カテゴリー「育児」の5件の記事

2024年3月16日

「ち〇こ」って言いたい年頃の男の子

たて子さんという方の tweet (参照)に笑わせていただいた。ご本人としては決して笑い事ではないのだろうが。

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小学校 2年生の息子さんが毎日「ち〇こ、ち〇こ」と騒いで、注意しても直そうとしないし下のお子さんまで真似する。そこでたて子さんとしては本当にやめて欲しいと思い、「ち〇こ」という度にお小遣い 10円減らすと宣言したのだそうだ。

ところがそれからもうっかりレベルで 20回は口走ったので「200円減ったよ」と言うと、息子さん「ち〇こって言いたい」と泣き出したという。うんうん、その気持ちわかるなあ。

なかなかいい子である。「ち〇こ」って言いたい気持ちがお小遣いより大切だってことを泣いてまで訴えるほど素直で正直な子は、なかなかいるもんじゃない。

いきなり小難しい話に飛ぶが、フロイトの幼児性欲理論によれば、子どもの性的発達には口唇期、肛門期、男根期(エディプス期)、潜伏期、性器期という5つの成長段階があり、フツーは自然に経過しつつ大人になっていく。「ち〇こ」にこだわって泣いちゃった子は、男根期にさしかかってるわけだね。

というわけで、子どもの「ち〇こ」連呼は成長とともに自然に収まっていくから、気にせずに放っておけばいい。せっかく素直に表現・発散されてるんだから、それを下手に抑圧するとエディプス・コンプレックスが強まりかねない。知らんけど。

そんな意味で、この tweet につけられた次の 2つのコメントはヒットだと思う。

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杏酒 酒と旅とふらふらと さん、ハンドルネームもいいし、男の子の育て方をよくわかっていらっしゃる。こうしたことは笑って受け流すのが一番なのだ。実際、泣かせてしまうまでの抑圧というのはよくない。

その意味で、Arthur さんの提案は愛に溢れてるとさえ言える。

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実際には 1000回言わないうちに飽きてしまうだろうから、1万円は要らないと思うけどね。

 

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2023年1月12日

「男の育休」と「頭で考える」ということについて

まいどなニュースに 【「お前の仕事は誰がするんだ?」育休取得を渋る上司を覆した元国家公務員男性の “ひと言” が話題 「至極当たり前な返しで素晴らしい」】という記事がある。なかなか興味深い話題だ。

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この元国家公務員男性の「ひと言」というのが何だったのか、答えは当人の tweet にある。「お前の仕事は誰がするんだ?」と言った上司に対し、「それを考えるのが上司の仕事です」と答えたというのである。当然至極の話だが、今の日本では大拍手ものなんだろうね。

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というわけで、この至極当然の返しをした男性は今、専業子育て主夫をしているようなのだが、「まったく後悔してません」と言い切っておられる。立派なことである。

彼が職場を辞めたことについては、「休業取得後の職場復帰は全く経験したことのない業務の別の部署」だったこともあるようだが、直接的な理由として、自身で次のようなことを挙げている。

  1. 当時我が家は共働きで、妻も公務員で育児休業中でした。まず前提として私の頭の中にあるのは『子供たちの将来ほど投資するのに楽しみなものはない』ということです。

  2. そんな中、私が育児休業を終えて仕事に復帰してからしばらくして、ふと思ったのは『今後妻が職場復帰し共働きとなったときに、私たち夫婦の考える理想とする育児ができるのか?』でした。

  3. こういった考えのもと、私の方が妻より早く定年を迎えることやそれぞれの勤務環境について熟考し、夫婦共働きを解消し私が専業となることを決心いたしました。

なるほど、理解できる論理である。これが理解できないという人は、きっと頭で考えない人だ。頭で考えるとつい論理的な展開になってしまいそうだから、恐れをなして考えることを拒否する。

そして考えないから、表向きには旧来の因習を支持するが、本音としては不平たらたらで酒を呑んでごまかすということになる。このタイプの人は世の中にとても多い。

これからは「産後パパ育休」という制度を本音でしっかりと活用しなければならないだろう。そうでないと少子化が進むばかりで、社会的損失につながる。頭で考えれば、このくらいのことは容易にわかる。

