カテゴリー「スポーツ」の127件の記事

2023年1月23日

大相撲番付の不思議な伝統

Japaaan のサイトに "一横綱一大関は 125年ぶりの異常事態! 大関不在になっちゃったら、誰が大関に?? さらにレアな番付「横綱大関」とは" という 1月 20日付の記事がある。正直言って、この見出しを見ただけでは意味がわからなかった。

230123

今場所の番付表をみると、ただ一人の横綱照ノ富士が休場で、貴景勝が実質的な最上位。そしてその貴景勝が優勝で幕を閉じたわけだ。ところが番付をみると、東の横綱照ノ富士の地位が「横綱大関」となっている。これって、一体何なんだ?

2301232

Japaaan の記事には、下のように説明されている。日刊スポーツの昨年 12月 27日付にも、同様の説明がある(参照)。

大相撲では横綱は名誉地位みたいなもので、あくまで番付の最高位は「大関」です。大関は東西に最低一人は必ずいなければならないとされており、それが伝統となっています。

ところが今場所は大関が一人しかいないので、こんな具合になる。

まずは横綱が大関を兼任して名乗り「横綱大関」という名称で、番付に登場します。今回は照ノ富士が「横綱大関」となりました(そのため今回は、先場所東の大関だった貴景勝が、照ノ富士が東の大関扱いのために西の大関となっています)。

なるほどね。そういうことだったのか。ということは、貴景勝が横綱に昇進しちゃって新たな大関が誕生しなかった場合は、照ノ富士と貴景勝の 2人が「横綱大関」を名乗ることになるのだという。なかなか面倒くさいことだ。

相撲というのはいわゆる「プロ・スポーツ」とは性格が異なり、多分に「伝統芸能」的な性格ももっている。そんなわけで、すっきりとした理窟だけでは割り切れない決まり事があるわけなのだね。

 

| | コメント (2)

2022年12月 6日

ワールドカップ、既に心は 4年後に

うぅ〜、寝不足である。原因はもちろん、ワールドカップ決勝トーナメントの 1回戦だ。

221206

結果は今さら書くまでもなく、1-1 の引き分けで PK戦となり、そこで技術の差が出て敗退となった。考えてみれば、クロアチアって前回の 2018 ワールドカップでは準優勝してるんだから、格が違ってたんだよね。

とはいえ、今回はいい夢を見させてもらったよ。ありがとう森保ジャパン。日本で上向きのベクトルを明確に示している分野なんて、今どきはサッカーぐらいのものだからね。

前世紀後半からサッカーを見ている日本人としては、ワールドカップでドイツとスペインを破って決勝トーナメントに進出するなんて、自分の目の黒いうちはあり得ないと思っていた。それがしっかりと実現してしまうのだから、世の中捨てたものじゃない。

日本ではまだまだこれから個人技に優れた選手が出てくるだろうから、今から言ったら笑われそうだが、2026年が楽しみである。次は先制してそのまま勝つサッカーを見せてくれ。

 

| | コメント (2)

2022年12月 2日

ワールドカップと「しそうけいさつ」

半ば以上諦めていたので、ワールドカップの日本 ー スペイン戦は、朝起きてから録画でダイジェスト版を見ようと思っていたのだが、Mac を立ち上げてすぐに、何と「勝利」の文字が飛び込んできた。スゴいじゃないか、ジャパン! 

221202

勝てると思っていなかったドイツとスペインに勝ち、悪くても引き分けと思っていたコスタリカに負けるのだから、世の中わからないものである。とくに 2点目は画面で見ても「チョー微妙」な判定だったから、本当にわからないものだ。

ところで、12月 1日付の毎日新聞に ”「しそうけいさつ」漢字に変わりました 外壁のひらがな表示、惜しむ声” なんてニュースがある。「しそうけいさつ」なんて書いてあると「思想警察」という穏やかじゃない漢字が思い浮かぶが、これ、兵庫県宍粟(しそう)市にある警察署なんだそうだ。

「宍粟」という地名をちゃんと「しそう」と読める人は、全国ベースでは圧倒的に少数派に違いない。それだけに宍粟警察署としても、外壁表示は敢えて「しそうけいさつ」と平仮名にしたんだろう。

