カテゴリー「グルメ・クッキング」の227件の記事

2025年2月27日

「粕汁」とか「かすうどん」とかいうもの

Daily Portal に窪田鳳花さんという方が "神戸で「かすうどん」頼んだら思てたんとちゃうのが出てきた話" という記事を書いておいでだ。久し振りの神戸への帰郷でおばあちゃんと食道に入ったところ、おばあちゃんが即座に「かすうどん」を注文したので、付き合って自分も同じものを頼んだというのである。

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ちなみに関西で「かすうどん」と言ったら「油かす(牛ホルモン)が浮いている出汁のきいたうどんのこと」といい、下の写真のような感じの、ちょっと「ギトギト感」の強いものらしい。彼は「おばあちゃん、かすうどん食うんだ!胃腸が若いな、よしおれも!」と思ったというのである。

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ところが、出てきたものはこんな感じだった。「粕汁のうどん」である。彼は「かすうどんの本場大阪の隣県で、同じ名前のぜんぜん違うものが出てくるとは思わなかった」というのだが、おばあちゃんにとっては「思っていたとおりのものだったらしく、当たり前のように食べ始めた」という。

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名前は同じ「かすうどん」でも、モノはぜんぜん違ってたというわけだ。

ちなみに私が「かすうどん」という名前から想像したのも、「粕汁にはいったうどん」の方である。というのは、私が生まれ育った山形県の庄内では、冬の寒い時期には「粕汁」というのがよく食卓に上っていてお馴染みだからである。こんな感じのもの(参照)で、体がとても暖まる。

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ただ、これでうどんを食うというのは、庄内ではないなあ。関西特有なのかもしれない。

もう春の陽気だが、今度の冬に田舎に行く機会があったら、粕汁で暖まるのもいいなあ。それから、自宅で粕汁のうどんを作って試してみるのもいいかも知れない。

【付記】

この記事、実は 2月 25日付として一度アップロードしていたのだが、26日に実施されたココログの大規模メンテナンスが終わってみたら消えてしまっていた。まったく困ったものである。

それで、こうしてもう一度書くことになってしまった。「ありゃ、一度読んだ憶えがあるぞ」と思った方もおいでと思うが、そういうわけなのでよろしく。

 

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2025年2月 5日

最近とみに「美食」への興味がなくなった

先日 TBS ラジオ平日夕刻の「荻上チキ セッション」のパーソナリティ、荻上チキさんが「食べることに興味がない」と言うのを聞き、「おお、私と同じじゃん!」と思ってしまった。彼は こちらの記事 でも「おいしいものには興味がない。食事は動画観賞のお供」と言い切っている。

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私もだいぶ昔からそんなところがあるが、とくに最近は「美食」ということへの興味を失ってしまった。ただ腹が減らないというわけじゃないので、食べるのは空腹感を消すためである。

日常的にはほとんど決まり切った玄米と全粒粉パン中心の質素なメニューで過ごし、ちゃんと満足しているが、正直言ってしまうと「人間、メシを食わずに済んだら、どんなに幸せだろう」と心の底のどこかで思っているところがある。

「好きな食べ物は?」と聞かれたら取りあえず「そば」と答えるが、その理由のかなりの部分は「あっという間に手繰れて、面倒がないから」ということで占められると思う。できることなら、面倒な食い物は避けたいのだ。

昨年の初め頃、身内に夫婦で招待され、かなり評判のいいフランス料理店で食事をしたことがあった。確かにおいしかったが、正直なところシェフのもったいぶった説明付きで順を追ってチマチマ供される料理を、おもむろに食い続けることにうんざりした。