 

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2009年5月 9日

電車や飛行機で泣き叫ぶ赤ん坊

列車や飛行機で旅をすると、むずかって泣き叫ぶ赤ん坊に遭遇することがある。周囲の乗客の頭が痛くなるほどの猛烈な鳴き声だ。

親がいくらあやしても泣きやまない。それどころか、赤ん坊はますます無茶苦茶な大声を出して泣き叫ぶ。親はおろおろするばかりで、どうしようもなくなる。

自慢じゃないが、我が家は 3人の娘を育てて、一度もそんなことはなかった。そりゃ、赤ん坊のことだから、多少ぐずることはあっても、抱いてあやしてやればすぐに安心して泣きやんだものである。

赤ん坊が泣きわめいてしょうがなくなるというケースをながめていると、そこにはある傾向があるような気がする。といっても、誤解されると困るので初めから断っておくが、全てがそうだというわけではない。「傾向がある」というだけのことだ。ただ、その「傾向」は、かなり強いものだと思っている。

その傾向というのは、親と赤ん坊の心のつながりが希薄そうにみえることだ。親は赤ん坊を連れて乗り物に乗るにあたって、不安を抱いている。「ウチの子は癇が強いから、泣きわめいて周囲に迷惑をかけるのではないか」と、初めからおっかなびっくりだ。

そんなだから、赤ん坊の方でも親を信頼していない。親は基本的に周囲に気兼ねするばかりで、自分のことはある意味、お荷物と思っている。赤ん坊はそれを敏感に感じ取っている。

別の言い方をすると、親は「泣かれたら困る」と、はなはだ自分本位の都合を考えるばかりで、自分の赤ん坊が泣かなくても済むような安心感を与えていない。極端に言えば、赤ん坊のせいで心ならずも周囲に迷惑をかけてしまい、自分はその板挟みに合うという一種の被害者意識にも似たような気持ちになっている。

つまり、親がまともに赤ん坊と向き合って強い絆を作るという作業を怠っているから、赤ん坊は不安で泣くのである。親は泣きわめく赤ん坊をあやしているように見えても、心は赤ん坊にしっかりと向き合っておらず、ただ困り果てておろおろしているばかりである。

おろおろするからいけないのだ。親がおろおろするから、赤ん坊はますます不安になって泣き叫ぶ。そこは毅然として、「自分はお前の絶対的な味方であり、何があっても守ってあげるのだから、絶対大丈夫」と、無条件の愛情オーラを発しまくれば、赤ん坊は安心してすやすやと眠るのである。

ただ、車内で大人しく眠ってばかりいる赤ん坊というのも、一方でちょっと可愛そうである。そういう赤ん坊は、「おとなしくていい子」のように見えるが、実は親を信頼していなくて、不安を紛らすために眠りの中に逃避しているだけということがあるように思われる。目覚めていると不安でたまらないから、眠ってしまうのだ。

つまり、赤ん坊は不安だと泣くか、泣くのは疲れるから嫌だと思えば、眠りに逃げるのである。

だから赤ん坊は、適当に起きて機嫌良くバブバブ、キャハキャハ言ってくれているのが一番安心だ。車内でそのようにして過ごしている赤ん坊をみると、私は親と赤ん坊の心の絆の強さを感じて、暖かい気持ちになる。だからバブバブ、キャハキャハ程度のことなら、周囲の乗客もあまりうるさがらずに、暖かく見守ってあげてもらいたい。

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2008年9月 4日

「子どもに優しい製品」 を高く買う

子供が安心して扱える「キッズデザイン」に関する経済産業省の調査によると、過半数の親たちが「子どもに優しい製品なら 5%割高でも買う」と答えたという(参照)。

 

