カテゴリー「ニュース」の652件の記事

2024年8月31日

SNS が「台風 10号が消えた」で盛り上がったらしい

昨日付の毎日新聞に "「台風10号消えた」は本当? 衛星画像で雲ぼんやり 気象庁の見解" というなかなか興味深い記事がある。昨日(30日)昼前の衛星画像で、台風の雲がずいぶんぼんやりとしか写っていなかったため、SNS で「台風 10号が消えた」という投稿が相次いだのだそうだ。

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上の写真が昨日 11:00 時点の衛星写真である。なるほど、雲の輪郭が明瞭じゃない。それは下に示す一昨日(29日)6:00 の画像と比べれば一目瞭然である。記事には次のようにある。

X(ツイッター)には 30日朝から台風の存在を疑う投稿が相次ぎ、「台風消滅」という言葉がトレンド入り。さらには、「気象庁が嘘をついている」「テレビの台風情報はフェイクだ」と、気象庁の発表や報道内容を疑う投稿もみられた。

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SNS 内を「台風消滅」のキーワードで検索すると、台風 10号が消滅して「熱帯低気圧化した」なんて言っている tweet が目立つ。こうした気の早すぎる tweet については気象予報士の ふなしさんという方が、たとえ熱帯低気圧に変わっても「台風と構造は同じ」と、注意と呼びかけている(参照)。

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そもそもいくらなんでも、気象庁が意図的にフェイクの台風情報を流すわけがない。台風 10号は大型で強い、極めて危険な台風として日本に接近していたのである。

さらに言えば当ブログが昨日触れたように(参照)、その半日前の 28日 17:30 の画像では、台風の目がしっかりと捉えられてさえいたのである。

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衛星画像の情報をもとに客観的に判断すれば、台風 10号の勢力は九州上陸直前から急に衰えてしまったもののようだ。しかし、だからと言って、台風そのものが消えたわけではない。

勢力は衰えてしまったとはいえ、動きがやたら遅い分だけ「時間で稼いでる」といった状態で、大雨の被害は大きい。さらに東海上の高気圧との連動で、離れた地点でまで雨雲が発達して大雨になっているのが困る。

8月 23日に「台風 10号の進路は、この夏で一番厄介そうだ」という記事を書いたのだが、あれから進路はかなり西よりに変わってしまったはいえ、「厄介さ」に関しては変わらずしっかりと維持し続けているようなのだ。

 

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2024年8月 3日

「お好み焼き」がパリでも人気というのだが

テレビ朝日が「OKONOMIYAKI 旋風」というニュースを伝えている。なるほど、浅草の店でフランス人たちに「お好み焼き」が人気のようだし、パリのお好み焼き屋も流行っているようなのだ。

私にとって印象的なのは、フランス人たちが「お好み焼き」を旨そうに食べることより、彼らが「箸」を使い慣れているということだ。私が初めてヨーロッパに行った 1980年代初頭は、こんなに上手に使えるヨーロッパ人は少なかった。「お好み焼き」に限らず、日本食全般が浸透しているのだろう。

で、「お好み焼き」そのものについて言えば、彼らは私なんかよりずっと食べ慣れているという印象である。私は 2009年 10月 6日付の 「決して不味いってわけじゃないのだが……」という記事で、こんな風に書いている。

こればかりは、食文化の問題のようだ。私の生まれた山形県というのは、秋田県、岩手県、沖縄県などと並んで、全国でもお好み焼き屋の非常に少ない県なのである。作ってもらって目の前に出されれば食べるし、おいしいとも思うが、進んで食べようという発想自体がない。

私に限らず山形県生まれの人間の多くは、「お好み焼き」に馴染みがないのである。大阪生まれの人間が当たり前のようにホイホイ食べるのに、どうしても「気負って食べる」という感じになってしまうのだ。もしかしたらパリの「お好み焼き屋密度」は、山形県より高いんだろうか?