本当に、食事なんてさっさと済ませたいのである。私はクルマを運転することが多いのでワインを飲むわけにもいかないし、そうなるとますます場がもたないのだよ。

あの日は食事を終えて帰る時、妻に「あなた、よく我慢できたわね」と褒められた。「不満が顔に出たりしないか、内心気が気じゃなかったわよ」

うぅむ、さすがに妻はよくわかってくれてる。

あんな場面ではじっと我慢の子で、楽しいフリして食うほかなかったわけだが、「この店は誘われても二度と来ない」とマークすることは忘れなかった。どんなに美味しい料理でも、「面倒くささ」という苦痛に耐えてまで食いたいとは決して思わない。

ただ、我が家では普段から玄米食や手作りの全粒粉パンなどを食す。玄米を炊いたり、全粒粉をこねてパン生地を作ったり(参照)するのは 40年来の私の担当だが、それらは「当たり前のものを当たり前に食うためのプロセス」と位置付けているから、面倒でも苦痛でもない。

耐えられないのは、外で「コース料理」なんてもったいぶったものを食わされることなのだよね。あれだけは、いくらおいしくても付き合いきれない。「不味い」というだけならあっという間の我慢で済むが、コース料理はじわじわと長時間に及ぶから、かなりの「美味しさ」でも「苦痛」に圧倒されてしまう。

ちなみに上の画像は、新幹線東京駅で買える駅弁の中で一番安い「深川めし」。今、名古屋に向かいつつこのメシを食っている。他の色とりどりの総菜が入ったのや焼き肉がどっさりなんていうのは見るだけで食欲が失せるが、これはシンプルに食えていい。ちゃんとうまいし。

そう言えば、先月も "「ひとりメシ」って、私にも当たり前のことなんだが" というタイトルで、似たようなことを書いたんだった。よかったらどうぞ。

 

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2025年1月27日

酒田のラーメン、やっぱり最高!

Yahoo! が山形新聞の "やっぱり最高、本県の麺 酒田「ラーメン県そば王国」フェスタ" という記事を紹介してくれている。「酒田のラーメンが最高」というのは一昨年の "「酒田のラーメンが日本一」って、そりゃそうだよね!" という記事でも触れたように、私にとってはもとより「自明の理」である。

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このフェスタは昨年に内陸の山形市で 2回開かれたのだそうで、庄内地区での開催はこれが初めてなんだそうだ。庄内でやったらそこはそれ、俄然ラーメンが脚光を浴びる。

今回は、あの「アルケッチャーノ」が地元の子牛の肉と牛骨を使ったこの日限定のラーメンを出品したんだそうだ。うぅむ、一体どんな感じだったんだろう。ちなみに今は亡き父と妻の 3人でアルケッチャーノに行った時のレポートはこちら。自分で後から読み返してもよだれが出てきそうだ。

私は 10年ほど前から肉食しない人になっているのだが、酒田に行った時だけはその禁を解いて、チャーシュー入りのラーメンをつい食べてしまう。父の十三回忌の時はいつもの「満月」が休業だったのでその近くの「東軒」でワンタンメンを食べた(参照)。上品に旨かった。

ちなみに庄内はラーメンの国だが、山形県全体としては「そば街道」なんてものがあるくらいで、そば王国である。山形のそばに関しては、私としてはあらきそば」「原口そばや」「一松」がオススメだ。

 

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2025年1月23日

「ひとりメシ」って、私にも当たり前のことなんだが

週刊現代のサイトに "「孤独のグルメ」が韓国で人気爆発…!松重豊に憧れて…韓国の若者の間で「ひとりメシ」が大ブーム【一人外食は寂しい人という食文化が変化】" というやたら長いタイトルの記事がある。日本のドラマが韓国の食文化の変化の契機になっているのだそうだ。

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『孤独のグルメ』というのは、妻がテレビの大画面で YouTube 配信のものを見ているのを、時々付き合って見ることがある。夢中になるというほどではないが、見始めるとつい最後まで見てしまうという、不思議なドラマだ。

下戸の主人公が、酒を飲むのがデフォルトのようなメシ屋で、一人で酒以外のいろいろなメニューを注文して食い、悦に入るというのが毎回のパターンのようなのである。画面に映る他の客の多くが仲間同士で来て酒を酌み交わしている中で、一人黙々と食う姿がおもしろい。

