カテゴリー「ファッション・アクセサリ」の105件の記事

2024年7月 8日

袖口の広い「オジサン半袖シャツ」が、まだまだ健在

このブログには、毎年夏にアクセスが目立って増える名物記事がある。それは 17年も前に書いた「オジサンの半袖シャツ、袖口が広すぎ」というものなのだが、今年は猛暑のせいかアクセスの増加ペースが例年より速い気がする。

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電車などで隣の席に半袖シャツ姿のオジサンが座ると、やたらピンピンに広がった袖口でこちらの二の腕がビミョーかつ無神経にくすぐられ、イライラしてしまう。紹介した記事には「まさに今、電車内でその状態」といったようなコメントがいくつか付いていて、悲痛なまでの共感を呼ぶ。

私はこのブログでも度々書いているように、夏の外出時には袖口がフィットしたポロシャツ(下の写真左側のタイプ)しか着ないので、あのタイプの半袖シャツにはまったく縁がない。それでいつしかアレを「オジサン半袖シャツ」と呼ぶようになっている。自分の年齢はすっかり棚に上げて。

ちなみに半袖ワイシャツの袖口というのも、最近は下右側のようなフィットしたデザインが増えているようだし、隣の二の腕をくすぐるようなものなんてほとんど消え去ったものと思い込んでいた。

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ただ私は最近、満員電車になんか滅多に乗らないので、二の腕をくすぐられるような状況には巡り逢っていないので、一応世の中の現状を知ろうと画像検索してみたところ、いやはや驚いた。まだまだ健在なのだねえ。袖口ピンピンの「おじさん半袖シャツ」が。

例えば、こんなのとか。

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「オジサンっぽくならない !!  こだわりシルエット」なんて謳われてるけど、袖口のピンピン加減を見るだけで十分にオジサンぽいよ。

はたまたこんなのも、かなり二の腕をくすぐって来そうだ。

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「半袖シャツ」で画像検索するとまだまだどっさり出てくる。こんなのとか、こんなのとか、こんなのとか・・・・、いくらでもあるのだね。袖が立体的に付けられて口がちゃんと下向きになっているのでないと、大抵アブナい。

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もしかすると、オジサンばかりでなく若い連中もこんなの着てるのかなあ。これじゃあ、私の 17年前の記事へのアクセスが絶えないわけだと納得した。

21世紀も 4分の 1 の区切りに近付いているのだから、そろそろこの手のものは「ヘンタイ的オジサン半袖シャツ」として、廃絶に向かって進みたいものである。

どうしても着たかったら、電車なんかに乗らない田舎で軽自動車通勤するような境遇なら見逃してあげる。

 

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2024年7月 2日

夏はビジネスの場でも涼しげな格好をしたいもの

東洋経済 ONLINE に "ダサ見えを卒業「クールビズ」を格上げするには" というタイトルの記事がある。「軽装でもビジネス仕様に仕上げることに意識を」というサブタイトル付きで、ビジネス社会ではどうのこうの理由をつけてモロに涼しい格好はさせてくれないことになっているようなのだ。

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いつの頃からか、日本は 5月下旬から 10月までは「ジャケットなんか着たら暑くて死にそう」という季節になってしまった。つまり、1年の半分近くは「夏」で、 6月から 9月までの 3ヶ月は「真夏」と思っていればいい。

最近は政治家でも NHK のアナウンサーでも、「暑い季節はノーネクタイ」というのが定着してきたが、こうなったのはそれほど古い話じゃない。自分のブログを遡ってみても、こんな感じである。

涼しい格好させろよ (2007/8/10)
当時の民主党の西岡武夫参院議院運営委員長が、参院本会議でのクールビズを廃止し、ネクタイ着用を義務付けたいなどと時代錯誤なことを言い出したという話。

クールビズとノーネクタイ(2015/6/8)
ノーネクタイのスタイルが、少しは定着し始めたという話。

つまり日本の世の中でノーネクタイが認められ始めたというのは、2010年代半ば頃のことで、まだ 10年そこそこなのだ。何しろ歴史が浅いので、その手の方面の人たちはクールビズ姿を「ダサ見え」なんて言ってみたくもなるのだろう。