ただ当事者的には「思想警察」なんて言葉を連想させるなんてことは、考えてもいなかったようなのだ。せめて最後に「しょ」を付けて「しそうけいさつしょ」としてくれれば少しは和いでいただろうに、壁の横幅が足りないなんて思ったのかな。

そもそも宍粟市民なら読めないはずがないし、ほかから訪れる人だって、ちゃんと目的があって来るなら「ししくり」じゃないぐらいのことは理解しているだろう。ということは、何もことさら平仮名にする必要なんてない。

あるいは「子どもにも親しまれるように」なんて思ったのだとしたら、「余計なことは考えなくていい」と言うほかない。

ところがいざ漢字に変えてみると、この平仮名表示の消滅を惜しむ声が大きいというのだから、世の中おもしろいものである。それならそれで、「話のタネ」として平仮名を残しておくのも一興だったかもしれないね。

ワールドカップにしても「しそうけいさつ」にしても、何がどう転ぶかわからない。世の中というのは、だからこそおもしろいのだろう。

ただ、私としてはスペインにはあまり思い入れがないから、ドイツと一緒に決勝トーナメントに進みたかったなあ(参照)。

| | コメント (0)

2022年11月24日

日本、ドイツに勝っちゃった

昨夜は夜の 10時過ぎにやっと原稿書きの仕事を終え、風呂に入っている途中で「おっと、ワールドカップ初戦のドイツ戦、今夜だった」と思い出した。とはいえ正直なところ勝てるとは思っていなかったので、ゆっくりとシャンプーし、試合が始まってからインターネットの無料ライブ配信を見始めた。

221124

するといきなり日本のゴールが決まって「おぉ!」と興奮してしまったが、あっさりとオフサイド判定。あとはズルズルとドイツにペースを握られ、防戦一方の展開のうちにペナルティ・キックで先制されてしまった。このあたりで早くも「ああ、やっぱりね」と、諦めの境地となってしまう。

昨日の昼のラジオもサッカーが話題になっていて、ドイツ系企業に勤める聴取者からのメールに「ドイツ人上司に『初戦はどうなりますかね?』と聞いたところ、『気の毒だけど、ドイツが勝つよ』と軽くあしらわれた」というのがあった。まあ、この上司でなくても、フツーはそう思うわな。

ただ、見ているとボールは圧倒的にドイツに支配されているものの、日本はなかなかしぶとく防戦して、点差が開かない。後半になって時間が進むほど、ドイツは攻め疲れしたのか脚が重そうになった。

「こりゃ、もしかしたら、もしかしちゃうかも」と思っているうちに、見事に同点、そして逆転。「後は守るだけ」となった途端、「ロスタイムは 7分」なんて告げられる。「おいおい、そりゃ、長過ぎだろうよ! 審判団って、ドイツ贔屓なのか?」なんて思っているうちに、やっとタイムアップになった。

この時はさすがに興奮してしまい、既に寝ていた妻を起こして「おいおい、日本、ドイツに勝っちゃったよ!」と言うと、妻は寝ぼけつつも「うわ、スゴいじゃん!」なんて言う。「熟睡してるのに起こさないでよ」なんて怒られずに済んだのは、さすがにワールドカップの威力である。

上の画像の DAZN NEWS では "日本のドイツ撃破に各国メディアも驚き「今大会 2度目の番狂わせ」" なんて見出しになってるが、それも当然だろう。しかしここまで来たら、次のコスタリカ戦にも勝って、さっさと 1次リーグ突破を決めてもらいたいものだ。

 

| | コメント (2)

2022年8月26日

今シーズンのセリーグ順位表に、ちょっとびっくり

私は野球というスポーツにあまり興味がないので、とくに最近はプロ野球中継なんて見も聞きもしないし、それに関するニュースにも興味を払っていない。それで、今シーズンの巨人が 4位に低迷している(8月 24日時点)という事実を、昨日初めて知った。

2208261

「奢れる者は久しからず」というが、8月下旬の時期に 4位という成績で、しかも 5位の広島に 0.5 ゲーム差と迫られているのだからびっくりだ。あの巨人が阪神よりも下位にいるというのだから、これはちょっとしたニュースである。ただ、どちらも勝率 5割に達していないのだが。