実は私も長らく、妻と一緒の外出の時以外はたいてい「ひとりメシ」の人である。仕事はフリーランスでほぼ個人プレー。しかも決まった得意先ではなく、その時々であちこちを訪問するパターンが多いというのは、『孤独のグルメ』の主人公と同様なもので。

馴染みの訪問先で一通りの要件が済み、「それじゃあ、メシでも食いながら一杯・・・」ということにはなりにくいのだ。

その上、私はかなり前から肉食を止め、酒もほとんど飲まなくなったので、外で晩飯を食うにも、焼肉だの焼き鳥だのといった店は初めから選択の範囲外となる。こうした店に行っても、私の食うものはライスぐらいしかないということになってしまうからね。

ちなみに『孤独のグルメ』の主人公は結構な「食い道楽」のようで、一品料理をいろいろ注文して食うことが多いみたいなのだが、私は残念ながらそんな趣味はなく、定番メニューをさっと注文して、さっと出てきたものをさっと食い終わるというのを常としている。

こうして見ると、同じ「ひとりメシ」でも『孤独のグルメ』の主人公とはかなりタイプが違うようなのだ。決して「淋しい人」というわけではないのだが、ドラマにはなりにくいみたいなのだね。

何しろ普段は家で天然酵母と全粒粉の自家製パン(参照 1参照 2)や、玄米食(参照 3)を食っていて「これこそ本当のメシ」と思っているので、外食は「単なるつなぎ」としか思っていないのだよ。

 

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2024年12月23日

菊の花を食うなんて当たり前のことだったのだが・・・

Dauly Portal Z に「菊の花はうまい」という記事がある。少なからぬ日本人にとっては、菊の花がごくフツーの食卓のメニューだなんて驚きのようなのだが、新潟、山形、秋田県辺りで生まれた者にとっては、とくにコメントするのも何だかなあというほどの当たり前すぎる話なのである。

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今を去ること半世紀以上前、大学進学で東京暮らしとなって初めての冬を迎えた頃、「へぇ!」と改めて気付いたことが 2つある。1つめは「東京の冬は晴れが多い」ということ、そして 2つめは「菊の花を食う文化がない」ということである。

冬空については 12月中旬のある日、友人に「あんまり晴れの日が続くんで、冬とは気付かなかったよ」と言ったところ、「冬って、晴れるもんでしょ」とあっさり返されてしまったのがかなりの驚きだった。「そうか、日本海側の庄内とは気候が違うんだ!」と、身にしみてわかった瞬間だった。

それまでの私の冬のイメージと言えば、空は分厚い雪雲に覆われて地吹雪が続く灰色の世界だった。ところが関東の冬は同じ日本の国ながらまったく別物で、「そうか、これだから『初日の出』を拝むなんて夢みたいなことができるわけだ!」と初めて気付いたのだった。

そしてもう一つは「菊を食わない」ということだ。季節を感じさせる菊の花の酢の物を、東京では学食や町の定食屋はもちろん、どこに行っても食えなかったのである。

時々、テレビのニュースなどで「山形県では季節の風物詩、菊の花が食卓に並んでいます」などと放送されると、廻りでは「へえ! 菊の花を食べるの !?」と驚くのだが、こちらにとっては当たり前すぎて、食わない方が驚きというぐらいのものだった。

とくに「菊の花が大好き」というわけでも何でもないのだが、食えないとなるとどことなく淋しいものである。人間というのは、「ないものねだり」を習性としているのかもしれない。

今年はコロナ騒動が収まってあちこちに出張する機会が増え、先日は新潟に行って、何年ぶりかで菊の花の酢和えを食べさせてもらった。「おぉ、これこれ、これですよ!」という感じだったなあ。

久し振りに口に入れると、「うまい」というより「懐かしい、嬉しい」という感覚の方が大きいものなのだね。

 