しかしそうしたことはもうやめにしようじゃないか。スタイリストとかファッション評論家とかいう人たちは、余計なことで金を稼がないようにしてもらいたい。

「涼しげな格好」は、決してダサくなんかないのだ。逆に「ネクタイさえしていれば許される」みたいな意識の方がずっとダサい。

私なんか「クールビズ」なんてことが言われるずっと前から、一年中ノーネクタイ、夏はポロシャツということでやってきたが、それで文句を言われたことなんて、一度もない。夏空の下でスーツにネクタイなんて姿を見る方が暑苦しくて、ずっと不愉快というものだ。

温暖化がここまで進行してしまったからには、冒頭の写真でも真ん中のジャケット着用という姿は、クールビズに含まれないということにしてもらいたいとさえ思う。とにかく「暑苦しい姿は、それだけでマナー違反」という意識にしたいものである。

 

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2024年5月 1日

桂由美さん 追悼

昨日の午後、桂由美さんの急逝を知った。このニュースは繊維・ファッション業界のメディアはもちろん(参照)、 NHK も大きく取り上げていて(参照)、彼女がいかに大きな存在だったかがわかる。

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私のブログを数本でも読まれた方なら、「アンチ・エスタブリッシュメント的な立ち位置の tak-shonai が桂由美さんの追悼記事を書くなんて似合わない」と感じられるかもしれない。何しろ彼女のブライダル・ドレスには、確かに「お金持ちの御用達」というイメージがあるからね。

しかし彼女を知るものなら、そんなイメージを遙かに超えた人間的魅力を讃えたいと思うのが自然だろう。

私は現役記者時代、何度も乃木坂の「桂ブライダルハウス」にお邪魔してインタビューさせていただいた。彼女ぐらいの大物だと、メジャーなメディア以外からのインタビューのオファーなんてあっさり門前払いしても当然ぐらいのものなのだが、少なくとも私は断られたことがなかった。

インタビュー・ルームに通されるると、桂由美さんはこちらを待たせることなくすぐに姿を見せてくれ、質問にとても真剣に答えてくれた。

彼女の言葉は「美」の哲学を感じさせるものだったが、それは「シンプルなものからすべてが生まれる」というようなものだったと思う。豪華絢爛みたいなデザインはむしろ遠ざけていた。桂ブライダルハウスは、ディスプレイされたドレスやインテリアに至るまで、その思想で統一されていたと思う。

彼女の業績については既にいろいろなメディアで紹介され尽くしているから、今さら私が述べるまでもない。私が書くべきなのは、彼女が決して奢ることなく「すべての人を大切にする」という姿勢を貫く魅力溢れる人だったということだと思う。

最後に改めて彼女の冥福を祈る。

 

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2024年2月22日

スコットランドのキルトって、すごいじゃないか!

らばQ に「スコットランド民族衣装のキルトは…こんなに着るのが難しかった」という記事がある。この記事からリンクされる動画は、ちょっと感動ものだ。

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何しろ、プリーツ・スカートみたいに見える「キルト」というのは、実は大きな 1枚のウール生地なのである。まずそれを広げてプリーツを着け、寝転がって体全体に巻き付ける。起き上がるとウエストから下が二重のスカートみたいになり、その外側を上半身にたくし上げるのだ。

百聞は一見にしかずというから、下の画像をクリックして Reddit に投稿された動画を見ていただきたい。「なるほど!」と理解できると思う。

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こんなに大きな布を手間をかけて身に付けるというのは一見ナンセンスに思えるが、下に紹介したコメントをみれば納得される。

衣服としてしか使わないのであれば、非効率的だ。キルトは寝袋、毛布、レインコート、テント、タープとしても使える。17世紀の人々にとっては、非常に汎用性の高いものだ。