ちなみに仕事で大阪方面に行ったりすると、阪神ファンの多いことに驚く。昔よく一緒に組んで仕事をしていた大阪人は、「僕の『トラキチ』は、父の代からのタチの悪い遺伝病ですわ」なんて言っていた。

「関西の風土病かと思ってた」と言うと、「いやいや、4年間東京の大学に通って転地療法になるかと思ったんですが、全然アカンかったから、やっぱり遺伝性疾患でしょう」と、やたら当意即妙の答えが返ってくる。さすが大阪人である。

ところが世の中の巨人ファンというのはそこまで悟りを開いていることが稀で、「巨人が負けた翌日は機嫌が悪い」なんていうゴーマンなタイプも少なくない。この際せっかくだから、阪神ファンが既に到達して久しい高い境地を学んでもらいたいものだ。

そういえばこの関連で、阪神が優勝した 2003年に "今年の阪神の 「かわい気のない強さ」" という記事を書いている。この年は阪神があまりにも勝ちすぎたので、トラキチたちとしてもどうやって酒を飲めばいいかわからなかったようなのだ。

ということは今年は巨人ファンの方が、逆の意味で酒の飲み方に戸惑ってしまっているだろう。まあ、コロナ禍で寄り集まっての飲み会が少なくなっているから、何とかもっているのかもしれない。

関東で阪神ファンの境地にやや近いのは、強いて言えばヤクルト・ファンだが、彼らには妙なねじれや鬱屈がない。今シーズンみたいに強い時には割と素直に、しかも穏やかに喜ぶ傾向があるので始末がいい。

ただ、これとは別にちょっと気持ちの悪いのは、ヤクルトが優勝した時に限って「自分は東京生まれだから、実は元々ヤクルト・ファンなんだ」なんて言い出す「便乗ファン」が登場することである。今年もきっと出てくるだろう。

彼ら、ヤクルトの弱いシーズンには完全に日和ってるくせにね。

【備考】

「日和る」(ヒヨる)は「日和見主義」の動詞形みたいなスラングで、あまりいい意味ではない。1970年代はよく使われたが、今の若い人は馴染みがないかもしれないので、念のため。

 

| | コメント (10)

2022年3月28日

"Baseball" と「野球」は、別のスポーツ

一昨日の記事で日本の野球用語について「和製英語の宝庫」なんて書いたのをきっかけに、ちょっと試しに「野球 和製英語」というキーワードでググってみたところ、出てくるわ出てくるわ、大変な数のページがヒットした。

220328

中でも面白かったのは、かの有名なアンちゃんのページ(参照)。タイトルからして「日本の野球は和製英語の宝庫です」と、私と同じ発想なのが嬉しくなってしまった。興味のある方は是非行ってみるといい。

ちなみに野球が日本で広まったのは案外古く、明治の昔に正岡子規が普及に貢献し、「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも」という短歌まで残している。彼は普及の功績によって野球殿堂入りしているほどだ。

「野球」という名称も子規が訳したと巷間もっともらしく伝えられるが、実際には中馬庚(この人も野球殿堂入りしている)という人の考案である。子規が訳したのなら、上で紹介した短歌は「久方のアメリカ人のはじめにし野球は見れど飽かぬものかも」みたいに、字余りなしのドンピシャ定型になっていただろう。

中馬が「野球」という語を考案したのは、"ball in the field" (あまりプロパーな言い方じゃないよね)という言葉を元にしたとされている。さらに  "shortstop" を「遊撃手」と訳したのも彼であるという。

こうしてみると、中馬という人はずいぶん自由勝手な訳し方をしていて、ベースボール用語が野球用語に変わる時点でかなりテキトーになる発端を作ったような気さえする。

さらに戦時中の「敵性語排除」というチョー特殊事情が加わって無理矢理な訳語が増え、そして戦後にカタカナ用語が解禁になった途端に、それまでの反動みたいに、「ランニングホームラン」みたいなわけのわからない和製英語がどっと作られたんじゃないかと想像する。

というわけで野球というのは 150年も前に日本に伝えられて広く受け入れられ、間に太平洋戦争なんてものまで挟んでいるだけに、ずいぶん特殊なまでにドメスチックな発展の仕方をしてしまったようなのだ。

