〜病める」で、かなり時代がかる。
ここで「蚊に食われた」に戻るが、助詞の「に」は庄内では「から」となり、これはもちろん「がら」と訛る。だから「蚊に刺された = 蚊から食われた」は、庄内では「かぁがらかっだ」と大変化を遂げてしまう。ここまで来ると、何かの囃子詞みたいだよね。
だからぎんさん流の分類だと、「かぁがらかっだ」という私の出身地はバレにくいだろうね。お生憎様。
【6月 13日 追記】
柘榴 さんのコメントを受けて「そう言えば東京でも『食われた』というケースが多いよなあ」と思い返して改めて調べ直したところ、ゼンリンの「蚊に食われた」というページを発見。やはり関東圏でも「食われた」がやや優勢のようだ。それでも「かぁがらかっだ」のユニーク性が失われることはないと思うが。
| 固定リンク
「言葉」カテゴリの記事
- 「一国者」という言葉を巡る冒険(2026.06.23)
- スペイン語とポルトガル語って、かなり近いらしい(2026.06.16)
- 「蚊に刺された」は、庄内弁で「かぁがらかっだ」(2026.06.08)
- ”Anti” の発音は「アンティ」か「アンタイ」か(2026.06.01)
- 「出身地鑑定 方言チャート」に再挑戦(2026.05.31)








コメント
「噛まれた」なんていう地域があるんですね。初めて知りました。
それにしても、東京が「刺された」派なのはちょっと意外です。というのも、落語の「蚊いくさ」だと普通に食われたと言ってた気がするので。江戸には「蚊に食われ屋」なんて商売があったという話もありますし。
投稿: 柘榴 | 2026年6月13日 04:43
柘榴 さん:
そういえば、東京で「蚊にくわれた」はフツーに聞きますね。東京でなくても、東日本では当たり前に言うような気がします。
「蚊に食われ屋」というのは初めて知りました。どんな商売なのか、実際に聞いてみたいものです(笑)
投稿: tak | 2026年6月13日 05:22