それがよくわかる動画もある。タイトルからして "The Great Kilt -ULTIMATE SURVIVAL BLANKET? - Outdoor Clothing & Shelter in ONE Multifunctional Cloth"(偉大なるキルト - 究極のサバイバル・ブランケット? - 1枚の多目的生地でのアウトドア服 & シェルター)というものだ。

とにかく動画の冒頭からして簡易テントや寝袋としての使い途の紹介なのだから、ちょっとわくわくする。

「うちにはキルトを着る床のスペースがない」というコメントへの解答は動画の 11分 23秒あたりから示される。草の上に広げてやる方法もあるし、なんなら立ったまま広げずにやる(12分 2秒あたりから)こともできるのだ。

「プリーツを付けるのが面倒」という向きには、ファーストベルトを通して簡単にプリーツを着けるためのループ付きキルト(12分 30秒あたりから)もある。さらに大きなポケットのように使うこともできる(14分 35秒)し、「おぬし、なかなかやるな!」ってなもんだ。

私も 1枚欲しくなってしまうほどだが、これだけ大きなウール生地だと、かなりお高いだろうなあ!

値段を調べようと Amazon にあたってみたのだが、キルティングの生地既製品のスカートみたいなものしか見つからなかった。要するに、大きなウール生地を手に入れればいいのだろうね。

【追記】

ざっと調べてみたところ、ウール 100% のハリスツィードだとこんなところのようだ。お値段は 50cm で 1,990円。

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用尺 4m は必要そうだから、税込みで 9,000円弱。単なる酔狂(さすがに来て外出したら目立ち過ぎ)にしてはちょっとしたお買い物になっちゃうよね。妻に怒られそうだから、我慢しとくか。

 

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2023年7月14日

服の色によって、汗ジミの目立ち方に差があるのだね

今日は 7月14日、パリ祭(革命記念日)である。ちょっと昔だったらこの話題で結構盛り上がったものだったが、最近はさっぱりだ。大衆文化におけるフランスのポジショニングが下がったこともあるだろうが、とにかく暑すぎてシャンソンを聴こうなんて気分にならないのである。

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というわけっで、ウェザーニュースが「黒? グレー? 原色? 汗ジミが目立ちやすい服の色は」というタイムリーな記事を提供してくれている。服の色によって汗ジミの目立ち方が違うなんてほとんど意識していなかったが、記事に添えられた写真を見ると、ずいぶん違いがあるものなのだね。

私の服は基本的にはほとんどモノトーンで黒と白しかないから、汗ジミの心配はしなくてよさそうだが、ちょっと気になって今シーズン主として着回している Tシャツ 4着の色を確認してみたら、黒(2着)、白、ベージュの 3色だった。つまり、要注意はベージュである。

このベージュというのは、ユニクロで買ったキース・ヘリングの絵入りである。このシリーズの Tシャツは着古したら絵の部分だけにカットして、階段踊り場の壁紙が剥がれかけたところにずらりと貼り、ミニギャラリーみたいにしている(むしろ、そのために買っている)ので、シミにするわけにいかないのだよ。

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ちなみに夏用の Tシャツは黒と白を基本として、アクセントカラーが欲しかったら赤かイエローを選択しておけば、シミの心配はしなくて済みそうだ。これはしっかりと覚えておこう。

 

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2022年8月11日

イッセイ・ミヤケ の死去と、「媚びないファッション」

iPhone Mania のサイトで、ファッション・デザイナーの三宅一生の死が報じられている(参照)。なんでまた iPhone のサイトでこのニュースが取り上げられているのかと言えば、スティーブ・ジョブズが生前いつも着用していた黒のタートルネック・セーターが、イッセイのデザインによるものだったからだ。

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ファッションなんかとは縁遠い存在と思われがちな私だが、ところがどっこい、その昔にはファッション・ライターをしていた時期があって、主に海外向けに英語で東京コレクションを紹介していたのだよ。だから、自分の身なりにはほとんど構わないが、ファッションに関しては少しは語れたりするのだ。