こう言っちゃナンだが、「野球指導者」といわれるような人にはモロに「日本のオッサン」タイプが多い気がする(新庄  BIGBOSS なんかは別ね)。高校野球の坊主頭や旧日本陸軍的な入場行進(参照 1参照 2)なんかを見ても、「アメリカン・スポーツ」というイメージからはほど遠い。

アンちゃんは紹介した記事の末尾近くで、"面白いですね!「野球」は「ベースボール」ではない、日本人のためにある日本のスポーツです!" と書いている。この点に関しても、「我が意を得たり」だ。

【付記】

「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも」の「久方の」は、「光」や「天(あま、あめ)」にかかる枕詞だが、この場合は「アメリカ人」の「アメ」にかけられた洒落みたいなもの。子規は米国に関して、仰ぎ見るような素晴らしい国と捉えていたのかもしれない。

 

| | コメント (4)

2022年3月26日

「コーチャーズボックス」という和製野球用語

もう 5日前(春分の日の 3月 21日)の話になるのだが、クルマを運転しながら聞いていた TBS ラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」という番組で、気になる部分があった。野球用語の「コーチャーズボックス」に関する小笠原亘アナウンサー(月曜パートナー)の説明が無茶苦茶だったことである。

220326

それは番組内の「相談は踊る」というコーナーに寄せられた、荒木正博(中日ドラゴンズのコーチ)ファンという横浜在住の方からの相談への関連で語られた。

そもそもの相談というのは、三塁コーチを務めていた荒木コーチが今シーズンから一塁コーチに変わるので、間近に見るためには、ホームチームである横浜ファンばかりの一塁側スタンドに行かなければならず、それが居心地悪いのでどうすればいいかという話である。

まあ、この問題についてはそばに置いとくことにして(来週の 28日までなら Radiko でも聞けるので、どうぞ)、野球音痴のジェーン・スーさんがこだわったのは、小笠原亘アナの「荒木コーチが、三塁側のコーチャーズボックスに・・・云々」という説明の件だ。

彼女は「コーチとコーチャーはどう違うの?」と聞いた。相手は TBS で野球の実況もしているぐらいの、いわば「専門職」なので、当然ながら簡単に答えてくれると思ったのだろう。

ところが小笠原アナは「やることは一緒。コーチがコーチャーもやる」なんてアサッテの方を向いたことを言う。スーさんは当然ながら「何言ってんだ? さっぱりわからない」と反応する。

それに対して小笠原アナはさらに、「コーチは攻撃の時はコーチャーになる」とか「コーチスボックスにいる時は、呼び名だけコーチャー」とか、アサッテどころか再来月みたいなことを言い出す。要するに、自分でもよくわかってないみたいなのだね。「専門職」なのに。

基本的なことを言えば、英語の "coach" は、名詞と動詞の両方の働きをし、名詞としては「指導者」、動詞としては「指導する」という意味を持つ。つまり名詞として使用する場合でも、ことさらに「コーチャー」なんて言う必要はない。

「コーチャーズボックス」は、まともな英語では "coach's box" なのだが、多分、カタカナにした時に「コーチスボックス」なんてのが言いにくいので、いつの間にか「コーチャーズボックス」なんて言うようになったんだろうね。

つまり「『コーチャー』はテキトーな和製英語です」と言ってしまえば済む話で、上の写真のリンク先でもそのように説明されている。要するに、単なる「雰囲気のもの」である。

ついでに言えば、日本で使われる野球用語は「雰囲気のもの度」が異常なまでに高い。「ナイター」とか「ランニングホームラン」とか「デッドボール」とか、和製英語の宝庫なので、かなり気をつけなければならない。

【付記】

この番組内でのやりとりは、来週の 27日の午前 10時頃までなら Radiko でも聞けるので、興味を持たれた方は大急ぎでどうぞ。問題の箇所は、番組開始後 1時間 10分ぐらいのところからピンポイントで聞くことができる。

また「デッドボール」に関しては、プロ野球関係者の中でも「デッボール」なんて言うオッサンが少なくない(例えば清原某とか)ので、注意が必要だ。「死球」じゃなく「借金球」(debt ball)になっちゃう。

 

| | コメント (4)

2021年11月25日

中国に対する IOC の態度は「スポーツ・ウォッシング」

中国の前副首相から性的関係を迫られたと告発した女子プロテニスの彭帥選手に関して、国際オリンピック委員会(IOC)が「元気で安全だった」などと発表して火消しに走っていることを、人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)が批判している。WTA(女子テニス協会)も同様に批判的だ。