ただここで ANN のニュースに戻るのだが、アナウンサーがイントロダクションとして語っている「日本のお好み焼きが海外の美食家たちをうならせています」という一言には、山形県生まれでなくても「おいおい・・・」と言いたくなってしまうだろう。

どう見てもカジュアルで気軽な食べ物として受け入れられているとしか思われず、「美食家たちをうならせています」という表現にはかなりの違和感を覚えてしまう。

こんな感じで「OKONOMIYKI はグルメなメニュー」みたいに訴求してしまったら、マーケティング的には「トンチンカン」になってしまうんじゃなかろうか。

 

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2024年7月20日

興奮して叫びながら水に飛び込むと、下手したら死ぬ

今月 5日、横浜市の川で友達と遊んでいた小学校 5年生の子どもが溺れ死ぬという事故が発生した。水難事故に関し、NHK が "水難事故 原因は?「飛び込み」に潜む危険 沈み込んだ先の“魔の時間”に何が・・・ 水中検証で迫る" で検証している。

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飛び込み競技用のプールを使った動画では、大きく息を吸い込んだ状態で高さ 1メートルの飛び板からプールに飛び込むと、それほど深くは沈まず、浮上するまでにかかった時間はほぼ 5秒だった。

ところが同じプールで大きな声を出しながら飛び込むと、深さ 3.8メートルの底に足が付いてしまうほど深く沈んでしまう。肺の中の空気が少ないので、浮力が不足するのだ。そして浮上するまでに 13秒もかかってしまった。

暑い夏に興奮して大きな声を出しながら水に飛び込むと、思いもよらないほど深いところまで沈んでしまいがちなのだ。深く沈むほど浮上するまでに長い時間がかかり、さらに肺の中の空気が少ないので苦しくなってしまう。

早く呼吸をしたいと焦ってしまうと、水面に上がりきる前に呼吸してしまいがちで、肺に水が入ってしまう。考えるだに恐ろしいことだ。記事の末尾には次のようにある(ちょっと悪文だが)。

専門家は、水辺で飛び込みをする人の多くが、川辺でバーベキュー中にお酒を飲んで気分が高まったり、友達どうしで度胸試しをしたりと、気の持ち方で防げるはずなのに、無くならないのが現状だとしています。

さらに飛び込んだわけではなくても、大声を上げながら水の中ではしゃいでいる時に何かに躓いて転んでしまった時など、それほど深く沈まなくてもパニックになり、杯の中に水が入ってしまうこともあるだろう。

夏空の下とは言え、水に入る時に興奮しすぎるとろくなことにならない。これは肝に銘じておくべきだろう。

【7月 23日 追記】

今回の水難事故のケースにより近いと思われる危険性を訴える 7月 11日付の NHK 動画も見つかった(参照)。

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合わせてご覧いただきたい。

 

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2024年6月29日

電動スーツケースって、ダッサァ!

"【速報】電動スーツケースで無免許運転 中国籍女性を全国初の摘発「免許必要と思っていなかった」大阪" というニュースがあったのだが、「電動スーツケース」って一体どんなものなのか写真すら載っていない。そこで動画を検索したら、こんなのが見つかってしまった。

いち早くユーザーとなって実際に乗り回している人たちには恐縮だが、見たとたん「ダッサァ!」と笑ってしまったよ。自分がこんなもの買い求めるなんてことは、まずないだろう。

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さらに上の写真のある「スマートだけどちょっと恥ずかしい? 荷物と一緒に乗って移動できる "スマートキャリー" がいよいよ発売」という記事では「電動スケートボード付きリュックサック」なんてものも紹介されているが、これ、リュックサックとして担いだときにはバッテリーの分が重いだろうね。

ちなみに、このほど大阪で「初摘発」の憂き目に遭った中国女性は「乗り物とも、免許が必要とも思っていなかった」と供述しているようだが、ハンドル、アクセル、ブレーキが付いているのに「乗り物と思わなかった」という言い訳は無理がありすぎるだろう。

ただ「運転免許が必要」という点に関しては、確かに周知徹底されていなかったと思う。私自身もそんなことは全然知らなかった。そもそも「電動スーツケース」そのものすら知らなかったのだし、当局の PR 不足だったということだろう。

いずれにしても Amazon のページで見た限りでは、本体下部にハンドルとの接続バーのようなものを引き込むため、収納スペースが小さいし、バッテリーなんて余計なものが付いているだけ重そうだ。

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ほとんど 10万円近い値段で購入するようなものじゃなさそうに思える。こんなのだったら、キャリー付きを引っ張って歩けばいいし、私だったらリュックサックで十分だ。

「脚の弱った人には便利だろう」と言う人もいるかもしれないが、そもそも脚が弱ったら別の解決策を考えなければならないだろう。

 