何しろ東京コレクションが一番輝いていた 1980年代に、イッセイ・ミヤケやコム・デ・ギャルソン、ヨージ・ヤマモトなどのシーズン毎のコレクションを、最前列のプレス席で取材していたのである。そっち方面の好きな人からは、死ぬほど羨ましがられてもいいぐらいだろう。

当時、欧米から日本に東京コレクションの取材に来るファッション関係者の案内もよくしていた。彼女たちにとってのイッセイ・ミヤケは、ほとんど神格化されたみたいな存在で、彼の話題になると目をトロンとさせながら、”Oh, Issey Miyake!" とため息交じりに呟いていたものである。

それまでのファッションというのは、欧米、とくにパリ発の情報をいかにこなすかというのが重要だった。それだけに、ファッション・デザインというのは基本的にボディラインを美しく表現するものというのが「常識」だったのである。

ところがイッセイは、素材(布地)そのものの持ち味を前面に出し、見ようによってはプリミティブと言えるまでのアバンギャルドなコンセプトを強調した。私はそれを密かに「媚びないファッション」と呼んでいたが、これは実は、ココ・シャネル以来の「媚びない」系譜の発展形だったと思っている。

最近もっぱら愛用しているユニクロの服も、私の中では「媚びない」という点で共通しているのだよね。シャネルやイッセイと比べたらずっと安上がりだけど。

 

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2022年6月16日

福岡パルコの「攻めのジョーク」と「坊っちゃん団子」

朝日新聞の「性風俗店の無料案内所模した案内展示に苦情、急きょ撤去 福岡パルコ」という記事に笑ってしまったのは、この記事に添えられた写真の「まんま」みたいなケバい光景を、四国の松山市内で見かけていたからである。

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日の暮れかかった頃に道後温泉の辺りを散歩したのだが、例の改築中で 1階しか開いていなかった「道後温泉本館」(参照)の裏の通りが、まさにこんな感じの看板で溢れていた。それで、漱石の『坊ちゃん』を思い出したのだった。

『坊ちゃん』には、「おれのはいった団子屋は遊廓の入口にあって、大変うまいという評判だから、温泉に行った帰りがけにちょっと食ってみた」というくだりがある。そのせいで坊ちゃんは翌日、学校の教室で「団子二皿七銭」とか「遊廓の団子旨い旨い」とかいう、生徒たちの落書き攻勢に遭ってしまう。

私が 11年前に松山を訪れた時(参照)は、道後温泉本館の 2階で団子を食ったような気がするのだが、明治の昔の団子は、近くの色町の入り口で食うものだったのだね。ただ、明治時代にはいくら何でもこんな感じのケバい案内所はなかっただろうけど。

ちなみにこの記事には、朝日新聞・今井邦彦記者の「3年前に大阪から福岡に来て驚いたのが、風俗の無料案内所の多さです。大阪にもありましたが、福岡の中洲ではバス通りに面した場所にもいくつもあって、最初は戸惑いました」というコメントが付いている。

私が道後温泉の一画で見たような派手な看板、博多ではそこらじゅうにあるみたいで、ある意味「博多名物」と言ってもいいほどなのだろう。ちなみに東日本はどうなのかとググってみたところ、こちら をみる限りでは、西日本ほどには濃くないみたいである。

というわけで、福岡パルコとしてはこの「ケバい博多名物」を果敢に取り込んだ店内プロモーションで話題作りを目論んだのだろう。しかし今どきのファッション・アイテムを買いに来た若い層には、こうした「攻めのジョーク」が通じなかったというわけだ。

お気の毒に。

 

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2021年12月 5日

「毛皮はカッコ悪い」と、ELLE も気付いたようで・・・

HUFFPOST が 12月 3日付で "ELLE が脱毛皮宣言「もはや時代遅れ」 ファッション誌もファーフリーへ」というニュースを伝えている。個人的には「今頃になってようやくそれを言い出すなんて、それこそ『時代遅れ』もいいとこ」なんて思ってしまうが、まあ、悪いことじゃないから一応歓迎しておこう。

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私は 16年以上も前に、毛皮の議論にレザー製品のことまで含めて、こんなことを書いている。