「子どもに優しい」製品を高く買うよりも「別に危険でないものをフツーの値段で買いたい」というのは、案外フツーじゃないようなのだ。

「安全・安心なデザインの商品」が高くなってしまうのは、今の世の中にフツーに流通している商品が「よく考えると危険なところのあるデザイン」であるにもかかわらず、それがある意味デファクト・スタンダードみたいになっていて、そのデザインを変えようとするとコストがかかったりするからである。

それからもう一つ、「よく考えると危険」というデザインの方が、一見とても可愛らしく見えたりして、親がつい子供に買い与えたくなってしまうことがある。とくに子供服なんかは「実はちょっと危険」の方が、売れちゃったりするのである。

で、なんでまた「よく考えると危険なところのあるデザイン」がこれまで何の疑いもなく受け入れられてきたのかというと、これまでは、その危険性に誰も気付かなかったか、気付いたとしても、実際に事故が起こるのはデザインの危険性よりも「不注意」という要因の方が大きいと勘違いされて、あまり声高に指摘されなかったからということがある。

例えば子供服の場合、いりもしないフード(食べ物じゃなくて、頭にかぶるやつね)とか、ドローストリングス(引き紐)とかが満載だと、滑り台を滑り降りるときなんかにボルトの出っ張りなどの突起物に引っかかったりしたら、首が絞まってしまうおそれがある。

近頃、あちこちの遊園地で子どもの遊具を注意して見ているのだが、かなり危ないものばかりで、ぞっとすることがある。

いかにも「フードや紐を引っかけて窒息してください」といわんばかりの、最後まで締めないで頭の部分がすっかり飛び出した状態でペンキで固定してしまったボルトとか、急な上にステップの幅が狭くて、途中で落っこちるためにあるような階段とか、地面との間の空間が狭すぎて、下敷きになって死ぬために設計されたようなボックス型ブランコとかである。

こうしたものは、あまりまともに考えないで、やっつけしごとで造られてしまったとしか思われない。こうした危険な遊具と子どもが着ている上着の危険な長さのドローストリングスがコラボしちゃったら、かなり危ない。

大事には至らなかったが、いわゆる「ヒヤリ、ハット」のケースになったというのは結構報告されていて、実際にはその何十倍、何百倍ものケースが、世の中で発生しているとみられる。そして、その中の希なケースとして、実際に死んじゃうとかいう事件が発生する。

アパレル業界でも、近頃「安全安心な子供服」というコンセプトが重視され初めて、東京都は全国に先駆けて検討を行い、「身のまわりの危険から子どもを守りましょう - 身に付けるもの編」というガイドブックを作成した。

この中でも、フード、ドローストリングス、ジッパーに関する問題が重要視されている。しかし、最近の子供服デザインの 「かわいらしさ」 というのは、フードやいろんなドローストリングスやジッパーで表現するという傾向がある。

「ウチの子供服は、フードとドローストリングスとジッパーでできてるんで、それを使うなと言われてもねえ」 なんていうメーカーも多いが、要は使うなというのではなく、さじ加減の問題である。

ジッパーに関しては、上げるときに首やあごをはさんでしまうことがあるが、こればかりは注意で防ぐしかない。もっとも、ジッパーで指を切断したとか死んだとかいうのはあまり聞いたことがないから、一度ぐらい失敗して学ぶというのも大切である。

大人だって、もっと大事なモノをはさんで冷や汗かくこともあるし。

【参考】

実は、昨年の今頃も、同じような問題を別の視点で論じているので、お暇があれば、こちら をどうぞ。

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2007年3月26日

「産む機械」というビジネス

代理出産がちょっとした話題になっている。世論的には、「法整備が現実に追いついていない」として、代理出産という行為そのものはあまり疑問視されていない。

しかし、私はこれをかなり疑問に思っている。それは、女性を「産む機械」とする奇妙な「ビジネス」と化しているからだ。

「代理出産」という行為を、単に「医学的に可能だから」というだけで、簡単に認めてしまっていいのだろうか。私は「絶対反対」というわけではないが、現状としては、もっと慎重な態度で吟味すべきだと思っている。