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2024年6月16日

iPhone でのやり取りと Gigazine の翻訳にはご注意

Gigazine に "「iPhone での売春婦とのメッセージを削除したつもりが iMac に残っていたせいで離婚した」と主張する男が Apple への訴訟を準備中" という昨日付の記事がある。この男、離婚の慰謝料として 500万ポンド(約10億円)支払ったというから、まあ「いいご身分」ではある。

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彼は iPhone の「メッセージ」アプリを使って売春婦とやり取りしていた。そしてそれは全部削除したつもりでいたのだが、iCloud 経由で家族共有の iMac の方に保存されており、全部妻に見られてしまったというのである。

慰謝料を 500万ポンドも支払う経済力があるくせに PC は個人用じゃなく家族共用だったというのは、意外というよりむしろセコい話である。その程度のカジュアル・ユーザーだったからこそ、iPhone 上で削除しても PC の方に残ってしまう設定になっていることを認識できずにいたのだろう。

いずれにしても、iPhone でヤバいやりとりをしている人は、くれぐれもご注意ということだ。ただ、今日の記事はこれでおしまいというわけではない。本題はこの翻訳記事の見出しへのイチャモンである。

元ネタは The Times の "Husband pursues Apple after wife finds ‘deleted’ messages to prostitute" という記事のようで、Gigazine の見出しはかなり意訳してある。ただ「Apple への訴訟を準備中」というのはヒドい日本語だ。Apple は裁判所じゃないんだから「〜への」はおかしい。

ここは元記事の見出しに沿って「Apple を追求」とすればよかっただろう。あるいはどうしても「訴訟」にこだわりたいというなら、「Apple の告訴を準備中」でもよかった。

ちなみに Gigazine の翻訳のお下手さ加減については過去にも何度か取り上げていて、めぼしいものだけでもこんな具合だ。

「予測」という言葉の誤用 (2015/9/7)
ファストフードを避ける最大の理由は「罪悪感」(2022/2/16)
"「他にやることがない時間」を嫌がらない" って ?(2023/10/4)

実際のところは、翻訳が下手という以前に、日本語センスがおかしいという気がしてしまうのだがね。

 

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2024年6月10日

秋田の「人食いグマ」が「ヒグマとの交配」だって?

現代ビジネスが "地元猟友会の男性が危惧!秋田の山中に出没した「人喰いグマ」は、本当にツキノワグマなのか…指摘されている「ヒグマとの交配」の可能性" というかなり怖い記事を伝えている。先月秋田県でクマに襲われ、警察官 2名を含む計 3人の男性が死傷した件についての話だ。

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ツキノワグマとヒグマは、生息地が津軽海峡で本州と北海道に隔てられているのだが、この記事の見出しに「交配」という文字があるので驚いてしまった。もし本当に交配されたとしたら、ツキノワグマよりずっと大きなクマになってしまうだろう。

記事には「大型の個体の目撃例が増えていて、しかも、そのほとんどが赤毛の個体だったという」とある。そしてこの記事の前篇は、"『秋田の山中に出没した「人喰いグマ」の「ヤバすぎる正体」…!報じられない地元の証言「どう見てもツキノワグマじゃねえ」「デカすぎる」』" というものだ。

付近には 2012年まで「八幡平熊牧場」という施設があり、閉園直前にヒグマが脱走して従業員 2名を殺傷するという事件があった。この時に脱走したヒグマは全頭射殺処分され、閉園時にも飼育されていたクマはすべて別施設に移動されたということになっている。

しかし地元では、飼育されていたヒグマのうち数頭が行方不明になっていると密かに言われているらしい。脱走したヒグマがもしツキノワグマと交配してしまっていたとしたら、かなり大きな個体となって生息している可能性があるというのである。

一昨日新潟出張の帰路、群馬サファリパークに寄り(参照)、間近でライオンやツキノワグマを見る機会があった。クルマのウィンドウ越しに見てもかなりの迫力だったが、あれより大きいクマに山の中で出くわすなんて、考えたくもない

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最近、ただでさえ各地でクマの個体数が増え、里に降りて来るというケースが起きている。交配種が人里に出没したら、大変なことになるだろう。

ここは念のため、十分な調査をしてもらいたいものだ。

 

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2024年5月17日

8,540円分のキセルで 134万円支払った茨城県職員

本日はローカル・ニュース、しかも茨城県ネタで、茨城県職員のキセル乗車が発覚したというお話だ(参照)。それにしても、8,540円分のキセルで JR に 134万円支払わなければならなかったということについては、「へぇ〜!」と言いたくなってしまうよね。