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2024年12月11日

和菓子、薬、滑舌訓練等々 ・・・ 「外郎」を巡る冒険

先日山口県の仕事の関係で山口県の防府市と徳山市に行った時に、長州土産として防府市にある數井製菓という会社の「山口乃外郎(やまぐちのういろう)」(参照)というのをいただいた。第20回全国菓子大博覧会で名誉金賞を受賞したというお菓子のようである。

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この和菓子、賞味期限が今月 15日に迫っているが、明日に予定される集まりに持って行ってみんなで食おうと思い、まだ包みを開けていない。というわけで、上の写真の左側 2枚は、ネットから拝借したものである。

私は今回の旅に出るまで、山口県が外郎の産地として有名とはちっとも知らなかった。外郎と行ったら名古屋が「本家本元」を自称しているほかは、小田原と京都ぐらいだと思っていたのだが、Wikipecia によればこの他にも伊勢、神戸、徳島、宮崎なども外郎を名物としているらしい(参照)。

日本全国 47都道府県に仕事で行き、一泊以上している私だが、外郎の産地という視点から見るとやはり西日本の事情には少々疎い。一昨日の記事でも書いたように、西日本では天ぷらにソースをかけて食うのが当たり前と知った時も驚いてしまったしね。

「薬の外郎」というのもある(参照)。神奈川県小田原市に 650年以上前から続く老舗、株式会社ういろうの「透頂香ういらう」(とうちんこうういろう)という仁丹みたいなものが知られている。ちなみにこの会社は和菓子の外郎も製造・販売していて、二刀流のようなのだ。すごいなあ。

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ただ団十郎論で修士号を取った私にとっての外郎というのは、実際のカタチある和菓子や薬よりもやはり歌舞伎十八番『外郎売』の口上(言葉による言い立て)ということになる。

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実際にどんなものかは、当代の尾上松緑による実演が YouTube にあるので、下に紹介しておこう。ちゃんと聞けば、この外郎売の商うものはお菓子ではなく薬の方なのだとわかる。

この言い立ては歌舞伎のみならず、新劇やアナウンサーの滑舌の訓練にも取り入れられていて、現代風には下の動画のようになる。文字も同調して示されるから、一度トライしてみるといい。

寿限無」はあっさり言える私だし、この「外郎売り」だって決して舌が回らないわけじゃないが、さすがに長すぎて圧倒され「舌を巻く」という心理状態になっているせいか、一度もトチらずに最後まで到達したことがない。死ぬまでに一度は完全なパフォーマンスを遂行してみたいものである。

 

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2024年12月 9日

山形県生まれとしては、あじフライにも醤油なんだが

食べ物全般にわたるウンチクがすごい「おいしいお」というブログに「【朗報】あじフライに何かけるか論争、ついに終結する」という記事があるので、「どれどれ」と行ってみると、昨年 2月 28日付のミツカンの記事が紹介されていた(参照)。

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慶応義塾大学が開発した味覚センサー AI 「レオ」というのを用いて、アジフライにつけて食べられる調味料(味ぽん、タルタルソース、ソース、醤油)との相性度を測定した結果、最高だったのは「味ぽん」ということになったのだそうだ。「へえ!」ってな感じである。

ただ表を見る限り「相性度」の数値は 95.3〜97.3 のわずか 2ポイントの範囲内に収まっていて、この程度なら「好き好き」でどうとでもなるだろう。数字でものを食うわけじゃあるまいし。

それに、タルタルソースは作り方次第でいろいろな味加減が出るだろうし、ソースと醤油にだっていろいろな種類がある。これって「提供は『味ぽん』でお馴染みのミツカンでした」という御用調査みたいな気がしてしまうのだがなあ。

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そもそも我が家には「味ぽん」なんてものはないのでどんなものなのかすら知らない。ググってみるとこんなもののようなので、ふむ、これならスーパーの棚でみかけたことがある。買ったことも使ったこともないけど。