まず、「代理出産」というシステムにおいては、出産を担当する女性は、文字通り「産む機械」として機能しているということが挙げられる。柳沢氏の「産む機械発言」に対して、あれだけヒステリックに反応したマスコミやフェミニスト達が、「代理出産」に関してはほとんど疑問視していないことに違和感を感じるのは、私だけではないようだ(参照)。

それに、この「産む機械」を利用するには、かなりの費用が必要になるようだ。「代理母ドットコム」というサイトがあって、これを見ると、代理出産というのは、ひとつのビジネスとして成立しているように見受けられる。

代理出産には、無償のボランティアの場合もあるが、多くの代理母は報酬を目当てに体を売っている。身内などの場合を除けば、何の得にもならないのに、自らの子宮を10ヶ月近くも無報酬で提供する女性など、ほとんどいないだろう。

まあ、フツーの出産だってかなりのビジネスと関連しているわけだから、目くじら立てる方がおかしいという人もいるかもしれないが、私の感覚からすると、代理出産ビジネスというのは「かなりフツーじゃない」という気がするのだ。

上述のサイトには、代理出産の費用が示されている(参照)。どのくらいかかるかというと、こんな感じだ。

  • エ-ジェンシ-料金 $30,000
  • 基本料金 $20,000~$35,000
  • 代理母へ支払う必要経費 $2,000
  • 妊婦服代(妊娠20週に達した時) $1,000
  • モック・トランスファ-に対する報酬 $250
  • トランスファ-(受精卵移植)に対する報酬 $1,000
  • 帝王切開をすることになった際の追加報酬 $1,500
  • 多胎出産に対する追加報酬(1人増える毎に) $5,000
  • 代理母が就業している場合、妊娠により休む際、その期間の給料が加算される。
  • 弁護士費用(依頼者、および代理母の弁護士)約 $6,000 ~$7,000
  • 健康保険(代理母にかける保険)約 $300/月
  • 体外受精及び受精卵移植にかかる医師の費用 $10,000~$15,000
  • 薬代 $5,000
  • エスクロ-フィ- $800
  • バックグランドチェック $150~$200
  • サイコロジカル・エバリュエーション 約 $600
  • 依頼者のサイコロジストによるカウンセリング費用 $500
  • 代理母およびその家族のためのカウンセリング/サポートグループフィー 約 $1,500
  • ドクターによる代理母及びそのパートナーの健康診断 約 $1,000
  • 代理母及びそのパートナーの血液検査費用 約 $800
  • 大ざっぱに計算しても、総額で最低でも 8万ドル以上。日本円にしたら、1000万円以上かかるということだ。

代理母への支払いだけをとっても、基本料金として、2万ドル~3万5000ドル (約 240万~420万円) 、その他付帯料金として、大体 3000ドル、そして、休業補償的に、休んでいる間の給料まで支払わなければならない。

代理母が仕事を持っている場合は、その支払いだけで、500万円以下ということにはならないだろう。そうなると、総額は 1000万円を遙かに超える。一説には、支払総額の平均は 1500万~1700万円だという。さらに、当事者のアメリカでの滞在費用などを入れたら、相当なコストになる。

もし、代理出産ではなく養子を迎えていたとしたら、たまにはささやかな贅沢を許したとしても、高校卒業ぐらいまでは十分に養える金額に相当すると思う。

つまり代理出産というのは、べらぼうな費用がかかるということで、相当な金持ちでないと無理なシステムだということだ。誤解を恐れずに言えば、「自分たちの遺伝子をもつ子供を、大金で買う」 という、かなりエゴイスティックな行為ということになる。しかも、下手をしたら生命の危険さえ伴う「代理母」という「産む機械」を金で買って。

一方では、世の中には里親を必要とする不幸な子供が大勢いるという現実もある。「親の必要な子」と「子が欲しい (「必要」ではなく、あくまでも「欲しい」)親」 とのマッチングには、絶望的なギャップがあるようだ。

【追記】

昨年秋に発表されたものだが "「美談」 ではすまない代理出産ビジネスの実態" という記事が見つかったので、参考のためリンクしておく。

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