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このキセルの手口というのは、こんなことだったようだ。

昨年11月28日、自宅最寄りのJR水戸駅から乗車し、県北部の高萩市へ出張するため高萩駅で降車。通勤定期券の区間外となる運賃420円を支払う必要があったが、事前に準備していた別の区間の切符(190円)を使用し、改札で記録が残らない無人駅から乗車したように装っていた。

これ、FNN ニュースの画面で見るとわかりやすいので、下に貼り付けておく。

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みればセコすぎると言いたくなるほどのもので、片道 230円を浮かせるために、本来の下車駅の 1つ先にある無人駅、南中郷駅まで行って最低料金 190円の切符を買い、そこから折り返してその切符で下車していたというのである。

190円の切符を買うためにさらに 190円払って南中郷駅まで行ったら 40円しか浮かないじゃないかと思ってしまうが、そこはそれ、南中郷駅では無人改札を素通りしてたんだろうね。

そもそもこの職員が高萩まで行ったのは「出張」ということのようだから、交通費は県に請求すれば全額支払ってもらえるもののはずだ。にも関わらす 1本早めの便に乗って折り返してまで、しっかりと 230円チョロまかしていたというわけだ。

さらに往復で 460円浮かせてたとしたら、帰路でも南中郷駅まで行って折り返さなければならない。あの辺り、そんなに本数の多い区間じゃないんだから、私に言わせたら完全に「時間の無駄」でしかないのだが、出張の度に同じことを繰り返していたようで、気の遠くなるほどマメな話である。

このチョーマメな職員は同じ手口を 10回繰り返した上に、グリーン料金を払わずにグリーン車に乗るなんてことまでしていたので、セコさの割に「かなり悪質」と見られ、JR東日本の規定通りの厳しい罰則料金を請求されたのだろう。そしてこの料金は、既に JR に支払い済みのようだ。

この職員がゴネもせずに 134万円支払ったというのは、さらに深い事情があるとしか思えない。ここまでマメな手口を使ってまでキセルを繰り返すというのはおそらく常習犯で、もっと言えば愉快犯的ですらある。発覚した 10回にとどまらず、もっとずっと前からやってたんだろう。

これまで 30年ぐらい繰り返してきたとすれば、大小さまざまのキセル金額を合計してこれに近いぐらいに達していてもおかしくない。というわけで「大きな利息付き後払い」になってしまったと思えば、諦めがつくのかもしれないね。

ただ、そのために失った馬鹿馬鹿しいほど無駄な時間までは戻らず、気の毒な限りだが。

 

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2024年5月 5日

日本の報道の自由度が世界 70位という妥当な評価

国境なき記者団(仏語: Reporters Sans Frontières 略称 RSF、英語:Reporters Without Borders 略称 RWB」が 3日に発表した 2024年の「報道の自由度ランキング」(調査対象 180カ国)で、日本は前年の 68位から順位を 2つ下げ、G7(主要7か国)で最下位の 70位と伝えられた(参照)。

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この件について、日本の大手メディアはどれも粛々と「客観報道」していて、とくに踏み込んだところまでは伝えていない。これは当然と言えば当然で、少しでも踏み込んでしまったらかなり真摯に自己批判しなければならないからね。

欧州在住のフリージャーナリスト木村正人氏は、大手メディアと比較すれば多少は具体的な点まで書こうとしているのを感じさせる(参照)。冒頭はこんな感じだ。【括弧内の(同〜位)というのは、昨年の順位】

G7 ではドイツ 10位(同21位)、カナダ 14位(同15位)、フランス 21位(同24位)、英国 23位(同26位)、イタリア 46位(同41位)、米国 55位(同45位)だった。

欧州連合(EU)内部からロシアのウラジーミル・プーチン大統領を援護するオルバン・ビクトル首相が強権主義を強めるハンガリーでさえ 67位(同 72位)。アフリカのコンゴ共和国は日本よりランクが 1つの上の 69位である。

日本の報道の自由度は例年 70位内外で(2019年 67位、20年 66位、21年 71位、22年 68位)、「自由とは決して言えない」レベルを保っている(参照)。つまり自慢にならない安定レベルだ。

RSF のフィオナ・オブライエン英国支部長は、日本の報道自由度の低さは「ジャーナリストが特定のテーマについて報道するのが難しい」ことに由来するとして、次のように語る。