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ちなみに私は醤油派である。山形県生まれとしては当然のように醤油一択で、我が家にはソースなんてものもない。何にでも醤油の人だから、味ぽんなんて「何それ?」ってな感じでしかないのである。

かなり前のこと、西日本では天ぷらにソースをかけて食すのが当たり前と知って、もの凄く驚いたことがある。このことに関してはこんな記事を書いているので、ご覧頂きたい。

ソースで天ぷらを食う文化 (2013年 3月 10日)

天ぷらに醤油をかけるかソースをかけるかは、フォッサマグナを境にきれいに東西に分けられる。ざっと言えば東日本が醤油文化で、西日本がソース文化のようなのだ。さらに続編として次の記事も書いている。

ソースで天ぷらを食う人たちは、鉄板系コナモンも好き (同 12日)
「天ぷらにソース」の謎が、また少しほどけた (2021年 5月 6日)

とにもかくにも、醤油の奥深さは機械ごときには分からないものであるらしい。

 

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2024年11月16日

回転寿司では、ほとんど「スシロー」一択の私

HUFFPOST に 【人気の「回転寿司」ランキング。「くら寿司」や「はま寿司」を抑えた圧倒的 1位は "あの全国チェーン"】という記事がある。やたら思わせぶりの見出しだが、記事本文を読めば「圧倒的 1位」というのは「スシロー」とわかる。

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以前に "何でもかんでも肉が入ってしまう時代" や "ノーミートのメニューは選択肢が極端に少ない" の記事でも書いているのだが、肉を食わないことにしている私は、土地勘のない出張先などで外食する場合に困ることがある。焼肉屋やラーメン屋ばかりで、ノーミートのメシの食える店が少ないのだ。

そんな時にありがたいのは、そば・うどん屋と回転寿司屋で、あとはカレーの「CoCo壱番屋」にノーミート・メニューが充実しているぐらいだ。出張先で晩飯を食うのは、ちょっと前までは丸亀製麺と CoCo壱が圧倒的に多かったが、最近は回転寿司チェーンに入ることも増えている。

そしてその回転寿司チェーンのうちで私がもっとも贔屓にしているのは、まさに「スシロー」なのだ。それだけに、今回の記事は「しかるべし!」と納得してしまった。

回転寿司だけに値段の心配がなくてそれなりにおいしいし、注文や支払いのしやすさというシステム面でも優れていると思う。そして一番ありがたいのは、店舗が多いので大抵の地域で見つけやすいことだ。

ちなみにこの記事で 2位になっているのは、下の図のように「くら寿司/無添くら寿司」。しかし私は 2022年 4月 20日付の記事ではっきりと書いているように、パワハラが絶えないというこの店は個人的にボイコットしているのでよろしく。

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3位と 5位の「はま寿司」と「かっぱ寿司」には何度か入ったことがあるが、スシローほどではなかった。そして 4位の「金沢まいもん寿司」というのは、名前すら知らなかった。というわけで現状では私の場合、回転寿司ではほとんど「スシロー」一択である。

子細に見れば「くら寿司」以外でも内部的問題が皆無ということはあり得ないのだろうが、それを言い出したら現実問題として晩メシにありつける店の選択の幅が極端に狭くなってしまうので仕方がない。

 

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2024年8月10日

ラーメン屋店主の「腕組み」を巡る冒険

Quora に「レストラン、特にラーメン屋の広告では、どうして皆さん腕を組んでいるのでしょうか?」という質問があるのを見つけた。言われてみれば確かにそうで、「ガテン系だぜぃ!」と言わんばかりの腕組みポーズがやたらに多い。

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これに対する回答で高橋昭裕さんという方が、このポーズの元祖と思われる 2人を挙げておいでだ。上の写真に使った「支那そばやの佐野実氏」か「池袋大勝軒の山岸一雄氏」のどちらかだろうというのである。山岸氏は微笑んでいるが、佐野氏の方はちょっとコワそうだ。