毛皮とレザーと人間の業(2005年 3月27日付)

欧米でも毛皮に反対する人はかなり多く、一時は、高級毛皮にスプレーでペンキを吹き付けるのが流行ったことがある。(中略)

一方、レザーに関しては、毛皮ほどの反対運動は起きていない。レザー製品で有名なスペインの業界団体首脳に聞いたところ、「毛皮はわざわざ野生動物を殺すのでよくないかもしれないが、レザーは食肉用に飼育された動物のものなので、動物虐待というわけではない」と釈明していた。

(中略)

このあたりは、どう屁理屈をこねたところで、他の生物の命を奪うということに変わりはない。人間の業である。

というわけで私としては、肉を食いながら「動物の権利」云々を言うのは、どこか傲慢な態度だと思っている。上の記事を書いた頃の私は肉食を極力減らしてはいたが、まだ完全に止めていたわけではなかったので、こうした感覚は自らの身にピリピリと刺さった。

ところが肉食をほぼ絶ってしまった今は、ことさら「動物の権利」なんてもっともらしい議論を持ち出すまでもなく、「毛皮なんて、カッコ悪いにもほどがある」と当たり前に思える。それどころか、革製のベルトや靴を身に付けることさえ、ちょっと複雑な気分になってしまっているほどだ。

Bob Dylan は 1966年、”Leopard-skin Pill-box Hat” という歌で、豹毛皮の縁なし帽をかぶる女性をずいぶん皮肉っぽく描写している。(当然ながら、「動物の権利」なんてこととはまったく別の話として)

私としては今後、毛皮ばかりでなく皮革製品も「カッコ悪い」と思われる世の中になると思っている。とりあえずは、レザー・コートやレザー・ジャケットなんて忌み嫌われていいし、レザー・バッグや革ベルト、革靴も、おいおい廃れていくべきだ。

何しろ肉を食わないライフスタイルが個人的にはすっかり定着してしまったので、レザー製品に関する「免罪符」みたいな論理も、効力を失って久しいのである。

というわけで、最近は革ベルトや革靴を購入していない。布製やフェイク・レザーで十分だ。

 

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2021年9月16日

葬式の場でネクタイのディンプルは NG だって?

Togetter で "エリートも知らない大人のマナー 「葬儀に出る際のネクタイのディンプルは NG」はホント?" というのが話題になっている。しゃく|笏本達宏さんという ネクタイ作りのプロが、「葬儀や謝罪の時にディンプルは NG です」と tweet したのが発端らしい。

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この tweet、全文はこんなようなものだったようだ。

実は、エリートと呼ばれる人の中にもこれを知らない人が多いのですが、ネクタイは「ディンプル」という「くぼみ」をつくって結べばオシャレさが増します。でも葬儀や謝罪の時にディンプルは NG です。なぜならその場に必要なのはオシャレさではないからです。学校では教えてくれない、大人のマナーです。

ところがこれに対する反応として、Brarin/ぶらりん という人が挙げた tweet には、次のようにある(参照)。

ほんと?と思って調べてみたけど、
・ 昭和天皇の大喪儀や30年式年祭での現在の上皇陛下
・ ダイアナ姫葬儀でのチャールズ皇太子
・ ブッシュ元大統領の国葬でのトランプ、オバマ、クリントン
それぞれディンプルを気にしている様子はない。

確かに、上述のページに掲げられた写真を見る限り、現在の上皇陛下も、チャールズ皇太子も、トランプ、オバマ、クリントンも、葬儀参列の際にすべてネクタイにディンプルを作っておられる。「葬儀や謝罪の時にディンプルは NG」なんていう「大人のマナー」は、誰も気にしている様子がない。

そもそも しゃく|笏本達宏 氏の主張する「ディンプルは NG」ということの根拠は、端的に言えば次のような三段論法だ。

  1. ネクタイは「ディンプル」をつくって結べばオシャレさが増す。
  2. 葬儀や謝罪の時にディンプルは NG。
  3. その場に必要なのはオシャレさではないから。