ジャーナリストがよりデリケートなテーマについて報道する自由に伝統の重みや経済的利益、政治的圧力が影響を与え、政府の責任を十分に問うことを妨げている。

この慎重な言い方を思いっきりかみ砕くと、日本では「このように報道しろ」という露骨に強権的なまでの報道介入は一般的ではないものの、「この件には触れないでくれ」という無言の圧力は確実にあるということだ。つまり、かなり重要な情報でもニュースにならないことが少なくないのである。

こうした雰囲気の温床となっている「悪名高い記者クラブ制度」について、「記者会見や政府高官との接触を既存の報道機関にのみ認めており、記者を自己検閲に追い込み、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別となっている」との指摘を、木村氏は率直に書いている。

これなどは、大手メディアの最も書きにくいところだろう。何しろ、突出したことを書いてしまうと記者クラブから外され、公式記者会見にも参加できなくなるのだから、自動的に「自己検閲」が働くシステムになってしまっているのだ。

この記事ではジャニー喜多川の性的虐待に関して英国 BBC 放送が TV ドキュメンタリーで報じるまで、「週刊文春や告発本を除き、日本の主要メディアはダンマリを決め込んだ」と指摘されている。日本のメディアが「触れてもらいたくない」という圧力に極めて弱いという典型的実例である。

これに類したことは芸能界に限らず、政治経済の世界にだっていくらでもある。この国では関係者なら誰でもフツーに知っているスキャンダルでも、外部にはほとんど伝わらない仕組みになっているのだ。このほどようやく明るみに出た自民党の「裏金問題」などは、そのほんの一例だろう。

こうしたことを思えば「報道の自由度 70位」というのは、かなり妥当で仕方のないところである。

最後に、このニュースに関する日本のどの記事も触れていないことについて書いておく。それはこの記者会見の写真で見る限り、発表者側の席にいるのが「全員女性」ということだ。あるいはフレーム外の端っこに男性がいるのかもしれないが、「メインは女性」であることに変わりはない。

これって、オッサンが冴えない雁首揃えてお約束の決まり文句だけ並べる日本の記者会見とは、天と地ほどの違いだよね。そういえば日本のジェンダー・ギャップのランキングは、報道の自由度よりさらにずっと低いんだった。

【2023年版】世界のジェンダー・ギャップ指数ランキング | 日本は過去最低となる世界 125位に後退

 

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2024年4月 3日

ドイツで大麻が解禁されたというのだが

CNN が「ドイツで娯楽目的の大麻使用解禁、歓迎の市民熱狂」というニュースを伝えている。ドイツは私が最初に行った外国だし、若かった頃なら「へぇ、いいなあ!」なんて思ったかもしれないが、今となっては「ふぅん、それがどうした?」程度のものだ。

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何しろ 24歳でタバコを止めてから 47年経つ(禁煙のきっかけは こちら にチラッと書いてある)し、たとえ今後ドイツに行って「もう違法じゃないんだから」なんて勧められたとしても、やんわりと断るだろう。肺の中に余計なケムリを入れるなんて、もう生理的に不愉快でしかない。

ただ今回の大麻解禁はさすがドイツらしく、理に叶ったものと言えるだろう。CNN は次のように伝えている。

ラウターバッハ保健相は1日、「真の依存症を助け、子どもや若者の使用を防ぎ、闇市場と闘う方がいい」とX(旧ツイッター)に投稿した。

これまでのようにただ禁止するだけでは現実的な対応をしにくいし、米国の禁酒法時代とまではいかないまでも違法取引を増やすだけになる。

大麻解禁国は 2018年に合法化したカナダを含め、今回のドイツで 6か国目となる。それに米国などの州単位での合法化も含めれば今や結構な地域になっているし、ヨーロッパでは形式的には違法のままだが「刑事罰なし」(実質的な解禁)という国もかなりある(参照)。

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(2023年 11月 14日現在の状況  クリックで別画面に拡大表示)

日本では政府が音頭を取って「大麻は危険な麻薬」みたいなキャンペーンを張っているが、実際のところはそれほどスゴいもんじゃない。近頃あちこちの大学アメフト部の「大麻汚染」が報じられたが、それでも体力とアタマをしっかりと使うゲームを高度な水準でこなしていたのだしね。

体とアタマへの悪影響という点では、酒の方がずっと大きいだろうと思う。さらに非合法とされる大麻を国内でも案外入手しやすいと伝えられる現状(参照)からして、かなりの闇取引があるのだろうとの懸念まである。