211125

HUFFPOST の記事(参照)を初めとする複数のニュースに沿って彭帥選手の消息に関する経緯を簡潔に整理すると、次のようなことになる。

  • 11月 2日に彭帥選手が、中国の張高麗前副首相から性的関係を迫られたことを SNS で告発(参照)し、その直後から連絡が取れなくなった。

  • 11月 14日、WTAは「彼女の訴えは、完全かつ公平に、透明性をもって、検閲されることなく調査されなければならない」との声明を出した(参照)。

  • 11月 18日、中国国営グローバル放送の CGTN が、彭選手が WTA に宛てて書いたとされる「私は行方不明ではなく、安全で、全てが良い状態だ」というメールを公表。しかし WTA のスティーブ・サイモン CEO は「本人が書いたとは信じられない」と懸念を表明した(参照)。

  • 11月21日、中国共産党機関紙の人民日報系「環球時報」の編集長が、コーチ、友人とともにレストランで食事している彭選手の姿とされる映像を Twitter に投稿(参照)。WTAは、彭選手が危険にさらされていないかどうかの確認は「このビデオだけでは不十分」と述べた(参照

  • 同じ 11月 21日に、IOC がトーマス・バッハ会長らが彭選手とテレビ電話で話したと発表(参照)。バッハ会長は「彭選手は安全で元気に北京の自宅で暮らしていたが、今は自分のプライバシーを尊重してほしいと述べ、友人や家族と過ごすことを希望していた」と説明した。

  • これに関しては「30分間のテレビ電話には、中国オリンピック委員会の幹部も同席した。彭さんはなおも自由に発言できない状況に置かれている可能性もある」と報じられている(参照)。

このように「彭帥選手は無事」とする情報はすべて、伝言、真義が不確かなメールやビデオ、不自由な状況下でのテレビ電話などによるものでしかない。

11月 18日の「CGTN によるメール公開」というニュースに関連し、WTA のスティーブ・サイモン最高経営責任者は同日に出した声明で、「私はさまざまな手段を通じて彼女と連絡を取ろうとしたが、できなかった」と明かし、「彼女の安全について独立した確証が必要だ」と要求した(参照)。

そもそもこれに関しては、どうして彭選手が WTA 宛に書いたメールが CGTN の手に入るのか、メチャクチャな話である。国内でメール検閲が日常的に行われていることを、中国が自らバラしてしまったようなものだ。

さらに 11月 21日の IOC の発表は中国の官製メディアによるアヤシい情報と同レベルというほかないし、何しろあのバッハ会長の言うことだから、ますます信用できない。

この翌日の 22日、HRW のシニア中国研究者の王亚秋氏は、Twitter 上で「IOC は中国政府による行方不明や抑圧、プロパガンダ構造に積極的に加担している」と強く批判した(参照)。

彭帥選手が公開の場に元気な姿を現し、この間の経緯を自分の言葉できちんと説明し、さらに、それによる弾圧が一切ないということが確認されない限り、中国が「ヤバい国」であるというレッテルを剥がすわけにはいかない。

さらに言えば、チベット自治区のウィグル民族弾圧なども即座に止めなければ、中国は「ヤバい国」であり続けることになる。

IOC の態度は、オリンピック・ボイコットの気運が高まることのないように、まさに「スポーツ・ウォッシング」に終始しているだけと見られてもしかたがない。こんな状態での北京オリンピックは「外交的ボイコット」程度じゃ生ぬるい。個人的には「全面的ボイコット」すべきだとさえ思っている。

【2021年 12月 20日 追記】

HUFFPOST に 12月 20日付で「彭帥さん、海外メディア取材に性的暴行を否定。掲載された一問一答の内容は?」という記事が載った。

内容はリンク先を読んでいただければわかるように、彭帥さんが自ら性的暴行を受けたことを否定しているというもの。ただ、彼女の発言は矛盾点が多く、そのままには到底信じられるものではない。かなりの圧力で、暴行否定発言をさせられているとしか思えない。

 

| | コメント (2)