これをそのまま受け取ってしまえば、「葬儀や謝罪の場ではオシャレしちゃいけない。ダサダサの礼服などを着て参列すべし」ってなことになってしまうだろう。これはもう「なんだかなあ」と言いたくなってしまうよね。

あるいはちょっと深読みして、「礼服自体はしっかりオシャレしてもいい。ネクタイにディンプルさえ作らなければ、そのエクスキューズになるから」ってことなのかもしれない。それにしてもやっぱり、「なんだかなあ」感は薄まらない。ディンプルが言い訳のタネだなんてね。

この記事にはいろいろな反応が寄せられているが、ネガティブなものが多数派だ。早く言ってしまえば tweet した本人も冒頭で言っている「エリートと呼ばれる人の中にもこれを知らない人が多いのですが・・・」というのがキモだろう。

多くの人が知らないままで何のこともなく済んでいる類のことは、決して「マナー」なんかじゃないよね。むしろ、ことさら声高に主張すること自体が馬鹿馬鹿しいというほどのことだ。

私の場合は、ネクタイなんてよほどフォーマルな場でもなければ締めることがないし、ディンプルなんてその時々でできちゃったりできなかったりする。そもそも 4年半前の記事で書いているように「プレーン・ノット」しかできないし(参照)、個人的にはどうでもいいことなんだよね。

以上、おしまい。

 

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2021年6月 7日

Gパン? ジーンズ?

Quora に ”友人がアメリカ人の家で「Can I borrow your G-pants?」と聞いたら「What the hell are you saying?」と言われたようです。なぜだか理由はわかりますか?” という質問がある。

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"Can I borrow your G-pants?" (G-パンツ借りれるかな?)には、日本人の私でさえ「G-pants って何のこっちゃ?」となってしまった。まさに ”What the hell are you saying?” (まったくもう、何を言いたいわけ?)なんて言いたくなる場面である。

寄せられた回答を見て、初めて「そうか、”Gパン” のことを言いたかったのか」とわかった。申し訳ないが、この質問って、ちょっとできの悪いネタかジョークなんじゃあるかいかと思ってしまったよ。

そもそもジーンズを日常的にはいて、アメリカ人の家で英語を話せて、その上でジーンズのことを "G-pants" なんて言っちゃう人、今どきいるのかなあ? 最近の若い人たちは、フツーに「ジーンズ」と言って、「Gパン」なんて言うのはかなり年配の人たちなんじゃあるまいか。

さらに言ってしまえば、ジーンズというアイテムは基本的に他人同士で貸し借りするようなものじゃない。サイズが合わなければどうしようもないしね。どうしても作り話の「ネタ」なんじゃないかなあと思ってしまう。(実話だったらごめんなさい)

私は昔、繊維・アパレル業界に関係していたが、この業界では年寄りでも当たり前のように「ジーンズ」と言っていた。メーカーが「ジーンズ・メーカー」、ジーンズ専門店が「ジーンズ・ショップ」(「Gパンメーカー」とか「Gパン屋」じゃない)となるのはもう、一般的にも「お約束」の範疇だろう。

もっとも英語だと「ジーンズ・ショップ」は "jean shop" (靴屋が "shoe shop" なのと同じ)。つい "jeans shop" と言いたくなるところでちょっとブレーキを効かせるので、「今は、外国人とジーンズの話をしてるんだな」と実感してしまうところだ。

ちなみに Quora には「G と pants ・・・ g-string の pants のことか? と思った可能性があります」という回答もある。いわゆる「紐パン」(セクシーな下着)のことで、それなら ”What the hell ・・・” と過剰反応されるのも当然だが、現実的には「紐パン貸して」なんて会話、ないよね。

そんなこともあってか、Quora のこの項目には「ハードオフ」という名前の店に関するリンクが表示されている。PC 部品など、中古ハードウェアを安い価格で売るのでこの名前なのだろうが、英語として使う場合は最大限の注意が必要だ。(結局のところ、いくら注意しても足りないのだが ー 参照

 

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