日本政府が大麻をことさらに排除したがるのは、1960〜70年代にかけての「極めて政治的な時代」に、カウンター・カルチャー派が「マリファナは反体制のシンボル」みたいなイメージを作って以来のことなんじゃなかろうか。

下の画像は「ヒッピー」(hippies)より政治的にとんがった「イッピー (Yippies)」を率いていたジェリー・ルービン(Jerry Rubin)の『DO IT 革命のシナリオ』(1971年・刊、田村隆一・岩本隼共訳)の一部。言うまでもなく「ポット」はマリファナの隠語である。

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のっけから「マリワナは人を神にする」なんてあるが、実際は決してそんな大それたものじゃないことが今や明らかだ。それは今回のドイツを含めた解禁国や地域が、大麻の使用を「娯楽目的」と言い切っている現状をみても如実にわかる。まさに「毒気を抜かれた嗜好品」である。

大麻は下手に厳しく取り締まれば取り締まるほど、たまたまちょっと試してみただけの者まで「反社会的存在」に祭り上げられてしまうことになる。それでジェリー・ルービンは「ポットを永久に禁じておくべし」と、彼独特の反語的言い回しで大麻の力を実質以上に増幅させようとしていたわけだ。

ということで、私は個人的には大麻に関して敵でも味方でもないのでよろしく。以上。

 

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2024年3月22日

「窓側が上座」だなんて、やっぱりガセネタだった

ファイナンシャルワールドというサイトの 3月 18日付に ”新幹線で「窓側指定席」を予約したのに、「通路側」の人が「真ん中」の肘掛けを使っていました。この場合、「指定席代」を一部でも請求できるでしょうか…?” という記事がある。新幹線の「真ん中の肘掛け」は窓際席のものと言わんばかりだ。

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そもそもこの記事のタイトルになっている質問自体が非常識でゴーマン過ぎると感じるのは、私だけじゃないだろう。新幹線に限らず、座席の間にある肘掛けは座席の区切りであり、どちらかの席の専有物というわけじゃないはずだ。

ところがこの記事には、こんな記述がある。

新幹線の座席における、肘掛けを使用するルールとしては、基本的に窓側の人が使えると決められています。その理由は、新幹線の座席では窓側の席が「上座」とされているからです。

これには驚いた。そんなルールがあるとは、この歳になるまで聞いたことがなかったからである。この記事にはさらに、こんな記述まである。

3人席の場合も一番窓側の席が上座となり、通路側の席になるにつれて下座となります。右手に窓がある座席の場合は、上座の人が左側にある肘掛けを使い、左手に窓がある座席の場合は、窓際の人が右側にある肘掛けを使うことが可能です。

それで「上座である窓側の指定席を予約すれば、左右両方の肘掛けを使えます」ということになり、「通路側の人が真ん中の肘掛けを使っている場合は、肘掛けの使用ルールに反していると見なせるでしょう」なんてことなんだそうだ。

「おいおい、そりゃないだろう!」と言いたくもなるではないか。同じ座席指定料金を払っているのに、裏でこっそり「上座」とか「下座」とかのランク付けをされてるのではたまらない。

そう思っていたところ、3日後の 21日付で弁護士ドットコムニュースというサイトに ”新幹線の「真ん中肘掛け」は「上座の窓側が使える」ルールは本当か 紹介したネット記事に批判集まる” という記事が載った。

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この記事には、「JR東海は弁護士ドットコムニュースの取材に、そのようなルールも事実もないと否定した」と明確に書かれている。ほうら、やっぱりね。「窓側が上座」だなんてガセネタだったじゃないか。

ただ、このガセネタを真に受けた人が、実際に新幹線の中で「肘掛けを使えるのは窓側に座っている俺だけだ!」なんてムチャクチャなことを言い始めて余計なトラブルになる可能性がある。その意味で、こんな無責任な記事を書いた記者の罪は重い。

ファイナンシャルワールドなんてサイトは、ほとんど気にしたこともなかったのだが、今後は「要注意サイト」として意識しておくことにしよう。

弁護士ドットコムニュースでは「R東日本にも問い合わせており、回答があれば追記する」としているが、22日午前 8時 30分の時点ではまだ追記はない。ただ、おそらく「窓側が上座」だなんて回答はないだろう。

そんなルールがあったら、「通路側座席の指定料金を安くしろ!」という訴訟がもちあがり、大変なことになる。

 

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