2021年8月20日

テレビでの差別発言に対する日米の差

HUFFPOST が「大谷翔平選手に差別発言をした解説者が、無期限の出演停止に。バイアストレーニングを受けると発表」と伝えている。デトロイト・タイガース解説者のジャック・モリス氏が大谷翔平選手についてのコメントで、アジア系のアクセントを真似た件での対応だ。

210820

これ、HUFFPODT US版の記事の翻訳で、元記事の見出しは ”Detroit Tigers Suspend Announcer Jack Morris For Racist On-Air Joke“ というもの。「デトロイト・タイガースが人種差別的な放送上のジョークにより、アナウンサーのジャック・モリスを停職に」と訳せる。

アジア系のアクセントをことさらに真似て "very very careful" (とてもとても気をつけて)と発言したことが問題になったものだ。Twitter で聞くことができる(参照)が、たしかにアジア系の発音と言い方を揶揄しているように聞こえる。

HUFFPOST はこれについて次のように伝えている。

発言はすぐに問題視され、モリス氏は9回に大谷選手に打順が回ってきた際に「もし私の発言が誰かを不快にさせたのであれば、心から謝罪します。特にアジア系コミュニティの皆さんに対し、大谷翔平選手のピッチングや、彼に気をつけたほうがいいと言ったことをお詫びします」と謝意を示した。

これにより、ジャック・モリスは放送途中で降板し、バイアストレーニング(偏見などを修正するためのトレーニング)を受けることになった。

一方、張本勲は 8月 8日の TBS のニュースショーで、女子ボクシングについて「こんな競技が好きな人がいるのか」「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って・・・」などとと発言した。(下の画像をクリックすると、別画面で動画が見られる)

2108202

これに関して彼は自身で直接には謝罪せず、1週間後の番組で担当女子アナに謝らせた上で、「今回は言い方を間違えて、反省してます。以後気をつけます」と言ったのみ(参照)。 これは典型的な non-apology (謝らない謝罪)で、遠回しに「俺は悪くない」と言っているに等しい(参照)。

TBS は本来ならば、彼を全面的に出演停止にし、性差別的な考えを改めるためのバイアストレーニングを課すぐらいの対応を取らなければならないだろう。しかしそんなことには全然なっていないようだ。

差別発言に関する日米の対応の差は、かくまでに大きい。

 

| | コメント (4)

2020年1月12日

自らの身勝手なラグビー・ファンぶりを反省

昨日迂闊なことに、ラグビーの大学選手権の中継を見るのをすっかり忘れていた。本当に久しぶりに母校が決勝に進出し、しかも往年の宿敵、明治大学を下して優勝しているというのに、私といえばその頃、しんねりむっつり PC に向かって仕事なんてしていたのだ。

2001122 

思えば母校が文句なしのラグビー強豪校だった頃、正月の大学選手権決勝の日は、時にはラグビー好きの友人も交えてテレビに向かい、大声援を送っていたのである。それはほぼ毎年の恒例行事で、家族の間でもこの日ばかりは「お父さんの邪魔しちゃダメよ」ということになっていたほどなのだ。

しかし最近のワセダ・ラグビーは、長期の低迷状態にあった。大学選手権決勝に出られないどころか、3回戦ぐらいで敗退することすら珍しくなくなっていたのである。そんなわけで、正月の日曜日、テレビに向かって大声援を送るなんてことから遠ざかっていたのだった。

ところが昨日、なんとまあ、母校は 11年ぶりの優勝を遂げてしまった。そのニュースを夕方に知った私は、どう対応していいかわからなかったのである。あまりにも優勝から遠ざかっていたので、喜び方を忘れてしまっていたことを、Twitter にも上の写真のように率直に書いている。

というわけで、本当に反省している。私は常々、世の巨人ファンという種族について「単に勝馬に乗りたいだけじゃん!」なんて安易な批判をしてきたわけだが、それが我が身に返ってきてしまうじゃないか。

「母校が強い間だけさんざん調子に乗って、低迷するとテレビを見ることすら忘れてるなんて、薄情にもほどがある」と言われても仕方がない。まったく身勝手な話なのである。

というわけで私は反省の意を込めて、「今年の秋以降、きちんと大学ラグビーに注目します」と宣言させていただく。「ワセダが復活した途端に、それを言い出すか」と言われそうで心苦しいが、そこは「ラグビーへの忠義立て」の方を優先しているので、ご理解頂きたい。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