高橋さんの表現によればこの 2人、「今のラーメン専門店、中華料理店の延長ではないゴリゴリのラーメンカテゴリーを作り出した方」ということのようだ。「ゴリゴリのラーメンカテゴリー」とは言い得て妙で、私なんかは最近のラーメン店には尻込みしてしまうような「敷居の高さ」を感じてしまう。

というわけで、「濃色Tシャツ、頭にタオル、腕組み、エプロン」というのが、ゴリゴリのラーメン店としての「アイコン化」しているというのである。なるほど、道理で「俺、そっち方面の人じゃないから・・・」みたいな感じがして、何となく入りづらいわけだ。

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もっとも私はここ数年来「肉は食わない」ことにしているので、チャーシューが付きもののラーメンからは遠離っている。たまに都心に出たときにT's たんたん でノーミートのラーメンを食うぐらい(参照)だから、「ゴリゴリ系」はいくら入りづらくても個人的には全く問題なしだ。

ちなみに昨年 10月に父の 13回忌で帰郷した折に、酒田のラーメンが日本一になった(参照)ことのご祝儀代わりに、数年ぶりでチャーシュー入りラーメンを食ったところ、さすがにうまかった。さりげなくも圧倒的にレベルが違う。

酒田のラーメン屋は店主が腕組みしてこっちを睨みつけているような雰囲気じゃないので、とても穏やかな気持ちで入店できる。これはまことにありがたいことと言うほかない。

【8月 11日 追記】

ものすごくハイブローなイメージのそば屋というのも世の中に少なくないが、店主が腕組みしてる写真を訴求している例は、少なくとも私は見たことがない。これって、そば屋とラーメン屋の違いの本質に迫る話のような気がする。

 

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2024年8月 3日

「お好み焼き」がパリでも人気というのだが

テレビ朝日が「OKONOMIYAKI 旋風」というニュースを伝えている。なるほど、浅草の店でフランス人たちに「お好み焼き」が人気のようだし、パリのお好み焼き屋も流行っているようなのだ。

私にとって印象的なのは、フランス人たちが「お好み焼き」を旨そうに食べることより、彼らが「箸」を使い慣れているということだ。私が初めてヨーロッパに行った 1980年代初頭は、こんなに上手に使えるヨーロッパ人は少なかった。「お好み焼き」に限らず、日本食全般が浸透しているのだろう。

で、「お好み焼き」そのものについて言えば、彼らは私なんかよりずっと食べ慣れているという印象である。私は 2009年 10月 6日付の 「決して不味いってわけじゃないのだが……」という記事で、こんな風に書いている。

こればかりは、食文化の問題のようだ。私の生まれた山形県というのは、秋田県、岩手県、沖縄県などと並んで、全国でもお好み焼き屋の非常に少ない県なのである。作ってもらって目の前に出されれば食べるし、おいしいとも思うが、進んで食べようという発想自体がない。

私に限らず山形県生まれの人間の多くは、「お好み焼き」に馴染みがないのである。大阪生まれの人間が当たり前のようにホイホイ食べるのに、どうしても「気負って食べる」という感じになってしまうのだ。もしかしたらパリの「お好み焼き屋密度」は、山形県より高いんだろうか?

ただここで ANN のニュースに戻るのだが、アナウンサーがイントロダクションとして語っている「日本のお好み焼きが海外の美食家たちをうならせています」という一言には、山形県生まれでなくても「おいおい・・・」と言いたくなってしまうだろう。

どう見てもカジュアルで気軽な食べ物として受け入れられているとしか思われず、「美食家たちをうならせています」という表現にはかなりの違和感を覚えてしまう。

こんな感じで「OKONOMIYKI はグルメなメニュー」みたいに訴求してしまったら、マーケティング的には「トンチンカン」になってしまうんじゃなかろうか。

 

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