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2014年11月14日

日本人はギャンブル中毒か?

ちょっと旧聞になって恐縮だが、今年の 8月に厚生労働省研究班の発表によると、パチンコや競馬などをやめられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人は、国内に 536万人いると推計されるという。成人全体では国民の 4.8%にあたり、男性は 438万人(8.7%)、女性は 98万人(1.8%)という話である。

で、この数字は諸外国に比べて断トツに高いんだそうだ。同様の調査で、ギャンブル依存症の疑いのある人の人口比率は、米国(02年)で 1.58%、香港(01年)で 1.8%、韓国(06年)で 0.8%だという。とすると、日本のギャンブル依存症かもしれない人の比率は、米国の約 3倍、韓国の約 6倍にも達するわけだ

とくに男性の 8.7%という比率はすごい。男が 50人いたら、そのうち 4人か 5人がギャンブル依存症っぽいということになる。勤勉で几帳面、真面目で額に汗してコツコツ働くという、従来の日本人のイメージは一体どこに行ったのだ。

なんでまた、こんなに高い数字になるのか、その原因の一端は、ちょっと考えればすぐにわかる。日本ではそこら中でギャンブルができるという事実が大きい。全国にパチンコ、パチスロ店は、約 13.000店あるという。これだけあれば、ギャンブルはし放題だ。。

フツーの街並みの中に、こんなにも白昼堂々と ギャンブルのできる施設があるという国を、私は日本以外に知らない。ギャンブル依存症の疑いのある人が多いのは、当然にも、ギャンブルのできる施設が身近にあるからである。なければできないのだから、こんな数字にならない。

だいぶ昔に参加した米国市場の視察ツアーで、ニューヨーク、シカゴを視察した帰りに、なぜかラスベガスに 2泊させられたことがあった。私はギャンブルにはほとんど興味がないので、真面目にラスベガスのウォルマートなんかを視察していたが、同行した連中の多くは、ホテルのカジノでスロットマシンに興じていた。

遠くから眺めただけの印象だが、ラスベガスのカジノでは、スロットマシンなんていうのは、あまり人気がないようで、マシンがずらりと並んだスペースはガランとしている。そしてそんな中で黙々とハンドルを握っているのは、日本人がやたらに多い。

どうやら英語ができないので、ディーラーが相手をするルーレットやポーカーに挑戦するのはビビってしまうらしいのだが、どうもそうした理由ばかりではないという印象だ。彼らは「他のギャンブルにはビビるから、仕方なくスロットマシンをしてる」というのではなく、どうみてもすっかり「没入」しているのである。

その顔は、「日本でパチンコしてる時もこんな顔してるんだろうなあ」と思わせるに十分だ。私はそれまで、ギャンブルできる施設がありさえすれば、日本人に限らず一定の比率の人間はギャンブルに走るものと思っていた。ところがこの時のラスベガス滞在で、この考えは明らかに変わった。

日本人は、機械を相手に孤独なギャンブルに没入するのが好きみたいなのである。日本にはパチンコ屋が多いから、パチンコ依存症も増えると思っていたが、どうもそうじゃない。日本人はパチンコが大好きだから。自然にパチンコ屋も増えるのである。需要と供給の関係だ。

多分、米国人は日がな一日、パチンコ台の前に座って玉を弾いていることなんてできないと思う。ニューヨークの街にパチンコ店なんか開いても、多分あまりはやらないだろう。

その意味で、日本人はパチンコというギャンブルに向いていて、その需要に応じてパチンコ店も多いが故に、ギャンブル依存症かもしれない人の比率もパチンコという特殊なギャンブルによって押し上げられているのだと思うのである。

日本にカジノを作ったら、ただでさえギャンブル好きな日本人なんだから、大変なことになってしまうと危惧する人もいるが、私はそこまで心配する必要はないんじゃないかという気がする。もし日本に数カ所の公認カジノが出現したとしても、日本人の 5%近くが足繁くそのカジノに通うとは思われない。

彼らの多くは、わざわざ遠くのカジノまで行ってスロットマシンをするより、身近なパチンコ屋でパチンコをすることになるのだろう。

 

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2003年8月 7日

高校野球とギャンブル

夏の高校野球が始まった。以前、ある会社に勤務していた頃は、この時期になると決まって廻ってくる回覧があった。

この大会をギャンブルの対象とした投票用紙である。左端に出場校名があり、その横にオッズが記されている。

オッズ (倍率) は強豪校ほど低く、本命は 3倍か 4倍程度。その横に、各自が何口投票するかを記入する欄がある。新入社員のうちは仕方なく 3口が 4口付き合っていたが、そのうち馬鹿馬鹿しくなり止めた。ほどなく、回覧は私のデスクを素通りするようになった。

これは社内でやっていたケースだが、中には、社外にまで投票を募るところもある。この時期に下請生産を専らにする中小企業を訪問すると、あちこちから投票用紙が FAX されてきていた。元請会社の総務部あたりが胴元になっているのである。

下請けの身としては、A社に付き合って B社を無視するわけにはいかない。うっとうしいとは思いながら、結局はすべての元請会社にお付き合いすることになる。それも、あんまり当たらないように。これを 1年に春と夏の 2度強要されるのだから、かなりうっとうしい。

これって、はっきり言って 「下請けイジメ」 である。

一時、高校野球賭博で企業の摘発が相次いだが、多分、付き合いを強要された下請けがブチ切れて、警察にタレ込んだのだと思う。

最近はそうした摘発がめっきり少なくなったが、業界もくだらないギャンブルにうつつを抜かしている余裕がなくなってきたのかもしれない。デフレにも少しはいいことがある。

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